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神奈川月記9607

冠省
あううううう。
ジェベルXCの見積もりを作ってもらったところが,想定の倍ほども費用の掛かることが判った。ドナドナと売り払うコテツの下取り価格が皮算用ほど伸びなかったためだ。これではボーナスの大半が吹っ飛んでしまう。こりゃ参ったね。でももうスイッチ入っちゃったんよね。ボーナスを超過していればむろんこの話はポシャるのだが,それでも半年後にはやってしまうに決まっている。おれは堪え性の無い阿呆なのだ。
けっきょく白/青の低車高タイプにした。標準車高でも差し支え無いんだけど,脚の長い機体は切り返しに難渋する。泥濘地や砂地でスタックしたり──そんなとこ行かないけど──渋滞にはまってじりじり動くときなど,跨っといて足で漕ぐ分には両踵までぺったり付くほうが良い。まぁあまり窮屈に感じるようなら後で標準車高に組み替える。車高差はサスのゲタ履きで作られるのであり,どちらへでも転換が可能なのだ。ついでにオプションのウィンドスクリーンとキックスタータも付けたった。
しかしなくらいんでももう極上中古車量産家の看板は降ろそうと思う。阿呆も自覚症状が出たら治すべきだ。うむ。


またビデオデッキが壊れた。音声が割れ割れの歪歪で記録され,聞くに堪えない。電源投入後デッキが温まるほど酷くなる感じだ。過去テイプやもう1台のデッキで録った奴の再生は大丈夫。単にテレビを観ている分にも異常は無いようである。
これ,去年も壊れたんよね。そのときカセットのロウディング機構をごっそり交換して,ついでに録音ヴォリウムと回転ヘッドも新しくしたのだぞ。どういうことだ,ソニー
ビデオデッキの部品保有期間は確か8年で,これ即ちメイカがせいぜいこの程度の寿命と考えておるわけだな。件の機械は88年製であってもうぼちぼち修理できなくても免責される頃合だ。しかしユーザの考える機械の寿命とは「次の代替機ないし後継機を確保できるまで」である。今さらHi8でもないんで,おれの場合録再DVDか譲っても据え置きDVデッキを買い更に手持ちのベータカセットからのダビングが完了するまでだ。
DVはハンディ ムーヴィこそ好調であるが,デッキにおいては例の著作権(版権)保護の問題が絡んで商品化は絶望的である。欧州では解決したのか──先払い課金を製品価格に混ぜる方式かな──PAL信号のDVデッキが出(てい)ると聞く。しかしながら円建て50万くらいするらしい。この分ではもし日本でNTSC版を出せても価格のこなれるのに何年か掛かりそうである。
録再DVDは登場が2年後で,買える価格と性能に達するにはやはり数年を費やしそう。ベータ方式,21世紀になっても暫くは持ってくれないと。
実は今も密やかにベータ デッキの新製品が出ていたりするのであるが,生憎おれはEDベータに手を出してしまっている。したがってただ再生するだけでもEDデッキでないといけない。
EDベータはS−VHSキラとして87年ごろ初代EDV-9000が出て,5000・7000・8000・6000と続いた。現在カタログには頭としっぽの9000番と6000番とが残っている。おれのは7000番で,最初に買った5000番から──FEヘッドの必要性を悟って──ステップアップしたものだ。
長兄にして最長寿の9000番が世俗を超越した27万余円である。発売当初の値段のままであることが誠実なのか不誠実なのかよく解らないのだけれども,売る気があるとは思えない。次善にして最後の砦6000番とて17万円であって,これまた出して嬉しい金額ではない。何としてもこの7000番を日本最後のEDベータ機にしなければ。


てんでジェベルXCの納車は契約の3週間後。ロウルアウトまちだったようで,珍しく売れているのかもしれない。
初対面のXCは低車高とは思えないでかさであったが,なるほど(辛うじて)両踵とも地面に届いた。カタナのような生き物めいた印象は薄く,高度に造形された機械が持つ意思を感じる。
例によって名前を付けとこう。「ジェベル」がアラビア語であるところから芋蔓式に『アラビアンナイト』から採りたい。とは言うもののアリババとシンドバードしか思い浮かばないのが情けない。原題『千夜一夜物語』の1語を貰ってアルフとしよう。何か犬みたいね。綴りは解らん。せめて1000夜は乗ってやろうという切なる願いの込められているのは言うまでもない。
乗車姿勢は実に楽ちんで,頭が起きて視界が広く,気分よろしい。柔らかめのシートとおれの尻はまだ妥協点を探って折衝中であるが,べた座りでも路面のギャップが股間を強打することはない。おやっ,シートに付き物だったタンデムゲスト用のベルトが無くなっているぞ。あれは法的に装着を義務づけられているのではなかったか。
装備で目立つのはやはりディジタル表示に変わった計器である。速度計・距離計(ふたつ)・積算距離計・時計・ストップワッチがインディケイタを兼用しながらもてんこ盛りになっている。タコと燃料計は無し。距離計とワッチはそれぞれ逆算もでき,更に距離計はタイヤサイズの公差を補正する係数設定まで持つ。だけどそこまでセットする奴いるかね。
電源は乾電池ではなく車載バッテリである。んじゃバッテリ交換のときチャラになっちゃうね。外はともかく積算距離計はまずいんじゃないの,中古車における重要な価格決定パラメタだぜ。と思ったらさすがにそれだけはクリアされないそうだ。どどどどうしてだろう。機械的に計っといたのを電気的に読み出すのかなあ。
驚いたことにブリンカにハザードがある。オフ車ではたぶん初めてだろう。あ,そう言えば車線割り込みをしたとき後続車にハザードで「お礼」するのはいかがなものかと思うぞ。ああいうロウカルルールは浸透するのに何年も掛かる。おれも知らない内は,あ・入れてやったのに急停車する気かこの莫迦ころしたろかと何度も思った。ココロでは殺した。お礼したきゃ手でするが良い。
車メイカはそうした合図用のランプを考えてはどうかね,緑色かなんかで。で,テレビCMで喧伝すると。「エチケットランプ」とか「ありが燈」とか言いそうだな。

不一

1996年7月3日


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ドナドナ
 作詞者名失念。あーるぅ晴れたひーるぅ下がりー。原詞は随分かけ離れた内容らしいが。

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コテツ
 GSX400S KATANAに付けた名前。

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千夜一夜物語
 アルフ ライラ ワ ライラというらしい。アルフが1000のことだと思うんだけど。

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ハザード
 確か危険とか危難とかいう意味だったはずだ。単なる停車に遣っちゃあいけねえ言葉ではないのか。ついでながら「ウインカ」っててっきり和製英語だと思っていたんだけど,ちゃんと「英」語だったのね。車は左連帯だろうか。

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「エチケット ランプ」とか「ありが燈」
 一応ここで著作権表明しとこうっと。

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written by nii. n