武久源造 コンヴェルスム・ムジクム

「コンチェルトの夕べ」

2003年11月18日 自由学園 明日館 講堂


デデ: 今日は自由学園明日館の講堂で行われた武久源造とコンヴェルスム・ムジクムの演奏会でした。

CoCo: ここは雰囲気がとてもいいホールだよね。フランク・ロイド・ライトが設計した、日本では数少ない現役の建物ですニャ。

ガンバ: 全体的に低めの建物群で落ち着いた雰囲気よね。え〜と講堂の方はライトじゃなくて遠藤新の設計だけど、設計の方針はライトの理念を踏襲している感じね。

デデ: 本題は建築じゃなくて、そのホールがどんな響きをするのか、興味津々といった感じで出かけたわけですニャー。

ブチッケ: 違いますがな。CPEバッハの「チェンバロとフォルテピアノのためのコンチェルト」をやるっていうんで、急遽押っ取り刀で駆けつけたんでございますがニャ。

デデ: そうでした (=^^=ゞ
最近はフォルテピアノもよく演奏されるようになってきましたが、この曲はあまり演奏されることもないんで、どんなもんだろうって興味で聞きに出かけたわけでしたニャー。演奏会の最初は11月なのになぜかコレルリのクリスマス協奏曲。その出だしから私のけぞりましたです、はい。

ガンバ: そう。すごかったねぇ。音がストレートに響いてくるんだもん。弦楽器やチェンバロのザクッとした雑音部分まで直に伝わってくる。残響という点では限りなくゼロに近いホールなんだけど、楽器の生の音が直接ズサッと来るのよねぇ。

CoCo: 身震いしましたニャー。プルプル。出だしはちょっと音程が甘いかなぁと思ったけど、だんだん楽器も温まってきたのか、切れ味と迫力が増してきましたです。コレルリのコンチェルトって、緩急が目まぐるしく交代するでしょ。あのテンポの交代が実に潔かったよね。全員が確信を持って新しいパートに入っていくというのか。

ガンバ: それから弓の切れ味というのか、マルカートやスピッカートを思いっきり効かせるところと、最後のパストラーレのように柔らかくしなやかに弾く部分との対比もなかなかだったわよ。え〜と次のマルチェロのオーボエコンチェルト。

ブチッケ: これはね、まあ、何と言ったらよござんしょう。なかなか管楽器はまだ日本では・・・

デデ: それはともかく、3曲目のビーバーの「戦争」ははぢけちゃっていましたニャー (=^^=)ノ
もともとちょっと珍奇な曲だけど、さすがの作曲者もあんな演奏は思ってもいなかったんじゃないかな。

CoCo: 「楽器による寸劇」って感じですかニャー。音楽で合戦場面を描写しているんだけど、もう舞台だけじゃ狭すぎる。演奏者は客席を匍匐前進しながらゲリラ戦。かと思うと、ステージ両端に陣取ったチェロとヴィオローネが大砲の撃ち合い。弦が切れるんじゃないかって心配になるくらい強烈に、ピチカートを指板に叩きつけていたよね。

ブチッケ: 後半はまずバッハのヴァイオリン協奏曲。イ短調でしたっけ。これは正統派の名演でしたニャー。

ガンバ: うんうん。そうこれがやっぱ今日一番の聞き物だったよね。

デデ: 独奏の宮様こと桐山建志のヴァイオリンが唸ってました。

ガンバ: 宮様、うまくなったねぇ。このグループ全員についても言えることだけど、リズム感、ビート感がいいのよね。第一楽章のアウフタクトの入りにしても、ビートが落ちるべきところにきちっと収まっていて、こりゃ聞いているほうも気持ちがいいし、弾いている方はグングン乗っていくわけなんだわさ。ゆったりとした第二楽章でも、聞いた感じとしては一小節を一拍に大きく取って、うねるような雰囲気だったでしょ。あそこはチェロ・バス(諸岡範澄と諸岡典経)がしっかり低音を支えて気持ちよかったニャー。

デデ: さてさて、最後にお目当ての「チェンバロと・・・」だったんだけど・・・

CoCo: う〜む。

デデ: オリジナルはトラベルソが大活躍して、ホルンなんかも入っている大がかりなコンチェルトなんですが、今日はエコ編成(?)で管楽器はオーボエ一本だけ。まあこれがちょっと全体の足を引っ張りましたニャー。

ガンバ: トラベルソにしろホルンにしろ、入っていればいいってわけじゃないけど。

デデ: 武久がフォルテピアノをイマジネーション豊かに弾いていたのに対して、チェンバロを弾いたオ・ジュヒというのがちょっと発想が貧困というのか。まあ無難にはこなしていたんですが・・・

ブチッケ: そんなこんなで、イマイチって部分もあったけど、全体に楽しい一夜だったんじゃない。

CoCo: そうそう。日本にもいつの間にかこんなに上手いグループが誕生していたんですニャー。


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