京劇 西遊記

『三打白骨精』

湖北省京劇院

2004年5月28日 東京芸術劇場


(平和通り、和平飯店にて、豚耳を食らいつつ)

デデ: 楽しみにしていた京劇ですニャー (=^^=)

CoCo: ホントは去年の今頃やるはずだったんだけど、SARS騒動でキャンセルになった演目だよね。湖北省の京劇は数年前に来日して、『天宮を騒がす』で大熱演をした劇団でした。

ガンバ: いやあ、あん時の悟空はすごかったね。でまあ、かなり期待していたんだけど、その期待に違わぬ舞台だった。

デデ: とにかく程和平っていう孫悟空専門(?)の役者が、まあなんというのか人間業とは思えない技を披露しますねぇ。

ブチッケ: 人間じゃありません! あれは猿です。

ガンバ: 確かに。で、どちらかというと「西遊記」に入る前の悟空が大暴れする話の方がスペクタクルなんだけど、今回は三蔵法師やら猪八戒やらも登場して、「西遊記」の本編だったのよねぇ。

ブチッケ: 「西遊記」の本編の話って、大抵妖怪が現れて、アホの三蔵が騙されて、悟空が助け出すってストーリーですニャ。今回も白骨の化け物、「白骨精」が三蔵を捕らえて食らおうというお話しですな。幕が上がると白骨精の洞窟。一昔前の京劇とは違って、最近は紗幕やら書き割りなんかをずいぶん取り入れるようになったけど、この洞窟の書き割りはなかなか豪勢な作りでしたニャー。

ガンバ: オペラの豪華な舞台みたいだったよね。白骨精がひとしきり三蔵の肉を食らう策略を披露し、やがて荒涼とした山奥の風景に転換。通りかかった三蔵一行は腹ぺこ。悟空が「絶対に動くな」と言い残して、食料を探しに出かけている間に、白骨精が食うニャン、じゃない姑娘の姿で登場。食い意地が張った猪八戒が娘の後に付いていこうとすると、悟空が戻ってきて娘を打ち殺してしまうのよね。

デデ: 三蔵は悟空の殺生をとがめるんだけど、今度はその母親というのが出てきてしまう。死体を見せちゃまずいっていうんで、隠そうとするんだけど、見つかってしまう。悟空はこの母親も殺してしまう。三蔵はまたまた悟空を責めるんだけど、自分が妖怪に惑わされているってことには全然気付かない。

ガンバ: 呑気な坊さんよね。

CoCo: 西遊記の三蔵はあのアホさ加減がいいんですニャー。三蔵が思いっきりアホじゃないと、物語が成立しないんだよねぇ。で、次には娘の父親が登場し、またも悟空が殺してしまうでしょ。それで、三蔵は悟空を破門してしまう。傷心の悟空はすぐにスタッフサービスに電話し、斉天大聖の職が空いているのをよいことに花果山に舞い戻り、手下の小猿に囲まれてふんぞり返っている。当然、三蔵一行はすぐに白骨精に捕らえられてしまう。ここまでが第一幕になっていましたニャ。

デデ: 二幕は、かろうじて逃げ出した猪八戒が花果山の悟空の元へ助けを求めに来るところから。ここのエッラソウな悟空とおマヌケな猪八戒とのやりとりはなかなか湧きましたニャー。

ガンバ: いやあ、猪八戒役の朱世慧っていう俳優もうまかったわね。いい味出してた。西遊記の本編になると、猪八戒のコミカルな役どころがすごく重要なんだけど、この役者は面白かった。京劇には珍しくかぶり物をする役だけど、顎の部分が動くでしょ。あのもっさりとした風貌が何とも言えないわねぇ。

ブチッケ: 巨大な耳を悟空が引っ張りながら、「酒の肴にちょうどいい」って言うところは爆笑でござんした。

CoCo: あとはまあ、お決まりの大立ち回り。「燃焼系、燃焼系、アーミノ式」を5倍ほどパワーアップしたアクロバットを延々と繰り広げる華麗な舞台でしたニャ。

ガンバ: 今回の演出では、二幕目の立ち回りをかなり拡大して見せていたんでしょうけど、まあ、体操では絶対に中国に勝てないってのがよくわかったよね (=^^=;;

デデ: ですな。主演の程和平は宙返りの切れ味も鋭いんですが、どちらかというと見せ場は、バランス技。四方八方から投げつけられる刀や棍棒を如意棒で受けて投げ返すとか、投げ上げた青龍刀を如意棒で受けてから、棒の先で直立させたりとか、なかなか見せてくれましたニャー。

CoCo: 後ろの席のオッサン、「うお〜、すげー」なんて声が漏れてたよ。で最後は、やっぱり投げ上げた剣を鞘でスポッと受ける得意技が決まって、メデタシ、メデタシ。



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