クルカの弾く、ドヴォルザークのヴァイオリン・コンチェルト

2002年4月24日 N響演奏会 サントリー


(デデのひとりごと)

演奏会のチラシでちょっと懐かしい名前をめっけ。というわけで、ポーランドの巨匠、コンスタンティ・クルカの演奏を聴きにサントリーまでちょいとな。前回この人を聞いた時は、まだ若々しい東欧系の美男子(?)だったかな。今回はもう50代の半ばになって、かなり恰幅もよく、貫禄も十分。

音楽は以前より落ち着きが出てきた感じ。かつては猪突猛進、すさまじい技巧と馬力で音楽をなで切りにする感が強かったんですが・・・クレーメルと同い年。先日聞いたデュメイより2つ上。スピヴァコフの3つ下。この年代は優れたヴァイオリン弾きが目白押し。まさに団塊の世代ですニャ。その中でもスピヴァコフと並んで技巧派の最右翼といっていいでしょう。

ただし、アメリカ系の技巧派とは違って弾き崩すようなことが全くない。下品なビブラートも使わない。ダブルストップや急速なフレーズを除き、常に細やかなビブラートがかかった超美音です。ところがこの完璧な技巧に美音をもってしても、音楽が面白くない。特に第一楽章のとりとめもないロマン派風の形式(?)のなかでは、まったく進む方向が見えてこないんですニャー。どんなに技巧的なパッセージを取り出してみても、文句の付けようがない完璧な演奏なんですが、これは一体どうしたんだろう。

第二楽章の美しい歌。これも大変魅力的。だけど聞いているうちに眠気を催してくる。なんかこの日サントリーに集まったお客さん全員が、集団催眠にかかったような雰囲気でしたニャー。N響にしちゃ結構入っていたんですが。そう、8割近く席が埋まっていたんじゃないでしょうか。緊張して演奏に聴き入っているというよりは、半睡半覚醒の静けさと言ったらよいでしょうか。

この雰囲気はワクワクするような第三楽章に入ってもずっと続いていました。楽しい楽しいダンスのリズムに乗って、思わず踊りだしたくなるような曲ですよね。よく不協和音の協和音への解決とか、緊張と弛緩なんて、二項対立的な概念で音楽を説明することがありますが、こんな単純な説明すら頷きたくなるような演奏でした。最初から最後までハイテンションで、超美音の演奏を聴かされると、そのテンションの高さ自体が退屈になってくるんですニャー。つまり、どんな小さな驚きも発見も見いだせない。第三楽章でのテンポやリズムの目まぐるしい変化も、予め定められた範囲内での、予定調和的変化にしか聞こえてこないんですね。ハッとして思わず身を乗り出したりする瞬間がない。

かなり苦痛を伴う演奏会でした。決して下手な人じゃないんだけど・・・

最初にドヴォルザークの「オセロ」序曲、後半には「新世界」が演奏されたはず・・・です。後半まで聞かなかったんで・・・(=^^=ゞ 指揮は、え〜と、アッシャー・フィッシュという人。


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