デデ: よく降りますニャー。
ブチッケ: 今日は台風最接近の中での演奏会でした (=^^=;;
ガンバ: 毛皮も肉球もびしょびしょなのよぉ。
CoCo: というわけで、最悪のコンディションの中、不便なホールまで二日続けて行って参りました。
デデ: まず武蔵野の方から。モーツァルトのとっつぁんやセガレの音楽、それにシンフォニーやオペラの編曲(?)ものを集めたプログラムでしたが・・・
ブチッケ: 普段絶対に聞くことができない音楽を聞くことができたという点では、なんですな、興味深いプログラムということが言えるんでしょう。
デデ: まあ、カツァリスの場合、すべてがピアノの為っていう意識が強そうですから、ちょっとどうかなぁって思う曲まで、プログラムに入れちゃいますよね。それで楽しめる人は、それでいいんでしょう。
CoCo: 前半は一族の小品がずらっと並んでいましたけど、その中で飛び抜けていたのがW.A.モーツァルトのカプリッチョK395。これだけはコンサートで弾くに耐える曲だったんじゃない。あとは「おもちゃの交響曲」の編曲とか、クサヴァーの「ドン・ジョヴァンニ変奏曲」とか・・・
ガンバ: ドン・ジョヴァンニなら、リストをやって欲しいよね。
デデ: 後半は編曲モノを二つ。「後宮からの誘拐」の序曲と最初のテノールのアリア。それから交響曲40番。
ブチッケ: オペラの方はカツァリスの編曲だそうですが、編曲というよりも、コレペティさんがピアノで弾いているって感じかなぁ。特段の工夫もなかったし、さあお芝居が始まりますよぉってな、ワクワクする雰囲気に満ちていたわけでもないし。
デデ: それはフンメル編の40番にも同じことが言えるよね。オケの譜面をピアノ用に書き換えただけで、何の工夫もなかったでしょ。
ガンバ: 40番は当時「怖い」って言われた、デモーニシュな曲でしょ。メヌエットの不協和音ぶつかり合うところとか・・・ピアノでやると、エレガントだけどやけにすっきりし過ぎて、曲の持ち味がまるで出なかったわねぇ。
CoCo: ピアノの技巧を見せるためにプログラムに入れたんだろうけど・・・
デデ: さて白寿の方ですが、これは昨日とうってかわって、カツァリスの持ち味がよく出た、聴き応えのある演奏だったと思うけど。
ガンバ: うんうん。前半がシューマンで、花の曲、アラベスク、子供の情景、予言の鳥(森の情景から)、パピヨン。この中では予言の鳥が飛び抜けて名演だったと思うけど。
CoCo: おいらは子供の情景を聞いて、おやっと思ったですニャー。お得意の曲だから、レコードになっている津田での演奏も含めて日本でも何度も弾いているし、ああくるな、こうくるな、っていうのはわかっているつもりだったんだけど、ずいぶんスタイルが変わってきた印象がありますニャ。
ガンバ: そうそう、それよ。カツァリスの演奏スタイルが変わってきているでしょ。以前だときらびやかな音色の変化で聞かせるっていう側面があったわよね。今回は、ペダリングを見ている限り、いろいろやっているのは確かだけど、それ以上に音楽の中味に踏み込んできたなっていう印象。ただ、ピアノの音色を聞き取れる席じゃなかったんで、もうちょっと響きのある席で聞けば別の印象を持ったかもしれないけどね。
ブチッケ: パピヨンではロマン派の面目躍如って感じかなぁ。この人本質的にロマンチックな人なんだと思うんだ。それがシューマンの名曲を弾いて開花したっていう気がしたね。でも、まだ控えめかなぁ。もっともっと熱いロマンを語れる人だと思うんだけど。
ガンバ: そこなのよ。まだ、試している感じがあったでしょ。これからどう変わっていくのか楽しみなんだわさ。
デデ: 後半はショパンで、ワルツ、ノクターン、練習曲を三つでしたか。
ブチッケ: こちらでも、演奏スタイルの変化が顕著でしたニャ。以前は聞き手をはっとさせるかのように、内声を強調してみたり、アインザッツをずらしてみたり・・・それはそれでとっても面白かったんだけど、今回の演奏は本格派の道を歩み始めたかなっていう、ほのかな予感を感じさせてくれたかな。
デデ: エチュードも、技巧が前面に出る曲じゃなくて、しみじみ歌を聞かせてくれるような選曲だったし・・・カツァリスは低迷していた時期が長かっただけ、これからが楽しみっていうところでしょうか。
ガンバ: 次の来日が試金石になるかもね。
CoCo: そうだ、最後にとってつけたみたいだけど、バッハのトッカータとフーガ ニ短調のピアノ編曲が演奏されました。まあ、ショーピースってことでしょう。お客さんも湧いていたし。