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WRITE IT LOUD!! ROLL OF ROCKS

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                        1996年10月11日開始

                                  火だるまG

第21回:1997年8月11日

THE WEIGHT/THE BAND(68 IN MUSIC FROM BIG PINK)
LET IT BLEED/ROLLING STONES (69 IN LET IT BLEED)


街に着いた時には、ほとんど死にかけていた
とにかく眠らねばならない
「そこのあなた、ここらに泊めてくれるところはないですか?」
恭しく俺に握手を求めながら、奴は「ねぇ」といった

その重石おろしちまいな
自由になんなよ
俺が全部担いでやるからさ

金ができたので、どこかに隠そうと思った
いい女と悪魔がふたりで散歩していた
「そこのべっぴんさん、俺と街に繰り出さないか?」
「私はダメ。でも友だちなら、いくっていっているわ」

奥さんあきらめてください、もはや、ご主人になにをいってもわかりません
ご主人は寿命、もう十分生きた、あとは、最後の時を待つのみです
「おう、ダチこうよぉ、あの若いカワイコチャンはどうした?」
「そこだ、おめぇ、オイラのくたばった後、あいつの面倒見てやってくんねぇかなぁ」

その重石おろしちまいな
自由になんなよ
俺が全部担いでやるからさ

宗教狂いに追いかけられ、霧の中でつかまっちまった
「俺の犬の面倒見てくれるなら、おまえのその満たされぬ心をいやしてやるぞ」
「まってください。おいらは平和主義者なんですよ」
「なぁに、おまえがその気になった時にだけ、餌をやればいいんだ」

大砲の弾に乗り、急いで帰ろう
バッグも重石でパンパンだし、もういいだろう、十分だ
あのこのところに帰るんだ。あのこしかいない
だいたい、あんたもっと世間を見てきなさいって
おいらをここにほうりだしたのも、あのこなのだし

その重石おろしちまいな
自由になんなよ
俺が全部担いでやるからさ




もうとっくに辞めた会社の話。

15年前に俺が会社に入って、その部に配属となった時に、昭和37年入社の先輩が4人いた。ふたりは課長で、ふたりはひらだった。Sさんはひらで、彼から見て2年後輩の、元は名古屋で木材を扱っていたという人を部下にして、インド・ネパールむけの商売を担当していた。
Sさんは、ネパールのカトマンズの店の駐在から帰ったばかり。ちょうど、水力発電のプロジェクトを決めたところで、元気がよかった。しかし、和歌山出身、人目のつかぬ紀ノ川の谷奥に根をおろした蜜柑の木のように、静かな人でもあった。Sさんは押しが足らないという風評だった。
それから5年、俺がカイロから帰ってくると、Sさんは完全にラインから外れていた。病気をしたということだったが、Sさんは、毎週水泳部の練習に出ていたし、元気そうに思えた。
昔は何十億という商売をしていたSさんが、一件、うん万円、せいぜい、うん百万円という、部品の商売の書類を自分で打っていた。別に女性を揶揄する気はないが、マンパワーの女性のやるような仕事である。今思えば、Sさんの境遇は、バブル後のリストラの走りだった。

まじめなSさんが、どうやったって彼の給料には、見合うことはない仕事に、黙々と励んでいる姿には、他人の論評を拒絶するようなおもむきがあり、昔はカラオケで演歌も聴かせてもらったし、けっこう商社マン心得みたいな説教もあったのだが、俺はSさんとは、時たま、世間話をするだけのつきあいになってしまった。そして、Sさんは、かつてよりもはるかに饒舌になった。そしてよく笑った。

しばらくして俺は会社をよした。別にSさんの影響などなにもないけど、会社とか家庭とか扶養とか、いうのは厳しくも哀しいものだな、と、思ったのは事実だ。
リストラ全盛の今なら、Sさんのように、給料がきっちりともらえるなら、それはラッキーだということだろうけど・・・・・・。

俺が退社してから、早、8年がたつというのに、Sさんが死んだと、つい先日、昔の同僚が、わざわざ店に教えにきてくれた。Sさん、最後は、一度定年退社し、子会社のマンパワー会社からの派遣という形で働いていたそうだ。金がドラスティックに減っても、そうして働いていたということは、Sさん、ドキュメンテーションとか、テレックスでの海外の客とのやりとりとか、商社の基礎的な仕事が大好きだったんだな。それはそれでよいことだ。
字も達筆で綺麗。英作文も会話も見事なもの。Sさんのファイルはいつ見ても、ほれぼれするような、きちんと整理されたものだった。Sさん、ファイルのパンチの穴が死ぬと、ドーナッツ型の穴補強シールでせっせと補修していたなぁ。

本部そのものは吸収されたり、吸収したりのジグザグコースをたどったが、扱う品目・マーケットには2〜30年の寿命がある、商社の仕事だってルーティンはルーティンだから、なんとかサーバイブを続け、俺のいた職場は、今もどうやら存続しているらしい。あの時の課長のひとりは、今や、常務さんだ。




だれにだってよっかかれる人が必要
よかったら、ぼくによっかかりな

彼女曰く
「私のオッパイはいつでも開放してるのよ」
「疲れた頭をここにのっけなさい」
「おま○こだってOKよ」
「ヤクもあるし、優しくしてあげる」

だれにでも夢に見る人が必要
よかったら、ぼくの夢を見な

君が香り高いジャスミンティーを、ぼくの健康に
といいながらすすっていた時に
ぼくはスティールギターの調子について思いをめぐらせていた
なのに
ぼくのキメた地下室に入れてやったら
あの退屈で、ふらふらで、ヤク中の女と組んで
いきなり、ぼくにナイフを突き立てやがって
まったくなんて奴等だ

だれにだって血を見る人が必要
よかったら、ぼくの血を見て

だれにだって射精する人が必要
よかったら、ぼくにぶっかけて
よかったら、ぼくでやって





僕のこの歌詞にスポットをあてる連載で、取り上げる曲の音楽面が最高に格好いいことは保証します。大音量で10回続けて聴いてみてください。きっと感じるものがあるでしょう。(この企画、文章、考え方などの著作権は一応存在するといっておきます)


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