since 97.5.03
1996年10月11日開始
火だるまG
第35回:1998年3月11日
HELP/ THE BEATLES/( 65 IN HELP )
Get A Grip On Yourself/ THE STRANGLERS/(77 IN Rattus Norvegicus)
MY MY, HEY HEY (OUT OF THE BLUE) /NEIL YOUNG/(79 IN RUST NEVER
SLEEPS)
本日3月11日は我がコモンストックの7回目の誕生日。
年に1度のことでもある。恥も外聞もなく泣きを入れよう。
コモンストックを愛しいと思ってくれている人たちよ。いつもありがとう。どうもね。でもコモンストックはけっして不死身ではないよ。もしかしたらこれが最後の誕生日かもよ。
俺は、もうすぐ40歳。これまで、本も読んだ、映画も見た、絵も見た、酒を喰らった、女の人とも付き合った。俺は楽しいことが好きだ。俺は素敵なことが好きだ。俺は感動に打ち震えることが大好きだ。
そんな俺から見ても、コモンストックで適当に酒を呑みながら、大音量でロックを浴びるという行為は、今現在でも、当代一級のエンタテーメントであると断言できる。たしかに俺は当人ではあるのでいくらか差し引いて聞いてもらってもかまわないのだが、俺みたいな快楽主義者、好事家がいうのだから間違いがない。現時点に置いて、具体的にコモンストックのパフォーマンスと比肩するエンターテイメントとして、俺の頭に思い浮かぶのは、恋愛と創作くらいである。でも恋愛には相手とチャンスが必要だし、創作はどこまでもしんどい。
嫌な言い方だが、たとえば2000〜3000円の金で、なんらかの感動を得たいとする。楽しみたいとする。おのれの心を活性したいとする。そんな時に君はどうするか? いわゆる普通の飲み屋に酒を飲みに行く? それもよろしい。同僚と一緒に会社の話で盛り上がってくれ。会社にゃ悪口いいたくなるような上司もリストラでいなくなって盛り上がりにいまいちかけるのならお互いで非難の応酬をしあえばいい。彼女と一緒にいって酔っ払わせて後でセックスするのがベストだけどね。映画? いいじゃない。ハリウッド制作の大人の漫画見てストレス解消思いきり脳味噌を解放されたし。ヨーロッパやアジアの難しい作品を見て、自分の問題を棚にきちんとあげた上で他人の問題を深く考察するのもおしゃれだよね。野球を観戦に? それもいい。君は勝負が好きなんだ。君の人生も勝てるとイイね祈ってあげよう。俺は生まれつき負け組がひいきだ。
でもコモンストックは、そんなのよりず〜っといいよ。
適量の酒とロックの大音量のタッグマッチには、人間の虚飾を剥いでリアルにさせる力がある。いくら他のことを考えようとしても、否応なしに次第次第に何が自分にとって大事なことかを考えるように俺たちを追いつめてくれる。そんなのは御免蒙りたいとロックとバイバイするのも建設的な方法論だが、そこまでは一度行ってみることにはおそらく意味がある、引き返すのはそれからでも遅くはない。だからそのくらいまでは俺たちに付き合っておくれよ。
ちなみに俺はコモンストックを続けることが大事なことと思っている。しかし・・・・・・。
それでは泣くぞ。
コモンストックのお客さんが減っています。僕は新しい人、まだコモンストックに来ていないけど実はコモンストックに来るべき人と、僕の命のある間にできるだけ多くお会いしたい。
ほとんどすべての権威が崩壊した。なにか信じられるものが欲しくてみんな右往左往している。信じて楽になりたいと思っている。しかし信じられるものに焦がれる前に、僕たちは、まずすべてのものを疑ってみるべきだ。当然信じられるものが欲しいと思っている自分自身をも。
この世に信じられるものなどない。絶対的に正解の人生などない。満足するかどうかはすべてが一人一人の心持ちの次第だ。東大を出て大会社の社長になっても不幸な人がいる。新宿の地下道で段ボールの中で微笑みを浮かべながら薔薇のそりの夢を見ている人もいる。
喜びも哀しみもすべては他人の瞳の中ではなく、おのれの心の中にあると知った時に人間は初めて解放される。そして初めて他の人間をいとおしく感じる。
ロックはそのことを教えてくれる。時代がロックを求めている。
僕たちがガキの頃、ジョン・レノンやニール・ヤングやマーク・ボランのいっていることと、当時の大人たちのやっていることを比べてみて、僕たちはこういう大人になりたいと思った筈だし、ああいう大人にはなりたくないと思った筈だ。しかし今僕らのまわりには、ああいう大人ばかりだ。これはどういうことなのだ?
ロックのキングたちはみんなとっくに退場したけど、ロックは死んではいない。ロックの、あんたは本当はどうありたいのか? というメッセージは不滅だと僕は思う。街はそういうことからは遠い娯楽で満ち溢れてる。そんな娯楽の一過性の祭りの後の哀しみはもう人間が耐えられないレベルまで到達している。長野オリンピックも消費されて骸となり、これからしばらくは、サッカー一色にこの国は染まる。しかし、本当のエンターテイメントというのは、決して、消費しきれない、思い出と話のネタをこえた、リアルな感動を受け手に与えるものだ。終わってしまう哀しみに飽きたら終わらないなにかに人間は焦がれるべきだ。
コモンストックには、いつでもそのための端緒があると僕は信じている。コモンストックはマジックの卵。
これで泣き言を止めます。
僕のこの歌詞にスポットをあてる連載で、取り上げる曲の音楽面が最高に格好いいことは保証します。大音量で10回続けて聴いてみてください。きっと感じるものがあるでしょう。(この企画、文章、考え方などの著作権は一応存在するといっておきます)
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