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撮 影 前 の 環 境 準 備
一眼レフカメラとマクロレンズを揃えただけで水槽の前に陣取っても、普通は動き回る小さな魚はまず撮れません。撮影をする前に撮影環境の準備を行います。

(1)撮影用水槽の準備
  餌付いていない魚をいきなり本水槽へ放すことはほとんど無いかと考えられます。その場合、餌付け用水槽が設置されていることでしょうから、この水槽を撮影用の水槽として用います。私の場合、45cm幅の一般的な水槽です。

水槽設置の際には、水槽正面(撮影面)にキズが無いことを確認して設置します。

私の場合、目を凝らしてよくよく見なければ判らないほどの浅い傷がありました。マクロで撮影するのでこの傷が拡大され、撮影時に魚と重なって何度も悔しい思いをしました。

後で水槽の設置をやり直すということはとても大変なのです。
 

(2)セパレーターの作成
  餌付け水槽なので魚の隠れ家としての石を入れてあります。そのために放した撮影対象の魚が隠れてしまい、いつも姿を見せてくれるとは限りません。また45cm幅とはいえカメラで魚を追っていくのはとても大変です。そういう場合の為にアクリル板でセパレーターを作成しておくとスムーズな撮影ができます。

セパレーターで区切った中に撮影対象の魚を入れます(下図参照)。魚が体調を崩さないようにする為に小口径のホースや分岐ソケットを用いて少しだけポンプからの循環水が入るようにしておきます。

セパレーターは撮影が終わったら取り外して、そのまま餌付け水槽とします。透明なアクリル板で作りました。
 
     
  奥行き10㎝程度のセパレーター   水槽を上から見たところ  
         
(3)照明器具を用意する
  一般的に、普通に設置した水槽では撮影するにはどうしても明るさが不足します。オートで撮影する場合、明るさが不足すると、カメラは光を取り込もうとして自動的にシャッター速度が遅くなり、撮影時のブレが生じます。

明るさ不足の対策として、ストロボを利用する方法と照明を追加する方法があります。ストロボを使用した撮影では魚のヒレの棘や軟条まで数えられるほどクッキリと写せますが、背景もクッキリと写りすぎて奥行き感がなくなります。しかし白背景で撮る時にはストロボが有効です。ここでは照明を追加する方法の紹介です。

一番手軽なのがクリップスタンドを利用する方法(下図参照)。使用する電球は電球型蛍光灯、レフランプ(白熱)、LED電球と選べますが、今では環境配慮の社会情勢からLED電球を選択せざるを得ない状況となっております。何個か使用しますが、カメラのホワイトバランスの設定をし易くするために、使用する電球は全て同じものを揃えます。


 
     
  クリップスタンド(LED電球用)   左:レフランプ 右:LED電球レフタイプ  
         
  一般家庭用として普及しているLED電球はレフランプ(白熱)のように300Wや500Wと同等の明るさを持つものはありません。それでは何個使えば良いのか?というのを試してみましたので参考にしてください。

使用したLED電球は普及価格で売られているレフタイプのもの(上右写真)で明るさは 850lm(ルーメン)、購入時点では最も明るいタイプでした(シャープ:DL-LR81N)。45cm水槽の上部から2灯は常時点灯しているので、あと何個追加すればシャッタースピードが稼げるのかな?ということになります。
 
 

撮影モードはプログラムモード(絞りもシャッタースピードもカメラまかせ)で撮影。使用したレンズは SIGMA 50mm F2.8 MACRO で、ISO感度は400の設定です。何枚か撮影して一番多かった数値を記載しています。

 
上部 2灯 上部 2灯 上部 2灯 上部 2灯
- 前面両脇に 1灯 前面両脇に 2灯 前面両脇に 2灯
1/30 秒 1/90 秒 1/125 秒 1/90 秒
F2.8 F2.8 F3.5 F2.8
ISO 400 ISO 400 ISO 400 ISO 200(参考)
     
 

ブレが起きにくいシャッタースピードとして、私の場合 1/60秒以上を目安としています。しかし、魚は動く、手ブレがおきやすくなる 1/60秒では、撮れた画像はほとんど偶然に近いものがあります。

ホームページに掲載している160枚(2014年6月現在)の画像の中で1/60秒で撮れた画像は10枚だけです。ちなみに、一番枚数の多いシャッタースピードは1/100秒(59枚)です。

照明を追加しても、撮影するすべての範囲において上記シャッタースピードが確保できるわけではありません。照明の中心光軸から少し離れた個所や、黒っぽい形態の魚ではシャッタースピードが遅くなる傾向になります。

上記結果から無難だと考えられるのは③です。シャッタースピードとF値(絞り値)のプラスマイナスに余裕があります。

④はISO感度を400 ⇒ 200に設定した場合で、シャッタースピードは遅くなってしまいます。

ISO感度を上げることでシャッタースピードを早くすることができますが、画像はザラつく傾向になります。撮影するカメラの画像がザラつかないISO感度の限界値を把握しておくことも必要です。

上記の実験はシャッタースピードを確保するためのものです。人の眼で見た照明は明るいと感じても、カメラからみると暗いんだなと判ってもらえれば幸いです。

尚、ピントの合う前後の範囲(被写界深度と言う)を広くするにはF値(絞り値)を大きくする必要があります。しかし、F値(絞り値)を大きくすると ⇒ シャッタースピードが遅くなってしまいます。

水槽の前に座って先ず1枚撮ってみましょう。その時のF値とシャッタースピードを見て、余裕がない場合はISO感度を上げていきましょう。

 
     
(4)座りものを用意
  撮影時間はおおむね1匹あたり1時間、片ひざ付いてパチリ!とはいきません。重いカメラを構えたままの姿勢が長く続きます。カメラを構えた時に水槽面と平行になるような高さの座りものを用意しておくと疲れません。

私の場合は床に座る態勢になるので、ダンボールを束めて丈夫な紙で包んで使用しています。
 

(5)服装は黒色に着替えよう
  白系統の服装だと水槽に自分の姿がほんのりと写ります。撮影した画像をパソコンに取り込んで確認している時に気が付くもので、しかもどういう訳かピントが合っている画像に限って写りこんでいたりするもので、あとで悔しい思いをします。部屋を暗くしても水槽照明の光を受けて写りこんでしまいますので、上半身だけで結構ですから黒系統の服にしましょう。