バッハ/無伴奏チェロ組曲から、1、4、5番

チェロ:ジャン・ワン

2001年4月9日 カザルスH


デデ: もうすかっり春、というか、初夏の感じですニャー。

CoCo: 桜は散っちゃったけど、桜餅がんめぇのよお。

ガンバ: ケヤキの新緑も鮮やかね。

デデ: というわけで、春の一夜、ジャン・ワンの無伴奏リサイタルに出かけたわけですが、なかなか楽しめたんじゃないでしょうか。

ブチッケ: ジャン・ワンてぇのは漢字では、王健と書くらしいけど、まあ、もちろん中国人のチェリスト。一般に知られるようになったのは、デュメイ、ピリスと組んだトリオで、ブラームスやモーツァルトを弾いてからかなぁ。

デデ: で、そのトリオの演奏会を初めて聞いたのは5〜6年前だったと思うんだけど、その時にも、強烈な印象を残していったよね。

ガンバ: 何というのか、雄大で、朗々としたチェロを弾く人だなぁって感じ。一癖も二癖もある二人に挟まれながら、まったく物怖じせずに実に伸びやかな音楽を奏でていたわね。

CoCo: で、今日の無伴奏のリサイタルだけど、もう、最初の1番の出だしから、圧倒されたね。あの楽器の鳴りの良さ、グイグイ弾き進んでいくテンポ感、絶妙なルバートと、その後の弾き始めの鮮やかさ・・・

ブチッケ: まず、テンポはかなり速めかな。モダンの演奏家の場合、立ち止まってゆっくりと自分の音に酔いしれてしまうっていうチェリストが多いけど、この人は音そのものが豊穣な響きをしているから、無理に鳴らそうとか、響かせようとかいう気負いみたいなものは全然ないですニャ。

ガンバ: でも、やっぱり、サラバンドのゆったりしたテンポはなかなかよかったわよ。

デデ: うん。サラバンドは、そう、かなり歌わせていたね。それと、アルマンドだけど、1番と5番はかなりゆったりと弾き進む感じだったけど、4番のアルマンドは、かなりアップ・テンポだったんじゃない。

ガンバ: あたしゃ、あのテンポはちょっとおかしいと思うけどニャー。

CoCo: いや、そんなことはないんで、同じ舞曲でも作品によっていろいろ工夫があるっていうこと自体、面白かったけど・・・

ガンバ: でも、たとえば4番のジグなんか、すごいテンポでねじ伏せるっていうような弾き方だったじゃない。あれはちょっとどうかなぁ? なんかちょっと、受けを狙っていなかった?

ブチッケ: いや、なかなか、よござんしたよ。まあ、あのテンポじゃ実際に踊るのは大変だろうけど。

デデ: 今日の演奏会で、やっぱりジャン・ワンらしさが一番出ていたのは、5番じゃなかったかな。ハ短調だから、チェロの最低音までフルに使うし、しかもスコルダトゥーラで、A線を2度下げるじゃない。だから、全体的に低音の方に寄った作りで、あの朗々とした響きが、なかなか豪快だったと思うんだけど。

CoCo: バッハのオリジナルはスコルダトゥーラを指示しているけど、今日は普通の調弦で弾いていたような気がしたけどなぁ。でも、本当に楽器がよく鳴っていたねぇ。あの響きの悪いカザルスホールでも、囂々とした大音響がホールを満たしていたよね。

ガンバ: もちろん、プレリュードのテンポの変化とか、小粋なクーラントもすばらしかったけど、優雅なサラバンドから、豪快なガヴォット、そして最後のジグまでの追い込みがすごかったわねぇ。でも、私はどちらかというと1番のト長調がよかったかな。

デデ: まあ、好きずきはあるでしょうか、超一級のテクニシャンで、魅力的な音色を持った演奏家であることは確かですニャ。これからが楽しみです。


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