レッド・プリースト
“パイレーツ・オヴ・ザ・バロック”

2007年12月3日 津田ホール


デデ: 確か2年ぶりぐらいの来日?

ブチッケ: そうですニャー (=^^=)

ガンバ: 毎度毎度、楽しい4人組だニャー。リコーダーのピアーズ・アダムズは超絶技巧の持ち主。でも、オーセンティック云々にはまるでこだわらない。本当に金を払ったお客さんを楽しませてくれるんだよねぇ。

CoCo: オーセンティックだからつまらないというわけではないんだが。まあ、ともかく、聞かせ方、見せ方が独特なグループですねぇ。チェンバロのハワード・ビーチというのもなかなかのくせ者だし、ジュリア・ビショップは切れ味鋭いヴァイオリン。チェロのアンジェラ・イーストという人も、パワフルな方でございますニャ。

デデ: え〜と、前回はヴィヴァルディの四季を中心としたプログラムで、彼らの遊び心を存分に見せてくれたけど、今回は“パイレーツ・オヴ・ザ・バロック”と銘打った、はしゃぎまくりの2時間でした。「パイレーツ・オブなんたら」っていう映画があるの?

ガンバ: あるよ。

デデ: あ、そうなの。まあ、それから題名をパロったんでしょう。基本的には海とか、嵐とか、乱痴気騒ぎとか、切った張った・・・そんなような、情感溢れる哀愁の音楽。

ガンバ: どこが、情感溢れる哀愁の音楽なんだよぉ。

ブチッケ: まあまあ、日本だと子供の頃、おままごとと並んで男の子に人気があったのは、チャンバラごっこですニャー。

CoCo: おままごと?

ブチッケ: それと同じように、彼の国ではきっと海賊ごっこが絶大なる人気を誇っていたんでしょうなぁ。

ガンバ: なにしろイギリスと言えば、海賊の本家本元。正当派海賊、オーセンティック海賊の祖国だもんね。

デデ: 「姓はタンゲ、名はシャジェン」なんちゃって。

CoCo: ちゃうちゃう、「もし、御新造さんへ、おかみさんへ・・・お富さんへ、いやさお富、久しぶりだなあ。」

ガンバ: それも違うなぁ。「やぁやぁ、遠からん者は音にも聞け、近からん人は目にも見よ。我こそはキャプテン・ドレイクなり〜」って感じよ。

CoCo: 海賊ごっこかぁ。いかにもありそうだな。4人とも海賊風の出で立ちで、ホントになりきっていたよね。まあ、それで音楽だけど、バッハ、ヴィヴァルディ、ルクレール、ヘンデル、F・クープラン、ヴィターリ、タルティーニと、よくも並べたりってくらい、何の脈絡もなく海賊風な音楽を切り取ってきて、超絶技巧、超絶編曲で聞かせてくれたよねぇ。

ガンバ: このグループの楽しさは編曲の妙よね。バッハのホ長調のヴァイオリン・パルティータの16分音符の行列から、とんでもないメロディーや和声を見つけだしてきて、それをすごく効果的に響かせて、聴衆の度肝を抜くあの手法は、誰にも真似できないでしょう?

ブチッケ: チェンバロのハワード・ビーチが編曲した、クープランの「海賊たちの一日」。これもまあ、よく見つけてきたなぁって感心するくらい雑多な曲を寄せ集めて、海賊の生活を描くんだけど、それでも、ああクープランだなってところはちゃんと残っている。

デデ: パロディってのは、要するに本歌取りだから、本歌がわかっていて面白さが理解できるわけだよね。編曲もそこらへんの匙加減が憎たらしいくらいうまいね。

ブチッケ: アルビノーニのアダージョだったか、チェンバロのお兄さん伴奏を両手で弾きながら、1音だけだったけど、メロディーを鼻で鳴らしましたニャー。いや、鼻を鳴らしたんじゃなくて、鼻で鍵盤を弾いたってことね。

CoCo: やっぱり鼻息じゃ弾けないよね。

デデ: ヴィターリのシャコンヌなんかよかったな。ヴァイオリンの曲だけど、彼らがやるととんでもないはじけっぷり。それから、最後はやっぱりヴィヴァルディの「海の嵐」。

ガンバ: こればかりは絶対に外せませんね。アッという間の2時間だったけど、あれだけきちっと計算ずくで楽しいステージを作るってのは大変だろうねぇ。

デデ: 演奏家にも色々個性があるわけで、誰でもできることじゃないけど、やっぱり基本は「お客さんは金を払って、楽しみに来ているんだ」ってことだよね。


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