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1996年10月11日開始
火だるまG
第30回:1997年12月25日
DEATH OF UNPOPULAR POET/JIMMY BUFFET(73 IN A WHITE SPORT COAT AND A
PINK CRUSTACEAN)
年末と四十目前という状況があやとなって、どうも、ふだんなら、ポジティブに割り切れることが、割り切れきれずに、辛くて、酒を飲む。
俺の酒は、ダウン系ではなく、ハイになる酒だから、どうやら、それで少し気が紛れる。
たとえば、人と別れるだろうこと、出会いがあれば別れあり、花に嵐のたとえもあるぞ、サヨナラだけが人生だ、ガキの頃から肝に刻み込んだはずのおまじないが、あんまし、効かなくなった。
年をとると、次の出会いがあるのだろうかという不安のほうがリアリティを増してしまうのか? それでは、次の出会いさえ保証されていれば、別に今の別れなんて哀しくともなんともないという、不埒な心の裏返しのような気もしてきて、今哀しみを覚えつつある人に対してのおのれの無礼が許せそうもなく、それで、酒になる、てな、感じかしらん。
しかし、それでも、酒を飲むと、出会えた喜びに杯を掲げたくなるから不思議である。
それで、気のいいKNを連れて、もはや、早朝のNVへ着くと、ちょうど帰ろうとしていた若い男が、俺の顔を見て、あっ会いたい人にようやく会えた、僕はまだ帰りません、と叫ぶ。
そうそう、Oと会うのも久しぶりだ、俺はいつもど真夜中ばかりだから、彼とのタイミングが合わなかったのだろう。それにしても、これだけ露骨になつかれると、さすがに、露骨に嬉しい。
Oの部屋はNVの近く、24歳の時に書いた小説を読んでくれというから、おおいいよ、というととりに帰った。
戻ってきた、薩摩隼人のOは、寒さに震えが止まらない。東京も初雪だ。
原稿用紙85枚。中学時代にいじめられた経験のリアルな写生だ。題名は『いきながらブルースに葬られて』。ジャニスである。
気のいい、KNも一緒に読んだ。
いくつか、偉そうなことを言った後、でも、よくできている、本当のことが書いてあるからと、俺はOに言った。
帰りの電車の中で、KNが、その昔に、やはり、いじめられたことがあり、Oの作品はけっこう入って読めたと言った。
俺は、OやKNをいじめる奴がいたら、ぶっとばしてやる。
雪が小雨にかわり、ねぐらへと向かう、道すがら、俺はまた、出会いと別れと年をとることについて、考えながら歩いた。
きっと、明日も酒を飲むことになるのだろう。
僕のこの歌詞にスポットをあてる連載で、取り上げる曲の音楽面が最高に格好いいことは保証します。大音量で10回続けて聴いてみてください。きっと感じるものがあるでしょう。(この企画、文章、考え方などの著作権は一応存在するといっておきます)
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