アルバン・ベルク四重奏団

5/29 サントリーホール モーツァルト/16番、19番、ベリオ/3番 

 



(焼き鳥DeDe Denにて)

デデ:ふーっ。とりあえず生ビール。それに焼き鳥適当にね。

ブチッケ:モーツアルトはいいなあ。ほっとするねえ。

ガンバ:そう言えばブチッケは子猫の頃ブラームスが大嫌いで、ブラームスが鳴ってるとテーブルの下に潜り込んで、ウ〜ウ〜ってうなっていたんだって。

CoCo:それでモーツアルトだと、のそのそ這い出してきて、お腹だしてうっとりして聴いていたんだって話だね。

B:えへへ。それほどでもないけど。アルバン・ベルク四重奏団は確か二年ぶりだと思うけど、かなり変わったと思わないかな。

D:うん、二年前って言っても、あの時は埼玉芸術劇場だかの柿落としのシリーズで、確か3夜連続現代音楽ばっかりだったよね。彼らの自家薬篭中の作品ばかりだったから、すごく精度の高い演奏で、それなりに楽しめたんだけど・・・

G:すごくうまいなっていうのはわかったけど、でもあのプログラムではちょっと、というか、かなり肩が凝ってとても楽しめたって感じじゃなかったわ。

D:ボクはあのときの『叙情組曲』なんかすばらしかったと思うけど。現代音楽とは何ぞやって話を始めるとグジャグジャになっちゃうから、ショスタコとか、プーランクとか、バルトークなんかは現代音楽に入れないとして、新ウィーン楽派っていうやつ、シェーンベルクやウェーベルンなんていうやつらは、感覚的に現代音楽だと思っていたんだなオレ。でもあの時の演奏を聴いたら、すごく正統派のアプローチなんだけど、叙情とか、ロマンティシズムとか・・・そういったものが感じられて、現代音楽にも美しい瞬間てあるんだなあって思ったよ。

C:そうだね。20世紀の作曲家っていうのは、意図的にメロディーとか和音とか、普通に音楽を聴いて美しいと感じる要素を切り捨てていっただろ。メロディーがある音楽を書くような奴はガキだって言わんばかりに。そこらへんの先鞭を付けたのがウィーン楽派だったわけで、そういう点では罪深い連中だな。でも、今聴いてみると、そう、本当にそこはかとない美しさがあるね。

D:こちらの耳が変わったのかもしれない。

G:うん。で、今日のプログラムはモーツアルト二曲にベリオ。

B:アルバン・ベルク四重奏団は必ず一曲は現代作品をプログラムに入れるけど、これってどうかなあ。

D:おいしいお菓子ばかりだと栄養が偏りますから、苦いお薬もちゃんと飲んで、ってとこかな。おいしいものの間に潜り込ませるっていうのも、食わず嫌いのお客さんには啓蒙的な意味合いがあるんだろうけど・・・でもボクは現代音楽ばっかりまとめてやってくれた方がすっきりするね。どうしてもプログラムの組み方として、古いものから新しいものへっていう不文律みたいなものがあるだろう。だからって、ベリオをトリに置くわけにはいかないよね。そうなると間に挟むしかないんだろうけど、モーツアルトと現代音楽との間を行ったり来たりっていうのは、聴く方にとっちゃ精神的にも辛いよね。

B:この四重奏団が変わったって話だけど。むしろ二年前よりも、三年前の演奏会と比べると面白いと思うんだ。確かあの時はブラームスをやったよね。

G:CDにもなったから覚えているけど、それまですごく切り込みが鋭角的だったのに、大分丸くなったって印象があるわ。

B:そう、そこなんだ。その時はキャリアから来るゆとりのようなものなんだろうなあと思っていたんだが、今回はそれともちょっと違ったね。一回面取りしてまあるくなって・・・

G:それから角が生えてきた。

B:その通り。確か去年、四重奏団を一時休業して、メンバーがみんなそれぞれ個別の活動をしていたよね。

D:チェロのエルベンや、ヴィオラのカクシュカもソリストとして来日してた。1stのピヒラーは指揮者をやったりして。

B:もともとうまい人たちだけど、ソロをやったりして、個人的にもまた一段変わったような気がするんだ。で、それがすぐに四重奏にも反映してくる。

G:以前からアンサンブルには定評のある団体だけど、今回はそれにソリスティックなスリルが加わったわね。

C:四人ともいくらうまいと言ってもやはりピヒラーのリーダーシップは絶対だったし、いわゆる「ピヒラー節」を聴きに行くのが一つの楽しみだったけど。今回はそれ以上に四人が自由に歌いだしたね。

B:そう、そこなんだ。ガンバが「角が生えた」って言ったのもそういうことだろう?

G:うん。トントンの時もそうだったけど、音楽ってまあるく、まあるく、収まっちゃうときれいだけど面白味がないのよね。

D:そこが「ウィーン弦楽四重奏団」と違うところかな。あれもすごくアンサンブルのいい団体だけど、でもやっぱりしょせんウィーンのオケのメンバーがやってるわけで、そういう音しかしない。

G:だから眠くなるのよね。

D:逆にピヒラーがあのままウィーンフィルのコンマスを続けていたら、ウィーンの音も変わったかもしれない。

C:そうかあ???



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