(津田ホール地下 ユーハイムに集うネコども)
デデ: ビール、ぐびぐび。
ブチッケ: ソーセージ、ぷりぷり。
ガンバ: ハンバーグ、むしゃむしゃ。
CoCo: シチュー、とろとろ。
デデ: ぷはぁ〜。というわけで、今晩のエンリコ・ガッティ&アンサンブル・アウロラ、なかなかんめかったですニャ。
ガンバ: なんか、この書き出し、どこかで使ってない? う〜む、手抜きっぽいよ。
デデ: まあまあ、そう詮索しないで。あんまり久しぶりなんでHTMLの書き方を忘れちまって・・・たまたまオルランド・コンソートの感想を天ぷらにしてしまったという次第で (=^^=ゞ
ガンバ: それはテンプレートでしょ?
デデ: そう言う地方もあるらしい。
ブチッケ: それはともかく、ホントにオルランド以来ですニャー。このごろ古楽の演奏会がすっかり枯れてしまって。あの後もリュートのルッツ・キルヒホフ、ガンバのパンドルフォ、それにベネチア・バロック合奏団とかいうのまで聞きに行ったのに、何と申しましょうか、まあ生理的嫌悪感が先立ってしまう演奏と言うんでしょうか、何とも感想の書きようがない音楽ばかりで、いずれも演奏会の前半だけ我慢して後半は帰ってきちゃいましたニャー。
ガンバ: ベニス・バロックじゃなかったっけ? ベネツィア・バロックだったかな。まあ、名前はどうでもいいや。あのヴァイオリン弾きはちょっと信じられなかったわねぇ。
デデ: あれで金取るのかってね。まあ、そのような悲劇的上半期でしたが、秋シーズンのお聞き初め、ガッティの演奏会は久々にいい音を聞いたって感じですかニャー?
CoCo: うん、とにかく技術的には非の打ち所がないアンサンブルだった。2本のヴァイオリンが伸びやかな音色で完璧な音程を奏でると、第3の音(差音)が鳴るでしょ。あれが何とも気持ちいいんだニャー。
ガンバ: どちらかというとガッティという人は、モレノ兄弟とアンサンブルしても、クイケンのところでも第2、第3の人って感じがしていたけど、自分のアンサンブルも持っていたんだ。日本人でクイケンの弟子っていうと、みんな揃って奇妙な癖のついたミニ・クイケンといった弾き方をするけど、このガッティという人はすごく伸びやかな音色で、クイケンの弟子とは思えないアクのないヴァイオリンを弾くわね。
デデ: そうそう、そこが何となく他の人の影に埋もれてしまう原因でもあるのかなぁ。
CoCo: え〜と、今日のプログラムは、フォンタナ、セルマ、カステロ、マリーニ等々、17世紀前半の器楽曲ばかりずら〜〜〜〜〜〜〜っと15曲余り並べて、盛りだくさんなメニューでしたニャー。これだけごちそうが並んでいると、よだれダラダラ。
ブチッケ: どれも「2声のソナタ」とか「3声のソナタ」とか、後期バロックの器楽曲の形式感とはちょっと違うものですニャ。中には結構有名なものもあるし、素人なりに演奏してお馴染みの曲も混じっていました。まあ、形から言うと、ソロソナタ、トリオソナタの原型みたいなものと考えて間違いないんでしょうが、後期バロックのソナタに比べると低音がすごく重要な意味を持っているわけですニャ。
ガンバ: やっぱりルネサンスのポリフォニーから抜け出したばかりの時代だからね。でもたぶんモンテヴェルディのモノディ様式っていうのが当時の音楽家たちにはすごく新鮮で魅力溢れるものだったんだろうな。それ以降の音楽はどんどんモノフォニーに傾いていくよね。
デデ: そう音楽のバロックはある意味、オペラから始まったわけで、器楽曲もその様式感からはずれていないよね。今日演奏されたような曲はどれも数分程度の短いソナタばっかりだけど、その中に目まぐるしいほどのテンポや調子の変化が盛り込まれているでしょ。レチタティーヴォ風の語りがいつの間にかアリアになり、また語りになり、今度はダンスミュージックになっているって具合だよね。まさに劇場風の作りじゃない。
CoCo: 劇的な変化・対比といった、芝居気たっぷりな構成の妙が聞かせどころだし、腕の見せ所だよね。ガッティさん以下アンサンブルの面々は、大した力量だし、繊細な和声感覚を持っているんだけど、こういう劇場的おもしろさを十分に聞かせてくれたかというと、イマイチ外連(ケレン)味が足りない気がしたニャー。すごく響きのいいホールで極上の音色を聞かせてくれて、それはそれなりに満足なんだけど・・・
ブチッケ: まさにそこでげすニャ。ルネサンスの軛から解き放たれて、自由な音楽を手にした喜びというのか、こんなこともできるんだぞぉ〜っていう楽しさ、驚き、そういった感情が伝わってこないんですニャー。
デデ: テンポの変化やリズムの変化も、予め決められた枠から飛び出せない、お釈迦様の手のひらで踊る孫悟空、まあ、言ってみればそんな様子で、なにやら予定調和的に聞こえてしまって、ワクワクするような躍動感にはやや欠けるきらいがありました。えーと、チェンバロとポジティフ・オルガンを弾いたグイド・モリーニという人は、なかなかきれいな対旋律を聴かせてくれたりしましたが、アンサンブルを引っ張るという感じではなかったですニャ。イタリアンのチェンバロは魅力的な響きでした。ガッティが柔らかい素朴な音色を持ち味にしているのに対して、セカンド・ヴァイオリンのクラウディア・コムスという人は、艶やかなよく響く音色でした。この日一番の喝采を浴びていたのがファゴットのエレーナ・ビアンキ。ベルトーリのソナタでは超絶技巧の限りを尽くして、一場をかっさらってしまいましたニャー。