デュメイ モーツアルトのコンチェルト第3番

原田幸一郎指揮、紀尾井シンフォニエッタ 5月11日

 



ガンバ:清水谷公園って猫が多そうね。

CoCo:この頃はデモもないし。

G:この夏はここで過ごそうか。

C:それもいいね。

ブチッケ:ニューオータニのそばだから、結構な残飯にありつけるかも。

デデ:うめそう。紅マグロの頭なんかねえか。



(てなわけで、例によってネコ達はモギリのお姉さんの足元をすり抜け客席へ)

D:ここに来ると落ちつくね。この前が王子ホールだったからよけいそう感じるのかもしれないけど。

C:うん。鉄屋さんのホールだけど、木をふんだんに使って、ロビーも広いし、天井も高いし。

G:鉄鋼だって不景気だろうに、やっぱりそこらへん鉄と紙の違いかもね。

B:でもこの前死んだ紙屋のおっさん、自分が死んだらゴッホの絵を棺桶に入れろとか生前に言ってたらしいけど、葬式の時どうしたのかなあ。

G:フォーカスだかフライデーだか知らないけど、小汚いオームのおっさんの盗み撮りよりも、紙屋のおっさんの棺桶の中を隅から隅までスクープして欲しかったね。

C:鉄屋さんも立派なホールを作る一方で、本業の方では高炉の火が落ちる一方だろうに。

G:文化よ。あたいは許したる。

C:おっと過激なご発言。鉄鋼労働者が暴動起こすよ。



(休憩時間・・・ロビーにて)

D:この紀尾井シンフォニエッタっていうのすごいね。

B:うん。影山誠治、澤和樹、菅沼準二、菅野博文、蛎崎耕三、堂阪清高、ペーター・ゾンダーマン・・・若手、中堅、まだ弾いてたのって感じの人をうまく配して、すごく厚みのあるアンサンブルだね。

C:おれの席二階のサイドでチェロ・バスが全然見えないんだけど、ブオーンって鳴ってるよ。

D:弦は8、6、6、4、2だけど、厚みがあるね。それに不思議だね。向かい側のバルコニーでひそひそ話しているおっさんの声が手に取るように聞こえる。上手側の席でチェロ・バスがよく聴こえるのもそのせいかなあ。ヴァイオリンもむしろ後ろのプルトの方から響いてくる感じがする。

C:そう、後ろで弾いてる人が思いきりよく鳴らしているみたいだね。

G:一曲目の「パリ」からパワー全開だったね。この曲はオーストリアの田舎町のオケじゃ絶対にできない作りになってるわけだけど、紀尾井シンフォニエッタの弦の厚みは、この曲にぴったりだったわ。

D:それにオーボエがうまかったねえ。原田幸一郎が振ってたけど、この指揮はどうだった?

B:可もなく不可もなく。アンサンブル重視でよく練り上げられていたけど、取り立てて個性的とか、特徴があるってわけじゃない。でも第三楽章の吹き上げるような大爆発は見事だったよ。このオケの能力が一曲目から全開。

G:デュメイの弾いた3番コンチェルトもよかったね。

D:デュメイの弾き方って一点一画もおろそかにしない、言ってみればすごく几帳面な演奏だと思うんだ。ともすれば優雅に流麗に流れてしまうモーツアルトのメロディーを分析して、一つ一つわかりやすく提示してくれる。曖昧なところがまるでない。くっきりと骨太に描いて見せてくれる。

G:そうそう。でもその一方で、速いパッセージをこれみよがしにアッチェレランドして、そのあとフッと息を抜いたように優しくオーケストラに渡してやる所なんか、ちょっと今風ではない、グランドマナーってやつじゃない。

C:そうなんだろうね。それに今日のオーケストラは柔軟でアンサンブルが練り上げられているから、前回のブラームスの時みたいに指揮者の役割までする必要がないぶん、成り行き任せって言うのか、すごくしなやかに、自由奔放に弾いてたよね。

B:でも、ときどき弾きながらズンズンと指揮者の前まで行って、原田幸一郎の顔を覗き込んでたけど。

G:あれはまあデュメイの癖なんじゃないの。でもきっと怖いよね。

B:今日は指揮台が低かったから、デュメイの顔の方が指揮者より上だった。

D:そういえば、王子ホールの時はステージのドアが低くて、のれんをくぐるような感じで登場したけど、ここのホールはステージ・ドアが高くて、颯爽と登場したね。

G:ところで、第二楽章なんだけど、あのレクイエムのラクリモーサに似た感じで、やたらと係留や前打音が多いじゃない。あそこらへん、古楽器でやると不協和音て感じじゃなくて、微妙な音のモワレみたいに聴こえるんだけど。今日は怖いくらいの不協和音のぶつかりあいに聴こえたわ。

D:うん。ぼくもそう思った。アポロンとディオニュソスの比喩じゃないけど、モダンの楽器だとディオニュソス的なモーツアルトが強調されるのかなあ。

C:むしろ合奏の洗練度の問題じゃないかなあ。このオケに一つ注文を付けるとすると、合奏の透明感が今一つって気がするんだけど。

D:確かにそうだけど、でも楽器の違いも大きいと思うよ。



なお、この演奏会の後半には交響曲36番『リンツ』が演奏され、満場の喝采を浴びておりました。(このオケの定期会員になろうかナア・・・と思っているデデ)



デュメイ&ピリス今後の公演予定

室内楽

5/14 紀尾井ホール シューベルト:ピアノ・ソナタ21番/幻想曲ヘ短調(連弾w小山実稚恵)

5/16 紀尾井ホール グリーグ:ヴァイオリン・ソナタ3番/ シューベルト:アルペジョーネ・ソナタ(チェロ:ジャンワン)/ ブラームス:ピアノ三重奏第一番

5/18 紀尾井ホール シューベルト:弦楽三重奏(ヴィオラ店村真積)/ シューベルト:歌曲「岩の上の羊飼い」(ソプラノ高橋薫子、クラリネット山本正治)/シューベルト:五重奏「ます」(コントラバス吉田秀)


コンチェルト

5/15 サントリー ショーソン:詩曲/ バルトーク:ラプソディー第一番/ ラヴェル:ツィガーヌ(w読響)←sold outらしい


デュメイ&ピリス デュオリサイタル

5/20 武蔵野市民文化会館


デデの小部屋(ホームページ)に戻る

音楽の小部屋に戻る

ボクの小部屋が気に入った、または
デデやガンバに反論したい、こんな話題もあるよ、
このCD好きだニャー、こんな演奏会に行ってきました等々、
このページに意見をのせたいネコ(または人間)の君、
電子メールmatufuji@mail.at-m.or.jpまで お手紙ちょうだいね。
(原稿料はでないよ。)