カッペッラ・デッラ・ピエタ・デ・トゥルキーニ

“天使と悪魔”
18世紀ナポリのオペラ・セリアとオペラ・ブッファ

ソプラノ:マリア・エルコラーノ
テノール:ジュゼッペ・デ・ヴィットリオ

2006年6月18日 イタリア文化会館


デデ: 蒸し暑いですニャー。

CoCo: まさに梅雨まっさかり。いやな雨です。九段坂を上がってくるあたりで、あたしゃ汗ぐっしょり。

ガンバ: で、このイタリア文化会館て、お堀端の景観問題でやり玉に上がっている建物だけど、それほど、珍奇なものとも思えなかったけどねぇ。

ブチッケ: 千鳥が淵の側から見ても、さほど全貌が見えるってわけじゃなし、お堀の向こう側から見ると目障りってことなのかな?

CoCo: そこの地下二階に素敵なホールがありました。定員が370人とかいうことですが、通路を広く取っているせいか、かなりゆったりした感じ。最近売り出し中の白寿ホールっていうちまちましたホールに比べると、雲泥の差ですニャー (=^^=)

ガンバ: そうそう、響きも落ち着いていて、古楽に向いたホールって気がした。ただ、一般の演奏会が行われるようなところではなさそうだし・・・

デデ: 22日にはイタリア×チェコのパブリックビューをやるみたいですニャ。22時から29時っていうから、夜通し飲んで騒ぐ算段ですニャー (=^^=)

CoCo: それはともかく、日曜の昼下がり、カッペッラ・デッラ・ピエタ・デ・トゥルキーニという、舌を噛みそうな名前のアンサンブルを聴きに行きました。アントニオ・フローリオっていう指揮者は、どちらかというと研究者というイメージがありましたが・・・

デデ: やっぱり、基本的には研究者のタイプなんでしょうねぇ。イタリアのバロックアンサンブルというと、徹底的に歌って、歌って、歌って喋る、ビオンディのところがまず思い浮かぶわけですが、このグループにはあのような、あざとさ、ケレン味はまったくありませんでした。

ガンバ: これでもかってくらい、歌い、泣き、笑い、聞き手の心を揺さぶるガランテの音楽とは、かなり距離を置いた演奏ねぇ。私は、ケレン味たっぷりの音楽も好きだけど。

デデ: で今日は、演奏会のタイトルにもあるとおり、天使の歌、つまりカストラートが活躍するオペラセリアと、悪魔の歌、つまりオペラブッファの聞き所を取り混ぜた曲目でした。それもナポリの作曲家の作品ばかり集めて。まず、ドメニコ・ガッロの弦楽合奏のソナタ。これはまあ、さほどウキウキするわけでもなし・・・弦が湿っていたんでしょうかねぇ (=^^=;;

ブチッケ: その後は、ナポリの作曲家のカンタータやらオペラのアリアやら盛りだくさんのプログラム。ベテランのジュゼッペ・デ・ヴィットリオが何と言っても「役者やのぉ」。

ガンバ: うんうん、タランテッラの時もそうだったけど、土俗的なもの、風土的なもの、その土地ならではの雰囲気、この人が歌い出すと、イタリアの太陽が輝き出すんだわさ。

デデ: フランチェスコ・プロヴィンツァーレのパロディ・カンタータ『そのとたんに引き裂かれ』では、(たぶん)男女二役を楽しそうに歌ってたね。それから後半に歌われたニッコロ・グリッロのカンタータ『置きなさい、眠るための日』も、身振り手振りを交えて熱演。

ガンバ: ホントに歌っている表情が豊かなんだわ。指先までピシッと力が入って、背がピンと伸びて、全身で演技をしているんだ。

CoCo: 前半にはレオナルド・ヴィンチという作曲家の『パルテノペ』というオペラのアリアが歌われたけど、これはどういう芝居なんでしょうねぇ。アリアを聴いただけじゃなんともわけわからん次第でして。

ブチッケ: まあ、主催者が心もとないところだから、ろくに解説もないし、仕方ないわな。でもマリア・エルコラーノっていう若いソプラノ、ちょいと小粒ではありますが、なかなか小気味よい歌を聞かせてくれたと思います。安全運転じゃなくて、ちょこっと弾けたところに可能性を感じましたです。

CoCo: うんうん、技術はしっかりしていたし、これから楽しみな人かもしれない。

デデ: 最後に二人並んで、ジュゼッペ・ペトリーニのインテルメッツォ『グラツィエッロとネッラ』というナポリ方言のデュエット。これは燃えましたねぇ。

ガンバ: 後半は特に、弦もガンガン鳴り始めて、迫力があったわね。それから、通奏低音に入っていた、ギターがいい味出してたし。

ブチッケ: アンコールのファンダンゴ。まさにフラメンコそのもののデュエットだったけど、ピノさんがカスタネットを両手に持って、心地よいリズムを刻んでいました。



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