読響名曲シリーズ(ジャック・デラコート指揮) 5月15日 サントリーホール
今日の曲目は、前半はデュメイの3曲で、ショーソンの『詩曲』、バルトークの『二つの肖像』より第1曲「理想的なもの」、ラベルの『ツィガーヌ』。後半はドボルザークの交響曲8番(前半だけで帰っちゃったから、どうなったかは知らん)。
読響はなんか今ひとつでおじゃった(席のせいかな?)。指揮者のデラコートさんとの相性は今一つって感じ。P席だから、バイオリンが遠くで鳴ってて、金管がやけに近いの。で、ソリストのバイオリンは何だか霞みがかかったような響き。P席は悲しいよ。音にちと時間差があるみたいだし、こんなとこ100円で開放してちょ、サントリーさん、読響さん!!
1曲目の『詩曲』は、ちょっと音程が甘いところはあったけど、デュメイの朗々としたバイオリンが響いていた(みたい)。こういう強靭な美音は他のバイオリニストにない音なんだな。
すごかったのは、2曲目のバルトーク。きっとデュメイはバルトークがすごく好きなんだな。2年前のバルトークの2番協奏曲もすごかったからね。ぴんと張りつめた音で、オーケストラを支配してた。
3曲目の『ツィガーヌ』はデュメイのおはこ。オーケストラがいなきゃ最高だったな。デュメイは無造作に舞台に出てくると、まだ拍手が鳴り止まないうちから引き出して、ジプシーのバイオリンみたい。フラジオレットの高音で泣きを取ったあと、最後のあたりは、もう暴走機関車状態で突っ走る。ところが、オケが付いてこない。この曲ってやっぱピアノとやった方が断然面白い。最後のアッチェレランドはかなり意図的に石炭をくべないと走らないんだニャ。グイグイグイって感じでデュメイが引っ張ってるんだけど、オケはもう息切れ。
某紙の評論家H氏はあたいの真っ正面の席だったけど(つまり、ステージ上のデュメイを挟んで、目と目が合う位置関係)、一曲目から身を乗り出して全身で音楽していた。このおじさん、よくあたいの行く演奏会で見かけるけど、評論家のくせして音楽が好きみたい。珍しいよね。ちなみにこの人は肉感派の評論家。チェルカスキーの音楽を評して曰く「エーテル的酩酊感」、コープマンの音楽からは「全身に気を受け、みんな元気印(^^;)になって帰途につく」・・・等々、数々の名言をモノしてる。(この人結構好きだニャ。)
ところでデュメイだけど、90年にへたくそなピアニストと一緒に来た時に、ツィガーヌを初めて聞いたんだけども、あのときも背中の毛が逆立っちゃったね。おととしのピリスと一緒にやったときも凄かった。この時が最高。やっぱり『ツィガーヌ』はピアノ伴奏のほうがいいな。
トンボの感想文でした。
5/18 紀尾井ホール シューベルト:弦楽三重奏(ヴィオラ店村真積)/ シューベルト:歌曲「岩の上の羊飼い」(ソプラノ高橋薫子、クラリネット山本正治)/シューベルト:五重奏「ます」(コントラバス吉田秀)
デュメイ&ピリス デュオリサイタル
5/20 武蔵野市民文化会館