写真道>機材活用
<前 次>

E-1ボディの設定や使い方

自分なりの設定や使い方を紹介

 E-1を購入したのは、昨年(2003年)の12月上旬。購入前には“2~3年ほどのつなぎのデジカメ”としてしか考えていませんでした。ところが実際に使ってみると、凄く良いカメラでした。

 素晴らしい発色、ファインダ視野率が約100%、画像の縦横比が3:4、高性能なレンズたち、多少の不満はありますが良い操作性、快適な動作、ゴミ問題に悩まないダストリダクション、雨でも安心の防塵防滴(しかもレンズまで)など、他のデジタル一眼レフと比べて素晴らしい点が多いです。もちろん、不満な点は少しありますが、総じて満足しています。

 かなり気に入ったおかげで、フォーサーズ用のレンズ4本、中間リング、テレコン、フラッシュなど、かなりの資金をつぎ込みました。他のマウントのレンズも使えるようにと、4種類のマウントアダプタも購入(オリンパスからもらったOM用も入れると計5種類)。手持ちのコンタックス用レンズが活躍しています。他にも、いろいろなレンズも手を入れました。

 購入してからは、ほとんどの写真をE-1で撮っています。当サイトで展示してある写真の多くは、E-1で撮影したものです。

 同じE-1ユーザーに役立つかも知れないので、私が使っている設定や方法を、まとめて紹介したいと思います。これを読んで、今まで使ってて知らなかった設定が見付かり、自分にも役立ちそうだと感じたら、どうぞ試してください。といいながら、選んだ個々の設定自体は、撮影に慣れている人から見たら、いたって普通だと思います。

露出補正を片方のダイヤルに割り当て

 現在のカメラには、かなり高度な自動露出機能が付いています。しかし実際には、すべての写真で期待した露出が得られることはありません。割合は低いのですが、明らかに間違った露出で撮影される写真が含まれてしまいます。当然、E-1も例外ではありません。

 自動露出の間違いを直す機能が、露出補正です。E-1には、露出補正の専用ボタンが用意されてますが、そのボタンを押しながらダイヤルを回す必要があり、使い勝手はイマイチです。

 露出補正のように頻繁に使う機能は、専用ダイヤルを回すだけで操作できるのが理想です。E-1に専用ダイヤルはありませんが、使ってないダイヤルに割り当てる機能を持っています。E-1にはメインダイヤルとサブダイヤルあり、どちらか片方を露出補正に割り当てられます。絞り優先モードなら、片方を絞りの調整に、残りを露出補正に設定できます。

 私の場合は、サブダイヤルに絞りの調整を、メインダイヤルに露出補正を割り当てています。ファインダを覗いたままの状態では、サブダイヤルの方が操作しやすいからです。

オートフォーカス後のマニュアル調整も可能に

 E-1のオートフォーカスですが、デジタル一眼レフの中では優れている方だそうです。それでも、ピントを合わせられなかったり、少し外れていることはたまにあります(ファームウェアがバージョン1.2になって改善し、外れることが減ったみたいです)。そもそも、被写体が平面とは限らないので、どこに合わせればよいのか、機械が判断するのが難しい場面もあるでしょう。どのカメラでも、オートフォーカスを完全に信用しないのが、賢い使い方だと思います。

 E-1には、オートフォーカス後にピントを微調整する機能があります。シャッターボタンを半押ししてフォーカスを合わせた後、レンズのフォーカスリングを回してピントを微調整できるのです。デフォルトではオフになっているので、これをオンして使っています。

 オートフォーカスを完全に信用していないため、フォーカス後にはファインダのマット面で必ず確認してます。もしピントが外れていそうなときは、フォーカスリングを回して合わせます。こうするように変えてから、予想外のピンぼけ写真が減りました。

 E-1のフォーカスポイントは3つだけで、しかも全部が真ん中に集まっています。ピント合わせの箇所を勝手に決められても困るので、真ん中しか使わない設定にしてます。合わせたい箇所が真ん中にない場合は、その箇所を中央してからピントを合わせ、撮影するフレーミングに変えてから、マット面でピントを確認します。もしピントが外れているようなら、フォーカスリングを回して合わせます。こんな感じで写すことが多いです。

 ただし、マクロ撮影だけは例外で、常にマニュアルフォーカスです。とくに被写体を大きく写すときは、自分の体を前後させながらピントを合わせ、シャッターを切ります。マクロ撮影では当たり前の撮り方ですね。

測光モードは、迷いながらもデジタルESPに

 E-1の測光モードは、デジタルESP(多分割測光)、中央重点平均測光、スポット測光の3つがあります。このうち、スポット測光だけは特殊なので、通常の撮影用としては、デジタルESPと中央重点平均測光のどちらかを選ぶでしょう。この選択は、非常に悩みました。今までは、他のカメラで中央重点測光を使っていて、そろそろ分割測光に移行しようかと思っていたからです。

 多分割測光を使わないのには、理由がありました。この種の測光には、機種ごとに別々の癖があり、適正露出を外すパターンが読み切れないのです。そのため、どんなときに露出補正が必要なのか、判断が難しくなります。これが短所です。逆に、中央重点測光に比べて、適正露出となる確率が高いため、露出補正しなければならないショットが減ります。この長所と前述の短所を比べて、いつも悩むわけです。

 今回だけは、多分割測光のデジタルESPを最初から使ってみることにしました。多分割測光でも、使いこなしの技を習得しようと考えたからです。当然ながら、最初はかなり苦労しました。露出補正が必要なときでも、そのまま気付かないで撮影したりしてました。

 でも、使っているうちに、使いこなすコツが見えてきました。デジタルESPで適正露出から外れているのを、見付ける方法が分かったからです。私の場合、絞りを大きく変えずに撮ることが多いですから、シャッター速度の変化を見ていると、露出を外しそうな被写体が見付かります。被写体の明るさがあまり変わらないのに、シャッター速度が大きく変化したときが、露出を外してるときです。つまり、前後のショットと比べて、露出レベルが大きくズレたときが、外しているときなのです。もちろん、少し外れている場合には、この方法で発見できません。最終的には、撮影後の液晶モニタで確認することにしています。

 この見付け方が分かってからは、デジタルESPを常用するようになりました。中央重点測光に比べて、露出補正が必要なショットが少なくて済むため、デジタルESPの方が、全体としての使い勝手は上だと思います。

 自動露出の中で使うのは、ほとんどが絞り優先です。露出補正を適度に加えながら、撮ることが多いです。絞り優先だと露出がばらつきそうなときだけ、マニュアル露出に切り替えて撮ってます。夜のスナップ、マクロなどですね。

ホワイトバランスは状況に応じて変更

 どのデジカメでも共通してることですが、自動ホワイトバランスを完璧に作ることはできません。苦手なシーンが必ず残ります。これが分かっているので、E-1に限らず、ホワイトバランスはプリセットのどれかを選んで使うことが多いです。

 日中の撮影では、ホワイトバランスを晴天用の5300に合わせています。曇天用の6000も用意されていますが、曇天時も5300で撮っています。その方が、見た感じに近く写るからです(なぜか、持っている他のデジカメのほとんども同じです。同様に、曇天時にも晴天用で撮っています)。曇天用の6000を使うのは、夕焼けを赤く撮りたいときだけですね。

 室内および夜のスナップでは、ホワイトバランスをオートに切り替えることもあります。また、冬の夕方で日差しが青っぽくなったときも、オートで撮ります。ただし、必ずではありません。たとえば、店の照明などを写すとき、照明の色を明確に出そうと思って、ホワイトバランスを晴天用の5300にしたりします。予想される仕上りを考えながら、表現意図に適した設定を選んでます。

 以上のように、最終的な色の仕上りを意識しながら、使用するホワイトバランスを決めています。でも、SHQ+RAWで記録するため、RAW現像によって最終的には何とでもなります。そのせいか、最近はあまり気を使っていません。

撮影画像はSHQ+RAWで保存

 4GBのマイクロドライブを複数入手したことで、RAWを普通に利用できる環境が整いました。そのため、RAWで必ず撮影します。E-1は、RAWとJPEGの同時記録が可能ですから、JPEGも一緒に書き込むのは当然でしょう。

 その際に悩むのが、JPEGの画質をどれにするかです。記録枚数を少しでも増やしたいなら、ファイル容量が一番小さなSQでしょう。しかし、最終的に得られる画質を重視するなら、お薦めできません。SHQにすべきです。その理由は、次のとおりです。

 容量の小さいSQを選択するのは、RAWファイルから後でSHQレベルのJPEG画像を生成できるからでしょう。しかし、E-1に付属のOLYMPUS Viewerで生成する画像と、撮影時にE-1が生成するSHQには、少しですが違いがあります。色味は同じですが、細かな部分の解像感に関しては、同じではないのです(詳しくは「E-1のJPEG画像とRAW現像画像の違い」を参照)。どちらが良いのかは、被写体によって異なります。つまり、パソコン上で後から生成できないJPEG画像を、E-1ボディは作れるわけですから、撮影時にSHGも生成しておくのが賢い選択です。

 この1つだけで、SHQを選ぶ理由は十分でしょう。利点をもう1つ付け加えるなら、高画質JPEGをRAWから生成する後処理が不要な点も挙げられます。

ISO感度は通常200までで、たまに400も

 E-1のCCDは、APS-Cと比べて小さいためか、感度を上げるとノイズが目立ちます。自分の許容範囲は、ISO 200までです。そのため、通常は100か200で撮っています。100と200の違いは少しだけで、100だと暗部のざらつき感が減ります。日中の撮影では、100を使うことが多いです。

 ノイズを低減するノイズフィルタ機能が、OLYMPUS Viewerにも付いています。これを使うと、写真の細部を少し失ってしまいますが、ノイズはかなり低減されます(詳しくは「E-1のノイズフィルタの効果」を参照)。おかげでISO 400までが許容範囲に入ります。ノイズフィルタの機能を知ってからは、暗い状況で400を使うようになりました。もちろん、本当に困ったときだけですが。

 Photoshop CSのCamera Rawで現像すると、ノイズはさらに減らせます(詳しくは「Camera Rawのノイズ低減効果」を参照)。ISO 800までは許容範囲になる感じで、我慢すればISO 1600も使えます。少し妥協しての許容範囲ですが。最悪の場合には、ISO 800や1600も使う気でいます。まだ使ってはいませんけど。

その他の主な設定など

 以上の他にも、デフォルトから変更している設定があります。主なものをいくつか紹介します。

 撮影した画像を記録している間、撮影直後に液晶モニタに表示するレックビューは、オートを選んでいます。以前の設定は5秒でしたが、SHQ+RAWを常用してからはオートに変えました。長く書き込みしているときに、長く表示されるからです。通常の撮影では、5秒の設定と、それほど大きな差はないと感じていますが。

 シャッター半押しと、AELボタンを押したときの動作を指定する、AEL/AFLモードの設定は、S-AFでもMFでもmode 4にしてます。シャッター半押してフォーカスだけロックされ、AELボタンを押している間だけ露出がロックされる設定です。この設定を選んだのは、フォーカスと露出のロックを、別々の操作で独立して行ないたいからです。また、AELボタンの効果を“押している間だけ”にするのは、押してオンオフを切り替える設定だと、解除忘れで失敗写真を量産するからです。

 生成するJPEG画像は、デフォルトのままです。彩度、コントラスト、シャープネスは変えていません。そのままの方が、レタッチしやすい画像になるからです。もし変えたいときは、OLYMPUS ViewerのRAW現像で作ります。といっても、できるだけ自然な感じの写りが好きなので、ほとんどやっていませんが。

バッテリは2個を交互に

 E-1のバッテリは、フル充電で400枚近く撮れます。1日の撮影なら、使い切ることはまずありません。でも、毎回フル充電して出かけるのは面倒なので、バッテリを1個買い足しました。

 使い方は単純です。E-1に入れたバッテリを使い切ってから、もう1つのバッテリに切り替えます。外したバッテリは、すぐに充電し、予備として持ち歩きます。こうした方法なので、撮影を始めてすぐに、バッテリ警告が出ることもあります。でも、1個のフル充電があれば十分なので、困ることは起こりません。

 必ず交互に使うので、2個のバッテリは同じぐらいに寿命が来るでしょう。公称値では500回の充電が可能ですから、合わせて1000回の充電です。E-1を使っている間は、ずっと使える計算ですね。どこまで持つのか、このまま使い続けてみようと思います。

おまけ:画像のバックアップはリムーバブル化HDDで

 SHQ+RAWで撮影すると困るのが、ファイル容量です。撮影回数が多いと、どんどん増えていきます。私のように、失敗した写真も削除しない方針だと、ますます増えます。

 今のところ、全部の画像をデスクトップ型パソコンに入れています。しかし、もしハードディスクがクラッシュしたら、大切な画像ファイルが一瞬で消えるかも知れません。画像ファイルだけは失いたくないので、必ずバックアップすることに決めてます。

 RAWファイルの容量が大きいため、バックアップの媒体選びに困りました。最終的に選んだのは、3.5インチのハードディスクです。容量の大きなものが、バルク品だとかなり安く手に入ります。それをリムーバブル化するキットが、ラトックから発売されています。FireWireかUSB2.0で接続する方法で、大きなMOのように扱えます。使い勝手も非常に良く、快適に使えてます。

 自宅にバックアップしているだけだと、自宅の火事で失う可能性があります。同じデータを実家などにも置いておけば、最悪の事態でも画像を失うことがありません。これでバックアップは万全となりました。と言いつつ、実家へ最後に帰った時期より後に撮影したショットは、バックアップされてません。これぐらいは仕方がないでしょう。

(作成:2004年6月25日)
<前 次>