レ・ヴァン・フランセ

プーランク:ピアノ、オーボエ、バッソンのためのトリオ
バーバー:「夏の音楽」
リムスキー=コルサコフ:ピアノと管楽器のための五重奏曲
サン=サーンス:デンマークとロシアの歌による奇想曲
グリンカ:悲愴トリオ
プーランク:ピアノと管楽器のための六重奏曲


クラリネット:メイエ
フルート:パユ
オーボエ:ルルー
ホルン:ヴラトコヴィチ
バッソン:オダン
ピアノ:ル・サージュ

2002年3月17日 オペラシティ


(終演後、猫酒を聞こし召しながら)

ガンバ: ふ〜。

ブチッケ: ふんがぁ〜。

デデ: フニャニャ。

CoCo: うふっ。みんなどうしたのよぉ??? なかなか楽しかったじゃない?

ガンバ: ま〜ね。でもねぇ。

デデ: うん、「でもねぇ」ですニャ。一曲目のプーランクのトリオ、いやあ、すごかったですニャー。オーボエのフランソワ・ルルーとバッソンのジルベール・オダン、プーランクの軽妙洒脱な音楽になりきっていましたです。ニコニコしながらステージに現れたご両人、ピアノの和音に乗って歌い出した瞬間から、別世界に連れて行かれたようなショックでしたニャー。まさに自家薬籠中の一曲、いかにでも料理して聞かせますですって感じでした。

ガンバ: バッソンが大音響で最初の1フレーズ。それを受けてオーボエがルフラン。それから猛烈なスピードでスケールを駆け上がって主部に突入するあたり、もう、ハラハラ・ドキドキ。こりゃあとんでもない演奏会になるんじゃないかって思ったわねぇ。

ブチッケ: はい、思いました。プーランクとしては若書きの曲でござんすが、それだけにわかりやすい、ストレートな曲ですニャ。第2楽章の歌もたっぷり歌って、しかも軽みを失わない。すばらしい掛け合いでしたニャー。第3楽章は猛烈なテンポで、さながら上方のどつき漫才。だけど、どつかれているいるばかりじゃない。椅子に座らず立ったままの演奏でしたから、たまにはひらりと身をかわしたりして。御両名、なかなかの役者ぶりでござんした。ただ、この曲ではピアノのエリック・ル・サージュがイマイチ音が定まらないというのか、試行錯誤しながら響きを見つけているっていう感じでしたニャ。

CoCo: まあ、オペラシティだから仕方ないよ。もうちょっとまともな響きのところでやらないと、室内楽は難しいよね。二曲目のバーバーだけど、どう思った? それなりにいろいろ工夫があって、かなり細かく書き込まれた曲なんだと思うけど、なんだか面白くなかったなぁ。

デデ: 複調というのか多調というのか不思議なハーモニー。それから、リズムもかなり入り組んだ構成になっていたようで、時々ハッとする瞬間もあるんだけど、ちょっと長すぎるよねぇ。10分あまりなんだかモコモコ焦点が定まらない曲を聴かされていると、やっぱり早いとこ終わってくれ〜って気になるわなぁ。ちょこちょこと刈り込んで4分30秒ぐらいにしてやってくれたらよかったかな。

ガンバ: 前半のメイン(?)がリムスキー=コルサコフの五重奏。プーランクを知ったあとで、この手の曲を聴くのはかなり苦痛が伴うわね。

デデ: うん、これだったらなにも管楽器を4本も動員する必要ないだろうって気になるよね。管楽器のアンバランスな特徴、それぞれの楽器の持つ個性ってのかな、そういったものを一切無視して、弦楽四重奏みたいな書法で書かれているから、なんともまあ、あくびが出てきましたです。

ガンバ: クラリネットのポール・メイエはいろんな音色を使い分けて、音楽がわかっているなって感じがしたけど、積極的に曲の全体像にかかわろうって気はなかったみたいだし、フルートのパユと、ホルンのヴラトコヴィチだっけ、この二人は完全にお客様になりきっていたわね。

CoCo: そうそう、オーボエ、バッソン、ピアノあたりの、核になるメンバーに比べると、ホルンとフルートはちょっと弱かったかなぁ。

デデ: それからちょっと面白かったのは、ホールの響きに関することだけど、例えばオーボエやクラリネットみたいな直管楽器でも、横向きか正面を向いているかで全然響きが違っちゃうんだなぁ。まあ、ホルンはベルが後ろ向きだから、常にステージのはじっこで跳ね返ってくる音しか聞こえない。1階の5列目でこれだから、まったく音が定まらないよねぇ。ピアノが四苦八苦していたのもよくわかった。

ガンバ: 後半の最初、サン=サーンスの奇想曲はよくやる曲ね。フランス風グランドマナーと言ったらいいのか、とにかく華麗な曲だけど、あまり中味はない。でも、管楽器の書法としてはプーランクに次いで、こなれているわね。

ブチッケ: はいな。ピアノコンチェルトなんかと同様に、外連味たっぷりの曲ですニャ。まあ、これはそこそこ楽しめました。ただ、さっきデデが言ってたけど、やっぱり響きの問題が・・・パユの笛、かなりハスキーヴォイスでしたニャー。

デデ: ロシアのシューベルトって趣のグリンカの曲を挟んで、最後がお目当てのプーランクの六重奏でした。

ガンバ: うう、うう、ううっっっっっ。た、た、た、楽しみにしていったのに。期待していたのにぃ。

ブチッケ: 確かに上手かったですな。そつがなかったです。でもそれだけ。第1楽章の中間部の入り。バッソンの一くさりなんぞ、よかったですよ。

CoCo: 第2楽章のゆったりとした歌い回し。なかなかすばらしかったよ。

ガンバ: この曲になって、ピアノもやっと響きが定まってきたかなぁ。でもね、それだけじゃダメ。これだけのメンバーを集めながらプーランクの楽しさ、軽妙で、洒脱で、しかもちょっと芝居がかった味わいが全然伝わってこなかったのはなぜなのっ?

デデ: やっぱ、お客さんに問題ありかな。この曲ってホルンにかなりのウェイトがかかってくるでしょ。ヴラトコヴィチは上手かったけど、積極的に何かを表現しようって気はさらさらなかったね。フルートも似たような吹き方。やっぱりオーケストラプレーヤーなんだなぁ。

CoCo: ん?

ガンバ: つまりね、責任は人に押しつけるってやつよ。この曲はある意味でバロックのアンサンブルみたいなところがあるでしょ。全体のバランスを崩しても、ここはオレが見栄を切るんだぁってな図々しさが必要なんだけど、フルートとホルンはそこらへんがわかっていないのね。

デデ: まあ、悪くはなかったです。でも、やっぱりちょっと不満が残る演奏会でしたニャ。


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