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WRITE IT LOUD!! ROLL OF ROCKS

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                        1996年10月11日開始

                                  火だるまG

第23回:1997年9月11日

THE FINAL CUT/PINK FLOYD(83 IN THE PINK FLOYD)



死んだ魚みたいな濁り眼では
直感的に真実を認識することはおぼつかない
澄み渡る青空を飛んで行くような精神ともほど遠いし
びくびくと隠れているいつもの穴蔵にきりもみ降下するのがおち

もし君が下記の諸問題に片を付けてくれて、私がそこまでたどりつけたら
あの壁の向こうになにがあるのかを教えてあげられるのに
犬を退治すること
レーザー探知機をどうにかごまかすこと
番人のショットガン対策
暗証番号
牧師の説教

肩のあたりにひどい天然痘の注射のあとのある青年が
エロ本で
女のコたちとセックスをしている
彼の表情は
心を入れ替えれば、このように、だれもが自分を愛してくれるのだろうか?
というのと
これは夢に違いない!
の、中間あたり

そこで、おたずねします

僕が君に僕の暗黒をお見せしても
まだ今晩抱きしめてくれますか?
僕が心を開き
僕の弱き心をお見せしたら
君はどうしますか?
そのネタを週刊誌に売る?
子供たちを連れて里に帰る?
そして
電話をしてくれて
大丈夫よって笑って
荷物を送ってね

迎えに来てね
の、どちらをささやくの?

昔から、すべての感情をあらわにすべきだと思ってきた
昔から、カーテンなんか切り裂きたいと思ってきた
ナイフが僕の手の中で震えている
準備は完了
でも、そこで電話が鳴る
僕には最後の時を迎える性根なんて座っちゃいないからね



久しぶりに彼がやってきた。
「よう元気か?」
「あのよに元気も糞もあるものか。あいかわらずおまえはアホだな」
「どうして俺のところに来るんだい。もう17年もたつのだから、好い加減に成仏しろよ」
「17年もたって、僕のことを覚えてくれているのは、おまえぐらいしかいないからね。いっとくけど、別に来たくて来ているわけじゃないよ」
「そうだよな。別にこのよでも、君と仲が良かったわけじゃないし」
「どちらかというと、僕はおまえが嫌いだった」
「わかっているよ」
「無神経だしな。僕も、あのよに来て神経がなくなったからなんとか我慢ができるけど」
「足だけじゃなくて、神経もないのか?」
「そういうところが無神経だというんだよ。でも涙も喉の痛みも腓返りもなにもないんだ」
「それで今日はどうした?」
「おまえ、朝の8時だぞ、もう寝ろよ」
「いきなりなんだよ? ドリフターズか?」
「朝刊読み切らないと眠れないなんて、おまえ狂っているぞ。そんなに、毎日目覚めた時に白紙の状態でいたいのか? まるでいつ死んでもいいようにいいようにしているみたいじゃないか。目覚めたあとの行動予定はメモにして運動靴の中だし。おまえみたいな奴がファシストになるんだ」
「どうして俺がファシストだ?」
「混沌をおそれている。矛盾をおそれている。無駄をおそれている。自分の頭の中におさまるものしか理解しようとしない。おまえの脳味噌なんてたかが知れているんだよ」
「なんだいつもの話か?」
「おまえ、俺が読書会を開こうとして、だぁれも後輩が集まらなくて落ち込んでいた時に、人が人から愛されることは運であり才能である、だから、おまえは自分の力のみでできることだけに努力するしかない、その他のことは、考えても無駄、気にすることはない、なんてぬかしやがったな」
「おう。おまえが酔っぱらって、みんななんにもわかっちゃぁいない。バカばっかりだ、なんて、くだまいたからさ」
「おまえの読書会には2〜3人集まった」
「そうさ、愛される俺だからな」
「あいつら、今どこでなにをしている? おまえ全然つきあっていねぇじゃないか」
「そうさ、それがどうした?」
「だから、あんなこと、まったく意味がないんだよ」
「そんなことをいいに来たのか? いつまでもしつこい幽霊だな」
「いや、僕がいいたいことは、ああいう風に、努力でも愛情でも、いくら汗をかいてもなんも甲斐がないような、人気投票みたいなことを、あんな年端も行かない僕たちにさせやがって、まったく頭に来るってことさ。死んでからわかってもしょうがないけどね」
「だれがさせたっていうんだよ」
「だからおまえはバカだって、混沌を理解していないっていうのさ。しかも僕なんか、そのせいで死んだとおまえに思われている。たまんないよ。どうせわかんないことを考えるんじゃないっていったのはおまえじゃないか。言行不一致もはなはだしいぞ。おまえは陽明学なんだろ?」
「俺がまだ君を覚えているというのに、君はまだ、そんなに俺を恨んでいるの?」
「じゃぁな。どうせまた来ることになるだろうよ」
彼が去っていき。俺はつかの間の死のような、深い眠りについた。

僕のこの歌詞にスポットをあてる連載で、取り上げる曲の音楽面が最高に格好いいことは保証します。大音量で10回続けて聴いてみてください。きっと感じるものがあるでしょう。(この企画、文章、考え方などの著作権は一応存在するといっておきます)


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