デデ: え〜と、ついに21世紀に突入ですニャー。
CoCo: 別にめでたいってほどのことはないですがニャ。
ガンバ: で、まあ、新年恒例のテレマンアンサンブル。今年もまたバッハなのよねぇ。
ブチッケ: 去年はバッハ、バッハと大騒ぎでしたが、もういい加減にしてもらいたいものでげすな。
デデ: とはいうものの、今回の演奏会は有名曲ばかりを集めて、それなりに楽しめたんじゃないでしょうか。
ガンバ: 去年、確かブランデンブルクの5番で笑劇の、いや衝撃のデビューを飾ったトラヴェルソの森本っていう人、今回はイマイチだったかなぁ。もちろんバックの問題もあるんだけど・・・
デデ: そうねぇ。柔らかな音色で、きれいな音を出すんだけど、今回はちょっとインパクトに欠けるというのか、歯切れが悪いというのか、ちょっとがっかりでしたニャ。序曲はかなりきびきびしたテンポで、期待を持ったんだけど。あれはやっぱり中野の音楽ですニャ。
CoCo: そう。もうちょっと、バックと丁々発止とやっていいところもあるはずなのに、バックの中に埋もれちゃって、前に音が出てこなかったねぇ。一番面白かったのがポロネーズのトゥッティだったてのは、ちょっとね。
ブチッケ: 2曲目の「もろびと歓呼して神を迎えよ」も、なんだかこぢんまりとした演奏で残念。ソプラノの中村朋子っていのは初めて聞く人だったけど、どうよ。
デデ: たぶん、風邪でもひいていたんじゃないのかなぁ。なんだか全然声が通らなかったね。トランペットもきちんと吹いてはいたけど、なんだかソプラノに遠慮しているような感じで、生き生きとした躍動感がありませんでしたニャー。
ガンバ: そうそう。バッハはかなりデーハーな曲をたくさん書いているけど、その中でもとびっきり華やかな曲じゃない。これって。ソプラノの超絶技巧的コロラトゥーラとトランペットが、もっと壮絶なバトルを繰り広げないと面白くないわ。
CoCo: 特に4曲目のコラールから、スビトで5曲目の「アレルヤ!」に飛び込むところ。あそこなんか、もうちょっと何とかならないもんかニャー。なんとも締まりがなくて・・・(=^^=;;
デデ: テレマンアンサンブル自体も、かなり中野の音楽に馴染んできたのかなっていう気はするんだけど、まだ、決め所というのか、この音はアクセントを利かせて、こっちはサラッと、といった細かなニュアンスまではなかなか意思統一ができていませんニャー。
ブチッケ: う〜む。なかなか時間がかかりそうですニャ。ところで、後半のチェンバロ・コンチェルトは文句なく楽しめましたです。新バッハ全集の譜面を使った演奏だとかで、トゥッティの部分が聞き慣れたのとは、ちょっとばかり違っていましたが、チェンバロとの掛け合いもなかなかのものでしたニャー。
ガンバ: うん、うん。ちっちゃなコンチェルトだけど、聞かせどころがたくさんあるし、2楽章は泣かせるし、ソロとバックとの駆け引きもなかなかうまくいってたんじゃない。中野振一郎は結構大胆にテンポの変化をつけてみたりして、なかなか工夫の跡がうかがえる演奏だったわね。
デデ: 最後が、有名な三重協奏曲。あまりにも有名な曲だけど、私は実演に接するのは初めてでしたニャー。
ブチッケ: うん、部分部分は、有名な曲のパクリだから、耳に馴染んでいるけど、実際に聞くのはあっしも初めてでした。とにかく長大な曲だけど、やっぱりバッハって編曲が、んめえな。
デデ: 確かに。去年の暮れだったか、いや、11月だったかな。いろんな曲をガンバとヴァイオリンだったかに、編曲して聞かせるっていう演奏会を聞きに行ったんだけど、あれはとてもじゃないけど耐えられない演奏会だったでしょ?
ガンバ: うん。ありゃひどかったねぇ。
デデ: そういう演奏を聞いた後だけに、やっぱりバッハ自身の編曲はすごいニャって思ったわけ。第1楽章と第3楽章は若書きの、前奏曲とフーガ。でもどうだろう、これって、後の「イタリア協奏曲」につながっていく系列の曲だよね。
CoCo: そうですニャー。「前奏曲とフーガ」っていっても、ものすごく生き生きとした明るさがありますニャ。ただそういった点を表現しきっていたかというと、この日の演奏はやっぱり、かなりダレていませんでしたかニャ。やっぱりバックの弦の連中の感じ方がね・・・
ブチッケ: そこでござんすニャ。それから、トラヴェルソとヴァイオリンも、もうちょっと何とかならんものかのぉ。その一方で、オルガンのトリオから編曲された第2楽章はかなり聴き応えを感じましたです。
ガンバ: ところで、今晩、中野振一郎の譜めくりをしていたオッサン・・・
デデ: あああああ、あ、その話はやめておきましょうね。