歌枕紀行 琵琶湖

―びわこ―

比叡山より琵琶湖遠望
比叡山より琵琶湖遠望

 単に淡海(あふみ・おうみ)とも言い、「淡海(近江)の海」とも言う。また浜名湖を「遠つ淡海」と呼ぶのに対し「近つ淡海」(京から近い淡水湖、の意)とも言った。「鳰(にほ・にお)の海」の古称もある。形が琵琶に似ていることから琵琶湖と呼ばれるようになるのは、近世以降のことである。

淡海の海夕波千鳥汝なが鳴けば心もしのにいにしへ思ほゆ(人麻呂「万葉集」)

鳰の海や霞のうちにこぐ船のまほにも春のけしきなるかな(式子内親王「新勅撰集」)


琵琶湖 大津港
琵琶湖 大津港

にほてるや凪ぎたる朝に見わたせばこぎ行く跡の浪だにもなし(西行)

鳰の海や月のひかりのうつろへば浪の花にも秋は見えけり(家隆「新古今集」)

鳰の海や秋の夜わたるあまを船月にのりてや浦つたふらん(俊成女「玉葉集」)


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©水垣 久 最終更新日:平成13-08-18
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