レオンハルト チェンバロ演奏会

12月9日 Aプロ おフランス物

12月12日 Bプロ ドイツ物


第一生命ホール


(デデのひとりごと---ぶつぶつ)

え〜と、9日は、F・クープラン、ダングルベール、ルルー、バルバトル等々、主におフランスのクラヴサン音楽をずらっと並べて、最後にフリーデマンのポロネーズで締める(?)という趣向。例によって、本人がよほど気に入っているのか、ギタルラの貸し楽器(ケネディ作のミートケ---シャルロッテンブルクにある楽器のコピー)で用を足しておりました。

で、この楽器、まるで鳴らない。響かないんですニャー (=^^=;;
CDで聞くとすばらしい楽器のように思えるんですが、録音美人といったらよいのか、実演ではニュアンスが余りにも貧弱。音のカスばかり増幅される楽器です。レオンハルト自身もこの日はまるで生気のない演奏でがっかりでしたニャー。まあ、往年の鬼気迫る演奏はもう無理としても、もう少しその片鱗でも聞こえてくるんじゃないかと、期待して出かけたんですが・・・もっともレオンハルトは、実演では好不調の波が激しい人なんで、1日聞いただけじゃわからないというのが正直なところ。

一転して12日はかなりの弾き込んできたようすで、かなり楽しめました。ただし、7〜8列目より後ろまでは、音は届かなかったようですが。まあ、2日インターバルがあったんで、楽器の方もたぶん調整したんでしょう。構造的に二組の8フィートの音色のコントラストが少ない楽器ですが、この日はかなり効果的に使い分けができていました。それと、4フィートも多少出したのかなぁ。

ルイ・クープランの組曲、そのプレリュードからぐっと引き込まれる魅力がありました。緩急自在なテンポ感、1/f 揺らぎと申したらよろしいんでしょうか、聞く者の心情にぴったりと寄り添うような、自然な音楽が紡ぎ出されておりましたです。はい。アルマンド、クーラント・・・と、かなり頻繁にレジスターをいじっておりましたが、繰り返しのたびに装飾に変化をつけて楽しい演奏でしたニャー。

続いて同じくルイ・クープランのファンタジーを2曲。ファンタジーと言いながら、どちらかというと対位法的な曲だったでしょうか。最近まで未公開だった写本の中にある曲だそうですが、出版が待たれます。

フローベルガーはレオンハルトの得意とするところですが、組曲とトッカータを交互に2曲ずつ。それから、有名なラメント。リュートの形式の模倣から始まったとされるチェンバロ音楽ですが、もうここまで来るとリュートとは完全に一線を画した域に達しちゃってます。ここでも、レオンハルト節が全開。繊細な装飾をゆとりを持って聞かせる技術は、やはり並ではない。

ベーム、パヘルベルの小品を挟んで、この日ピカイチだったのが、ラインケンのトッカータ ト短調。これも未出版で、写本のみ存在するという曲だそうですが、まあ、バッハが憧れたというだけあって、おっそろしく技巧的な曲でしたニャー。対位法的展開がなくはないんですが、すぐに猛烈な走句に取って代わられる。そんな曲をレオンハルトは緩急自在に楽しんで弾いていたようです。

後半はバッハばかり三曲。最初がファンタジア イ短調。若書きですが、オルガンのトッカータとフーガを彷彿とさせるような急速な走句と、コラール風の荘重な調べとが目まぐるしく交代する曲。特にコラール風の部分の小粋な弾き方が気に入ったね。

短い断片だけの組曲ヘ短調を挟んで、最後に弾かれたのが、有名なラウテンヴェルクのための組曲ホ短調。リュートで演奏されることもありますが、やはり、この曲はチェンバロじゃなくっちゃね。バッハがリュートを弾けたのかどうかは知りませんが、まあ、弾けたとしてもたぶん下手だったんでしょうねぇ。リュートの語法をまねているとはいえ、正真正銘の鍵盤音楽ですニャ。そんなことを知らしめてくれるような演奏だったと言えば、感じがおわかりになるでしょうか。

まあ、ともかくも、9日よりは遙かにましな演奏で、よかったよかった。でも、あの第一生命ホールというのは、古楽や室内楽をやるホールじゃないですニャー。そこらへん、呼び屋の方にも問題があるんでしょうが、安易な企画に便乗せず、もうちょっと真剣に考えてもらいたいものです。


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