●●●池袋モンパルナス その7●●●


思い出のチャビー仙人

以前にも紹介した茶シマ猫のチャビーがこの冬(1998年)天寿を全うしました。享年22歳。人間だったら100歳以上の大往生。こんなに長生きした猫、オイラ、見たことない。あせらず欲張らず、淡々と、仙人みたいに生きたチャビーに合掌。今回は、生前行われたインタビューを緊急掲載だ。



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だい、お若いの。ワシの話が聞きたいっていうのかい? 

ワシがここ、谷端川(注:池袋モンパルナスのど真ん中を流れる小川。今は遊歩道になっている)遊歩道に住み着いてから、そうさな、春が22回巡ってきたな。いろんなことがあったよ。ワシも若かったしな。

この右の前足かい? いや、若い頃、ちょっとな。ご主人の帰りを待ちきれなかったワシは、ついつい大通りまで出ちまったんだよ。で、トラックに轢かれちまったってわけさ。まあ、ご主人がいい人だったからねえ。そりゃあもう、献身的に看病してくれたさ。だけども、腱が延びちまったおかげで、手先が曲がったまんまになっちまったんだ。でも、ほうれ、この通り、今でもさっさと歩いて用足しにゃ困らんて。

そう言うと、チャビー爺さんは石台の上にひょいと登って見せた。まだまだ現役の猫の貫禄である。

づやがよろしいですね、だと? まだまだ若いもんには負けんぞ。魚のあらをずっと食べてるからな。今時の猫缶ばっかりの食事はいかんぞ。きちんとした食事をすれば、ワシみたいに100歳近くなっても、つやつやすべすべな毛皮が保てるんじゃて。



100歳近くなっても、まだまだ色気の失せない爺さんである。
と突然、チャビー爺さん、居住まいを正し、力を込めてこう語った。


の、カリカリ飯ってやつは許せんっ! やはり猫たるもの、ヌメヌメした血合いの入った魚のアラを食すべしっ! 間食は煮干しっ! これじゃて。

何か思いだしたことでもあるのだろうか? 顔つきが鋭くなっている。
100歳も生きていれば、ちょいとしたことで溢れる思いもあるのだろう。


む、腹が減ったな・・・飯がまだだったんじゃ。



若いの、またお出で下され。ゆっくりマタタビでも舐めながら、世間話をしようじゃないか。うちのCoCo3とトンボも今度は、家に引き留めておくからの。皆で一緒に楽しくやろうじゃないか。


再会を約して、オイラは爺さんと別れた。これが最後とも知らずに・・・いつか何処か遠いところで出会ったら、「あのときはどうも」、とオイラは爺さんに挨拶しようと思う。





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