モスクワ放送交響楽団

チャイコフスキー

弦楽セレナーデ
祝典序曲 「1812年」
交響曲 第5番

指揮:フェドセーエフ

2001年7月9日 サントリー


デデ: ビールのんめえ季節ですニャー。

ブチッケ: さいざんす。日が陰った夕方あたりに生ビールをグビグビっとな。

CoCo: ところがどういう風の吹き回しか、ビヤホールじゃなくて、ビール会社のホールへ。

ガンバ: まあいいじゃない。すきっとした演奏だったし。

ブチッケ: そうでげすニャー。当日券売り場にも多少は行列ができていて、8割方埋まっていたんじゃない?

デデ: うん。結構ファンがいそうですニャ。え〜と最初の弦楽セレナーデですが、16編成での演奏は久しぶりに聴きました。ロシアのオケの伝統でしょうか、ヴァイオリンがステージの左右に分かれて、チェロが下手側。ファーストの奥に位置する並びですニャー。で、ベースが真っ正面に横一列。モダンな響きのするオケとは正反対で、重低音がブォ〜〜〜ンと重厚に響いておりましたニャ。

ガンバ: フェドセーエフの指揮は、過度な甘ったるさがなくて、ズンズン突き進んでいく感じね。冒頭の序奏部分からあまり粘らずにインテンポで押していく。重音のところで、開放弦がチャリーンと響くところなんか、粘りすぎているとちょっと場違いな感じがするんだけど、あのテンポなら納得ね。

CoCo: 第2楽章のワルツではさすがに、随所に書き込まれているrit.を十分に聞かせてくれましたが、気持ちがよかったのは第3楽章のエレジーかニャ。速めのテンポだけど、だからといって歌心がないわけじゃない。カンタービレの主題が各パートに移動して、チェロ・バスのアンサンブルになるあたりでは、なかなか聞かせてくれたんじゃないですか。

ブチッケ: 2楽章もそうでしたが、対位法的な処理を施している部分がクッキリと描き出されていましたニャ。アクセントの付け方が見事に揃っているのと、それから、楽器の配置も有利に働いていたと思うんだが。

ガンバ: それから、ピツィカートの鮮やかさ。16編成でピツィカートがあれだけ揃っているのは珍しいんじゃない。

デデ: 二曲目の1812年だけど、これはどう思った。まあ、作品としては描写音楽なのかなぁ。人気曲ではあるけど、内容的にどうこう言うほどのものじゃないよね。だからかな、目一杯エンターテインメントに徹した演奏だったと思いませんでしたかニャ。

ガンバ: 冒頭のホルンのアンサンブルからして、聞き惚れちゃったぁ。ロシアの民謡やら、フランス国歌やらがゴッチャゴチャになって出てきて、最後に鐘が鳴って、ナポレオンの敗退を告げ、ロシアの勝利を歌い上げるってなストーリーね。あのウスペンスキー寺院だかワシリー寺院だかの鐘の音だけど、チューブラーじゃなくて、本物の鐘を使って大迫力だったぁ。

CoCo: 最後の帝政ロシア国歌の部分、ワンコーラス目は管楽器だけで、弦が入っていないのに、あのド迫力。特に金管の響かせ方がうまいですニャ。ルフランになって弦が入ってきたけど、弦楽セレナーデで大活躍した弦でも、ほとんど聞こえないほどだったでしょ。

デデ: 当然です。モスクワの町はあの時炎上しましたからニャ。残ったのはブラスだけ。まあ、ブラスが大活躍すると、迫力はありますな。後半は交響曲の5番。冒頭の哀愁を帯びたクラリネットの一吹きから、ぐっと惹きつけられましたニャー。第2楽章の有名なホルンのソロからオーボエにつなぐあたりも、なかなかのものじゃなかったでしょうか?

ブチッケ: ワルツの弦もよく弾いていましたです。中間部、あのテンポでよくそろいますニャー。

デデ: 堂々とした行進曲風の第4楽章ですが、これはちょっと好き嫌いが分かれるかなぁ。弦の第一主題、木管の第二主題、ここらへんは大変美しかった。でも展開部あたりから、各セクションのバランスがかなり変じゃなかった?

CoCo: あれは指揮者の意図なのか、それとも、オケが勝手に突っ走っちゃったのか。でも、聞こえるべきパートはしっかり聞こえていたし、オーソドックスな演奏とは言い難いけど、バロック的なバランス感覚というのか、「俺が俺が」っていうのか、各楽器が競い合うように盛り上げていったのは面白かったよ。

デデ: コーダに入る前にポーズがあって、ゆったりと最後の主題を歌い出すってのがオーソドックスな演奏だとすれば、今日のは正反対。ティンパニが大音響でコーダに突っ込んじゃって、ほかのパートがそれに引っ張られるかのような感じで、入ってきて。あれは予定通りなんですかねぇ?

ガンバ: まあ、ともかく、すかっとした演奏というのか、切れ味のある演奏だったんじゃない。

ブチッケ: アンコールも派手なものを並べて、雪娘から「道化師の踊り」。それに続けて、外山雄三の「ラプソディー」。外国のオケがラプソディーをやるのは初めて聞いたけど、前半の「追分」の部分はちょっとあちらのフルート吹きには難しいのかなぁ。でも、後半の八木節のところは、日本のオケではちょっと無理ってくらいの迫力でしたニャー。

ガンバ: 生ビールもいいけど、こういうお気楽な演奏会ってのもたまには楽しいわね。



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