エルヴェ・ニケ指揮
ル・コンセール・スピリテュエル


2008年10月28日 オペラシティ



デデ: 前に一度、来日が決まっていて、なぜかキャンセルになりましたよね?

ブチッケ: うん、あれはフランス政府からの補助金が下りなくなったとかって話だったかな。ニケはチェンバリストととしては何回か来てなかったっけ。

デデ: そうみたいですニャー。で、今回はオペラシティと、何とかいう不動産投資会社がスポンサー。

ガンバ: まあ、こりゃまた微妙なタイミングでしたニャ。次はないね。

CoCo: というわけで、内容も究極の機会音楽でした。「水上の音楽」と「王宮の花火の音楽」。当時の編成を再現したんだとか。

ガンバ: いやあ、面白かった。プログラムにはやたらとオーセンティックだとかピリオド・アプローチってな言葉が使われていたけど、そんなことはどうでもいい話で、要するに一回限りの音楽を、当時の状態に近づけて再現してみたということ。今回は弦が30人ほど。これはかなりの大人数ですねぇ。それにトランペットとホルンが各9人。オーボエ、ファゴット、フルート(つまりリコーダー)を合わせて30人ぐらいだったかな?

ブチッケ: もちろん腕利きの奏者を集めているんだろうけど、個人の技量よりはマスの響きが面白かったですニャ。

デデ: ヘンデルの企画で名声を上げたようなイメージがあるけど、基本的にはフランスのオケ。特に弦のセクションなんかはとても繊細で流麗なフランス風の音がしていたけど、それも最初のうちだけ。ホルンが吠えて、ラッパが唸り出すと弦までヘンデルの色にすっかり染まって、ものすごい馬力を出していました。

CoCo: 倍音列の関係でラッパとホルンが、何の恥じらいもなくかなり楽しい音をぶつけてくるんですが、弦や木管のセクションも負けじと自分たちの音律を必死に守り抜く。普通は弦がラッパやホルンに引っぱられそうなところも、30人のマスで逆に押し戻そうとするあたりがこの曲の面白いところ。

ブチッケ: 広さが足りなかったみたいで、客席を2列削ってステージを広げていましたけど、80人ほどの巨大な編成の中に3つのオーケストラが互いに対峙していると言ったらわかりやすいかな。それがプログラム氏の言うところのオーセンティックということだと思いますニャー。指揮は当然のことながら、煽って煽って、どんどん駆り立てるわけですが、それでもアッチェレランドにならないのは、金管の腰の重さのおかげ。指揮者について行こうとしても、やっぱりどこか発音にタイムラグが生じるわけで、そこらへんもなかなか興味深かったですニャ。

CoCo: 逆にモダンのオケでやるようにもっさりした演奏をしたら、金管は持ちこたえられなかったよね。あのテンポだから吹けるってことでしょ。

ブチッケ: そうそう、高校野球の表彰式みたいなテンポだと、演奏者もたまらないだろうし、客だって聞いてられねぇ〜よ、ってことになるね。

デデ: さてさて、ニケの指揮ぶりですが・・・

ガンバ: あれはあれで、まあ、何と言いましょうか、外連味たっぷりと言ったらそのまんま東ですか。クネクネと・・・

デデ: タコ踊り。

ガンバ: そう、それよっ!!!

デデ: せっかくだから、不忍池の水上音楽堂とか、隅田川の屋形船とか、そこらへんのロケーションにもこだわったら、よりオーセンティック度が高まったのではないでしょうか。

ブチッケ: 右からペット、左からホルンに攻め立てられて、あたしゃまだ耳がジンジンしています。

デデ: 間違ってロックコンサートに入り込んじまったような、ものすごい音量だったね。



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