御名部皇女 みなべのひめみこ

天智天皇の皇女。母は蘇我倉山田石川麻呂のむすめ姪娘(めいのいらつめ)元明天皇の同母姉。高市皇子の妃となり、長屋王を生んだ。

元明天皇(こた)(たてまつ)る歌

我が大君ものな思ほしすめ神の嗣ぎて賜へる我なけなくに(万1-77)

【通釈】お仕え申し上げる大君よ、ご心配なさいますな。皇祖の神が、あなた様に次いでこの世に下し賜わった、私という者がお側にいるではありませんか。

【語釈】◇すめ神 皇祖神。天皇の祖先の神。天照大神のこと。◇嗣ぎて賜へる あなたに次いでお与え下さった。作者は元明天皇の姉であるが、臣下の立場としてこのように言う。なお広瀬本などから「副(そ)へて賜へる」と訓む説も近年提出されている。

【補記】元明天皇の「ますらをの鞆の音すなり物部のおほまへつきみ楯立つらしも」に和した歌。即位の重責に不安を漏らす天皇に対し、姉として激励する歌ととるのが普通。


更新日:平成15年03月21日
最終更新日:平成15年03月21日