新日フィル定期

マーラーの3番
小沢征爾ほか
10月27日 錦糸町の墨田ホール

(デデのひとりごと)



久々に新日フィルを聴いてきました。えっ、新日プロと新日フィルとどう違うかって?うーむ、あちらは裸で出てくるけど、こちらは作業着として燕尾服を着ている。まあ、そんなとこ。

おっと失礼。で、今回は錦糸町駅前の再開発でできたらしい「墨田トリフォニーホール」って所での演奏会に行ってきました。昨日が柿落としで、今日が開店二日目。ですから場所柄、特別華やかなこともありませんでしたニャー。パンフレットには広々としたロビーとあるんだが、なんともせせっこましい感じの入り口を抜けて、いきなりホールに入る。形はシューボックスで、2階のバルコンがステージに向かってかなり急傾斜で落ち込んでいる。その下の壁面の装飾が、斜めのバルコニーに対して直角に施してあるので、なんだか地震で2階がおっこってきたみたいな感じ。慣れるまではクラクラした気分。

さて肝心の音なんだけど、これは結構いけました。ざっと見て1800のキャパの割には狭い感じのホール(座席も確かに狭い)。天井をやたらと高くしていないので、1階席でもかなりまとまった響きでした。(そう、あろうことか1階席で聴いたのですニャー。---まあ、金と切符は天下の回りものって言うでしょ。---言わないか? ウソつくでないぞー。貰い物の1階席だぞー。by Gamba)

で、マーラーの3番ですが、これは自然賛歌とでも言ったらいいんでしょうか、とにかく美しい旋律、小鳥の鳴き声、木ずれの音、小川のせせらぎ・・・まあ、あれやこれやがあてどもなく、とりとめもなく、脈絡もなく、渾然一体となるでもなく、かなりスキゾ風にちりばめられた曲です。ここら辺の方向性のなさ、けして発展することのないスケッチ、きれいな旋律、これらがマーラーファンにはこたえられない快楽となるわけです。

全体のほぼ1/3の長さを占める第1楽章はさながら自然のショウウィンドウ。おどろおどろしいホルンの咆哮のあとは、天然、ジネン、自然のオンパレード。上に書いたようなさまざまなメローディー♪♪が耳を楽しませてくれます。そして、どこからともなく行進曲のリズムが・・・ひとしきり盛り上がってくると、行進曲と言うよりもサーカスのジンタの雰囲気になります。でもここは絶対に軽く流してはいけません。あくまでも真面目に、渾身の力を込めて弾き進みます。ステージの近くにいたせいか、小沢サンの「スー」という鼻息と、「ウッ」だか「ヤッ」だか気合いの音がよく聞こえてきます(そうだったのか。どこかのオヤジがうなってるんだと思ってたぞーby Gamba)。そうそう、そうなんだよと、思わず心の中で叫びたくなります。そう、ここはシリアスにやればやるほど、グロテスクでアンバランスな音楽になっていくわけです。

どういう構造なのかよくわからないけど、ソナタのようなロンドのような、延々と発展しない第1楽章が終わると、後は小品集といった感じ。2楽章、3楽章の田園舞曲も秀逸。ヴァイオリンを上手・下手にわけて配置し、チェロ・バスを下手側に持ってきた小沢の意図が明確にわかる演奏になっていましたな。セカンドからファーストへ、またその逆へと、息の長い旋律を歌い次いでいく際に、明確なステレオ効果が生まれ、しかもベースのピツィカートにも奥行き感が出てくるわけですニャ。単に面白いというだけではなくて、客を退屈させない小沢一流の演出と見ましたニャ。

第4楽章のアルトを歌ったフローレンス・クイヴァーという人、清楚な声でなかなか好感が持てました。第6楽章の弦のコラールも壮大に鳴っていたんだけど、上の階の人はどんな感じだったんだろうか。まあ、柿落としということもあって、よく練習したんでしょうし、楽しめる音楽会でした。

Gambaはマーラーがわかんないの。猫だから。でも、きれいだったよ。アルトの歌手もいい声でした。オーケストラのバランスのいい響きだし、声楽にもいいホールなんじゃないかな。こういうホールを根城にして練習できるオーケストラが出てきたことはいいんじゃないかしらん。5年後とか10年後が楽しみだね。新日フィル。

そうそう、日本初の小屋付きのオケとなった新日フィル楽しみですニャー(by DeDe)。




デデの小部屋(ホームページ)に戻る

音楽の小部屋に戻る

ボクの小部屋が気に入った、または
デデやガンバに反論したい、こんな話題もあるよ、
このCD好きだニャー、こんな演奏会に行ってきました等々、
このページに意見をのせたいネコ(または人間)の君、
電子メールmatufuji@mail.at-m.or.jpまで お手紙ちょうだいね。
(原稿料はでないよ。)