東京オペラシティ コンサートホール
オープニングシリーズ
ウインドウ

クラリネット:ストルツマン
キーボード+ファゴット:ビル・ダグラス
ベース:エディ・ゴメス
AT A CROSSOVER

武満徹:エア
ビル・ダグラス:満月、空
バッハ:G線上のアリア、2声のインヴェンションから3曲
ビル・ダグラス:ロック・エチュード、ビーバップ・エチュード
ガーシュウィン:3つのプレリュード

ビル・ダグラス:ディープ・ピース
エディ・ゴメス:ラヴ・レター
ビル・ダグラス:ビッグ・バンド・メドレー
セロニアス・モンク:ブルー・モンク
オーネット・コールマン:ランブリン
武満徹:カトレーンのテーマと「死んだ男の残したものは」
ビル・ダグラス:フィースト
10月4日 東京オペラシティ




今日は楽しみにしていたストルツマンの演奏会。期待に違わず楽しい夜でした。何といってもストルツマンの自由闊達なクラリネット。それに数年前のカザルスホールの演奏会でも息のあったピアノとファゴットを聴かせてくれたビル・ダグラスとは、今日もぴったり息があって熱演でした(バッハのインベンションのクラリネットとバスーンの掛け合いが元気いっぱい)。初めて聴いたエディ・ゴメスのベースは、迫力満点。語り口が素敵だったな。まるで言葉で歌っているというか、バロックオペラのレティタティーボみたいというか、講談師の語りみたいなベース。タイコ屋さんがいない分、たたきつけるような、かなりビートを効かした演奏で、全体をリードしていく感じでした。確かこの人はビル・エヴァンスのトリオにいた頃からこんな弾きかただったように思う。

一番よかったのは、オーネット・コールマンの「ランブリン」。まるで西部劇みたいなカントリーウェスタン調の音楽が混ざり込んでユーモラスなんだけど、3人が丁々発止とやりあってました。最後の「フィースト」はラテンアメリカのお祭り調の曲。軽く始まってからだんだん熱を帯びていくんだけど、3人ともうまい演奏家なので、掛け合いが本当に楽しい。

またもや武満の曲が何曲か演奏されました。実は一昨日もどこかのオケで武満を聴いたばかり。このところなんだか刷り込まれてるう。まあそんな中で、最後の方の「カトレーンのテーマ」はなかなか傑作。9月30日にも演奏した曲を、今度はベースを交えてやってしまうという趣向。原曲はヴァイオリンの高音から始まるわけだけど、そこをでっかいベースが可愛らしくやると、武満でさえ何やらユーモラス。

キーボード担当のダグラスの曲が何曲か入ってますが、この中ではロックエチュード、ビーバップエチュードが何といっても盛り上がりましたニャ。両方ともかなりの曲数があるみたいだけど、第何番なのかはわからない。とにかく、複雑怪奇なリズムのスキャットと手拍子だけの曲。ここらへん客席からも手拍子が起こって乗りに乗った感じ。最後の「フィースト」の中にも、ビーバップエチュードの様式が乱入してきて、ちょっと目を離すと、ストルツマンとスキャットの掛け合いを始めるし、いつの間にやらシンセをひっぱたいているし、ゴメスとストルツマンがやり合っていると、裏で素敵なコードをしっとりと聴かせてくれる。このビル・ダグラスっていう人、定職はどこかの大学のセンセらしいんだが、この3人が集まると何でもありって感じで、実に面白い。なにやら学生のコンパの雰囲気。そう言えば、ストルツマンとダグラスはイェール大学時代からのご学友、いやご楽友だとか。

ちょっと残念だったのは、PAが少しきつめにはいっていたこと。オペラシティのホールは響きが豊かなため、マイクで拾うと雑音が強く聴こえてしまうことがあった。ベースにPAが必要なのはわかるけど、もう少し抑え目でもよかったなあ。クラシックとジャズの人では、会場の音の適切な大きさの解釈が違うのかしらん。客席の端で、同時にPA調節していた担当者がいたのに・・・そうそう、近頃ちっちゃなライブハウスでやたらとPAを使うところがあるけど、あれは耳障りだし、演奏者も困るだろうニャー・・・なんて考えながらも、ルンルン気分で帰宅したら、むむう・・・カモカントクもうおやめなさい。ん、なに、やめたって。何とかなるといいんじゃが・・・




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