(Last update:2012/09/28)
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基板表 OpenLog を搭載し、 自立したロガーとして実装。 |
基板裏 相変わらず汚い仕上がり(汗) |
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バックアップ電池コミでケーシング | 外観 前作ガイガーカウンターと 瓜二つの外観 ^^; |
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動作中の様子。 バー LED のおかげでカミさんが ブレーカーを落とすことも 無くなる・・・ハズ ^^; |
メインブレーカーのすぐ 下流に電流センサーを2個設置 |
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時計表示モード | 現在値表示モード 20 x 4 LCD だと カレントグラフ、T:今日の昼/夜比 料金ゾーン、電流値、Av:サンプリング平均生値 N: 今日の夜ゾーン累積値、M: 今日の境界ゾーン累積値 D: 今日の昼ゾーンの累積値、P: 今日のピークゾーン累積値 |
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上段:過去最大生値 下段:過去最大電流値 |
昨日の総使用量 直近30日の総使用量 |
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直近30日の夜間使用総量 直近30日の境界使用総量 |
直近30日の昼間使用総量 直近30日のピーク使用総量 |
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先月度の累積使用量 | 10Y: ナイト10昨日 昼/夜比 10M: ナイト10直近30日 昼/夜比 ナイト 8 設定の場合は 8Y, 8M 表示となる。 |
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測定開始時からの 経過年月日数表示。 日数はアバウト ^^; |
20 x 4 LCD 専用モード (基本的にデバッグ用) 昨日夜間累積生値、昨日境界累積生値 昨日昼間累積生値、昨日ピーク累積生値 直近30日夜間累積生値、直近30日境界累積生値 直近30日昼間累積生値、直近30日ピーク累積生値 |
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回路図 | 6日間の電気消費グラフ。 食洗機と IH が最も電気喰い ^^; |
きっかけ:
電気料金不当値上げの足音が聞こえ始めた 5月のある日、こんな記事を読んだ。
そもそも放射性物質を庭にバラ撒かれた「被害者」にも値上げする東電やこの国の政治システムに怒りが収まらない管理人だが、せめて一矢報いてやろうと早速試算してみた。
その結果、従量 B 契約と比較すると「お得なナイト10」プランでは昼間使用量
/ 夜間使用量 = 1.8 が損益分岐点で、この比率が小さければ小さいほどトク、ということが判った。(60A
契約かつ月間の昼間電気使用量が常に 300KW/h を超える場合)
特に「お得なナイト10」は夜間料金時間帯が 22時 〜 8時とリーゾナブルに設定されており、この時間設定なら管理人宅でも損益分岐点を十分にクリアできそうだったので速攻で「お得なナイト10」に契約変更を行った
(2012/5) 。
さて、果たしてこの決断は正解だったのか? 実はピークシフトの方がもっと節約できるのでは?
という疑問が残りまくり。そこでこの疑問を解決してくれる装置を製作することにした。
作品コンセプト:
ネットをちょいとググれば、マイコンを使った電力計の製作例はたくさんヒットする。だが今回の製作品のコンセプトはそれらとは若干異なる。
(1) 絶対精度は求めない。それよりも昼と夜の電力使用量比(従量プランに対する損益状態)が簡単に把握できることを最優先とする。
もちろんこれだけではイマイチので電力計として「普通の機能」も搭載する。
(2) リアルタイムに電気使用量を確認可能(LCD, バーLED)
(3) 設定値でアラームを鳴らせる
(4) データをシリアルに吐き出せる
より具体的な仕様:
・時計機能必須
・電気の使用量を、昼、夜、境界、ピーク、の4ゾーン毎に積算
・夜/昼使用比を計算し、損得状況を 2色 LED で表示
・各時間帯の使用量を表示可能
・電気使用量をバーグラフ LED でリアルタイム表示可能
・予め設定した使用量でアラームを鳴らせる
・電気使用量を 3秒毎に RS-232C へ送出
・OpenLog 対応。装置単体で長時間ロギング可能
・バッテリーバックアップで停電対策
まぁ、ログ送出機能とリアルタイム電気使用量バー LED 表示、アラーム機能だけでも製作する価値はあるハズ。
ハードウエア設計:
【電流センサー周り】
電流センサーは U_RD社製 CTL-10-CLS
を採用。小電流から大電流までリニアリティを持っており非常に使い易い(ちとお値段が高いのが難点)。
管理人宅は単相三線式なので、センサーを 2つ用意して L1 と L2 ラインにそれぞれクランプ(この接続方式はこちらを参考にさせていただきました)。この方式の良いところは
200V 使用量を見かけ上 100V に換算して測れるため測定が 1系統で済むところ。
センサーの出力はメーカーの技術情報から最もシンプルな「平均値整流型電流変換回路」を採用。負荷抵抗は
249 x 2 = 498Ω(詳細は下記参照)をデフォルト値とし、VR で微調整できるようにしておく。
この回路ではダイオードブリッジに SBD 1S4 x 4 を使用するが当然順電圧降下が起こる。即ち負荷抵抗
249Ωで 60A時には整流後に 4V 発生するので、負荷抵抗には 4/233 = 17mA 流れる。この場合、1S4
のデータシートから SBD で最大 0.26V 電圧が降下する。即ち 0.26 / 4 x
60 = 3.9A 以下だと整流後出力電圧 = 0V となってモニタリングできないことになる。
当然、待機電流が少ない家庭では誤差要因になるが、管理人宅の場合は実測で
3.9A を下回ることは無かった。人感知型照明を多用している上、NAS やら常時稼動モノ家電などがあり、待機電流が一般家庭より多いのかもしれない(爆)。
一方、平滑コンデンサは実装スペースの都合上 220μF としたが、オシロで見ると
40mV 程度のリップルが残っている。実装スペースに余裕があるなら 330μ〜470μF
あたりが理想的。
まぁ、SBD の電圧降下にしろリップルにしろ、正確な電力量を測るのではなく「使用量比」を求めるのが目的なので問題は無いハズ。
【バー LED 周り】
周期 1KHz の PWM でバー LED や LCD のバックライト輝度を調節できるようにしておく。合計のドライブ電流は
50mA 程度までなら DTC123 でも良いが、それ以上流すなら Ic の大きいものに変更が必要。
【バッテリーバックアップ回路】
停電時でも動作継続するようよう、ニッケル水素電池を数 mA でトリクル充電しておく。
充電電流 = (入力電圧 - 電池電圧) / 抵抗値
となる。管理人が製作した実機(12V 入力)だと、電池がカラの場合は ( 12
- 7 ) / 1000 = 5mA、充電が進んでツェナー電圧 8V に達すると ( 12 - 8) /
1000 = 4mA となる。
今回はケーシングの都合上、秋月で売っている 006P 型 8.4V 200mA/h 品を使用。LCD
バックライトの消費電流や OpenLog 接続の有無にもよるが、それほど長時間の停電には耐えられないはずなので、実装スペースに余裕があるなら単四もしくは単三型ニッケル水素電池とし、充電電流も少し増やしておくことを推奨。
【LCD】
基本的に 8 x 2 LCD で表示画面をレイアウトしているが、20 x 4 LCD だと一部の表示モードで表示データが増える。
【2色 LED】
今回はアノードコモンのフルカラー LED (のうちの 2色)を利用。PIC からはシンクドライブになっているため、一般的なカソードコモンの
2色 LED はそのままでは使えない点注意。
この 2色 LED は「お得なナイト10」プランの損益状態表示がメインなので、それ以外の料金プランで契約している場合は実装不要。
【ケーシング】
この手の装置は電源も一体化してスペース的にゆったりと作った方が何かと便利なのだが(大型
LCD を使って表示データも増やせるし)、以前製作したガイガーカウンターの加工済みケースが転がっていたためこれを流用。
もともとのケースが 9V 電池ケース付きのものだったおかげで、バックアップ電池コミで必要以上に小型な作品に仕上がった。(もっともそのおかげで
Mini USB コネクタでセンサー信号と電源を引き込むハメになってしまったが)
ソフトウエア設計:
今回もオールアセンブラで実装する @o@。
下記の通り、数値計算が面倒極まりないが、16F1938 で追加された SUBWB, ADDWFC
命令のおかげでコードが膨らまずに済んだのが不幸中の幸い ^^;
【定数決定の方法(管理人のための覚え書き)】
PIC 内蔵の基準電圧 4.096V を使用し、60A(契約最大量)時に 4V が入力されるよう定数を計算する。
電流センサーのデータシートには平均値整流型電流変換回路使用時、
発生電圧 = 0.9 (Vrms・VDC 変換係数) x 貫通電流 x 結合係数 (k) x 負荷抵抗値
(Ω) / 3000 (巻数)
と記載されている。ただし結合係数についてはキリのいい負荷抵抗値での記載しかないので、k
= 0.95 として検討してみる。
で、センサーでの発生電圧には SBD での順電圧降下 0.26V ぶんをあらかじめ上乗せし、貫通電流
60A 時に 4.26V 発生させることとする(正確にはセンサーでの発生電圧に SBD
の Vf ぶんを上乗せするのはマチガイだが、上限値検出をしっかりと行いたいのであえてこうした)。この場合、上記の式から負荷抵抗は約
249Ωと計算される。
今回は電流センサーが 2個直列接続なので負荷抵抗 249 x 2 = 498Ω で最大
8.52V 発生となるが、ブレーカーが 60A なのでそこまでは電圧が上がらないハズ。ただしブレーカーが落ちるまでの短時間、それ以上の電圧が発生する可能性はあるのだが、そこらへんは
PIC 内部の保護ダイオードをアテにして見て見ぬ振り方向でどうかひとつ(殴)。
で、60A = 1000 カウントということは分解能は 60A / 1000 = 0.06A = 100V
時 6W。家電の待機電流を一個単位でモニタするには分解能不足だが、照明器具なら(LED
照明でも)一個単位でモニタできそうである。
次に、諸々の計算処理に何ビットが必要かを考える。ってか何とかして 32bit
演算に収まるように工夫する。
仮にサンプリング時間を 1秒毎とした場合の積算値の最大値を考えてみる。
積算値の最大値 = A/D 変換値の最大値 x 一時間あたりのサンプリング数 x
時間数 x 日数
であるから、具体的に数値を当てはめると、
1000 x 3600 x 11 x 30 = 1188000000
となる。ここで 11 時間というのは積算値が最も大きくなる「お得なナイト10」の昼間時間
14時間から、別積算のピークシフトの 3時間を引いた値。
で、これなら一見 1188000000 が 32bit に収まってメデタシメデタシのように思える。
が、しかーし。今回の比計算では小数点 1位まで計算するために積算値は 10
倍しなければならない。となると 1188000000 x 10 は 32bit には収まらなくなる(汗)。かといって
48bit で実装するとなると EEPROM の過去データ保存領域とか足りなくなるし、48bit
演算ライブラリとか用意しなければならなくなるのでかなり面倒。よってパス(殴)
解決策としてはサンプリング数を 3秒毎にし、
1000 x 1200 x 11 x 30 = 396000000
とする。これなら 10倍しても 32bit に収まりメデタシメデタシだ。
ま、今時アセンブラで数値計算モノを作ること自体がマチガイですな。C ならこんな余計なこと考えんでいいんだし(逝)
【サンプリング間隔】
上記検討で 3秒毎にサンプリング、という仕様は決まったわけだが、さすがに単純に
3秒毎のサンプリングではかなり精度が悪くなりそうな気がする。もちろん、センサーからの出力を整流
& 平滑(しかもリップルあり)している時点で精度を求めるのは間違いなのだが、せめて
TMR1 の割り込みタイミング (250ms) 毎にサンプリングして、12回の平均値を得ることにした。
【比計算処理の概要】
「お得なナイト10」と「ピークシフト」では、割引時間帯が異なっており、特にピークシフトは季節によっても割引時間が異なっていて案外複雑。
本装置では、時間帯を「夜間」「境界」「昼間」「ピーク」の4ゾーンに分け、ゾーン毎に別々にデータを積算していく。
0時〜7時 | 7時〜8時 | 8時〜13時 | 13時〜16時 | 16時〜22時 | 22時〜23時 | 23時〜0時 | |
お得なナイト 10 | 夜 | 昼 | 夜 | ||||
お得なナイト 8 | 夜 | 昼 | 夜 | ||||
ピークシフト 通常期 |
夜 | 昼 | 夜 | ||||
ピークシフト 夏季(7月〜9月) |
夜 | 昼 | ピーク | 昼 | 夜 | ||
本装置での 時間区分 |
@ (夜間) |
A (境界) |
B (昼間) |
C (ピーク) |
B (昼間) |
A (境界) |
@ (夜間) |
で、@〜Cのゾーン別積算値を料金プランに合わせて適宜加算する。
例えば「お得なナイト10」なら、
夜間使用量 = @+A
昼間使用量 = B+C
一方、「ピークシフト」なら
7月〜9月
夜間使用量 = @
昼間使用量 = A+B
ピーク使用量 = C
それ以外の月
夜間使用量 = @
昼間使用量 = A+B+C
とする。
なお、各ゾーンの累積値(A/D変換生値の累積値)は過去 30日ぶんをオンメモリで保持するとともに、過去12日間ぶんを
EEPROM にも保存している。
【RS-232C 出力データフォーマット】
カンマ区切りで、
年,月,日,時,分,秒,測定生値+CR+LF
で吐き出す。各データは固定長なので、桁数が余る場合はスペースが入る。
データ実例:
2012, 8,27,23,12, 0, 211
2012, 8,27,23,12, 3, 219
2012, 8,27,23,12, 6, 230
2012, 8,27,23,12, 9, 256
:
OpenLog 使用時のファイル名は測定開始時刻の「年月日時.txt」となる。
キー操作仕様:
SW1 の長押しで、データを表示するモードと各種設定を行うモードを切り替える。
それぞれでのキーの役割は以下の通り。
通常押し | 長押し | ||||||||
SW1 | SW2 | SW3 | SW4 | SW1 | SW2 | SW3 | SW4 | ||
データ表示 モード |
表示切替 | ワンタッチ 秒合わせ |
アラーム ON/OFF |
無効 | 設定モードへ | 無効 | ロギング ON/OFF |
全データ クリア | |
↑↓ | ↑↓ | ||||||||
設定モード | 表示切替 | 値↑ | 値↓ | 設定実行 | データ表示 モードへ |
無効 | 無効 | 無効 |
各種設定項目:
【年月日設定】
起動時に年月日と時刻の設定が必須(設定しないとサンプリングが始まらない)。
プログラム簡略化のため、年・月・日・時刻はそれぞれ別画面で設定するようになっているので粛々と入力するべし。
初期値は PIC 焼き込み直後は 2012/09/01 00:00:00 だが、時刻設定時やログ停止操作時にその年月日日時が
EEPROM に保存される。
【料金プラン設定】
夜/昼比を計算する際の夜間時間帯を設定する。初期値は「Night 10」(夜間時間
= 10時間)。
Night 8 に設定すると各社料金プランにおける夜/昼比の状態を 2色 LED で知ることができる。
設定 | 夜間時間帯 | 電力各社対応プラン (2012/9/6 現在) |
Night 8 | 23時〜7時 |
北海道電力: ドリーム 8 タイプ B
東京電力: お得なナイト 8 東京電力: タイムシフトプラン(夏季以外) 中部電力: タイムプラン 関西電力: 時間帯別電灯 関西電力: 季時別電灯 PS 四国電力: 時間帯別電灯 沖縄電力: 時間帯別電灯 |
Night 10 | 22時〜8時 |
東京電力: お得なナイト 10
|
各社毎に時間単価は異なるが、昼・夜の 2時間帯プランであれば損益分岐比は比較的簡単に求まるハズ。下記で公開しているエクセルシートで損益分岐比を計算してみよう。
【損益分岐比設定】
損益分岐値を設定する。0.1 〜 25.5 まで設定可能。
東京電力・お得なナイト 10 プランであれば昼使用量/夜使用量比 = 1.8 が損益分岐値。(2012/9
での単価で、60A契約で昼間使用量が毎月 300kwh を超える場合)
【輝度調整】
バーグラフ LED や LCD バックライトの輝度を 0〜100% まで 5% 刻みで設定可能。初期値は
100%。
この設定値を下げることでバッテリーバックアップ時間を延ばせるという副次的な効果アリ
^^;
【バーグラフ最大値】
バーグラフ表示と下記アラーム設定の 100% 値を「AUTO」もしくは手動で指定可能。設定可能範囲は
0 〜 1024。
指定値は A/D 変換値の生値で、1000 にしておけば(理論上) 60A フルスケールになる。よって初期値
= 1000。
AUTO にすると、起動してからの A/D 変換最大値が自動的に設定〜更新される。
AUTO の場合の最大値は EEPROM に保存されないが、手動設定の場合は値が EEPROM
に保存され、再起動時にはちゃんと復元設定される。
なお、アラーム機能を利用する場合は AUTO よりも固定値にしておくことをオススメ。
【アラーム設定値】
上記バーグラフ最大値で設定した値に対して、5% 〜 200% まで 5% 刻みで設定可能。
ブレーカーにはマージンが設けられており定格程度ではすぐには落ちないそうなので、初期値は
100% にしている。
【電流換算値設定】
A/D 変換生値を電流値(アンペア)に変換表示するための係数をここで設定する。設定可能範囲は
1.0 〜 100.0。
理論的には A/D 変換生値 1000 = 60A なので初期値は 1A = 1000/60 = 16.6。
もっとも今回の装置は精度を求めていないので、表示されるアンペア数はあくまで目安である点に注意。
【RS-232C 設定】
OpenLog を接続する場合のみ「OpenLog」に設定。それ以外は「Normal」に設定する。初期値は「OpenLog」。
本装置起動時にはプログラムのバージョン番号と共にこの設定値が表示される。
【OpenLog 側の設定】
上記 RS-232C 設定を「OpenLog」に設定した場合は、OpenLog 側も事前設定が必要。
具体的には OpenLog に挿し込む SD カード上の Config.txt ファイルを下記のように書き換え、OpenLog
の起動モードを、デフォルトの「ロギング自動開始」モードから「コマンドライン起動」モードに変更する。
9600,26,3,2
この設定により、ログ ON/OFF 操作(SW3 長押し)で確実にファイルを保護でき、またログ再開時にはその時点の年月日時でファイル名が作成される。
【時計誤差微調整設定】
クロック源にクリスタルを使用しても時刻は徐々にズレていく。その誤差を微調整するための設定で、初期値は
0 (微調整無し)。実際よりも時計が早く進むようなら値を大きく、時計が遅れるようなら値を小さく設定する。-128
〜 + 127 まで設定可能。
この微調整はTMR1 のコンペア割り込み間隔を変更することで実現している。設定値
1 あたり毎秒 32 クロック(16μs) ぶん( = 57.6ms/時 = 約 1.4 秒/日 = 約
41 秒/月)を増減可能なので、実測誤差から設定値を逆算すると良い。
ちなみに管理人が製作した実機ではたまたま使用したクリスタルの誤差が大きかったのか、この値を
+7 に設定してようやく実測誤差がゼロになった。デバッグ用試作機ではこの値が
0 でも実測誤差がほぼ 0 だけにちと損した気分 ^^;
各種機能:
【アラーム】
設定値を 30秒間連続して超えるとアラームが発動する。(正確には 12回ぶんのサンプリング値平均が連続10回設定値を超えると発動)。
逆に12回ぶんのサンプリング値平均が設定値を下回れば即時解除される。
アラーム機能は SW3 で有効 / 無効を切り替えられる。
【ワンタッチ秒合わせ】
時計のズレをワンタッチで秒合わせできる機能。0〜29秒ならその分の正 0秒に、30〜59秒なら分を進めて正
0秒にアジャストしてくれる。
例えば 00:00:02 で押せば 00:00:00 に、00:00:31 で押せば 00:01:00 になるので、誤差が±30秒以内なら時報を聞きながら一発で時刻修正が可能になる。
【ログの ON/OFF】
RS-232C へのログ送出の停止・再開を制御する機能。ログ停止中でもサンプリング自体は継続されているので比計算に影響はない。
RS-232C 設定を「Normal」に設定している場合は単純にデータの送出を停止・再開するだけだが、RS-232C
設定を「OpenLog」に設定した場合は OpenLog にコントロールコマンドを送出する。
具体的には、
ログ開始時: ログのファイル名を「年月日時.txt」に指定してアペンドモードでロギングを開始。
ログ停止時: CTRL-Z を 3回送出して OpenLog をコマンドモードに落とす。これで SD
カードを安全に OpenLog から取り出せる。
【カレントグラフ】
設定した最大値に対する比を簡易グラフで表示する。更新は1分毎 (Ver 3.20〜)。
【2色 LED】
損益状態を表示する。
昨日の昼/夜比と、上記で設定したスレッショルド値とを比較して、昨日の昼/夜比が設定値より大きければ赤、±0.1
なら橙、それ以下なら緑に点灯。要するに従量B プランと比較して緑なら得、橙なら損得ゼロ、赤なら損、というワケ。
なお、ロギング中はログデータ送出タイミングに合わせて LED が点滅。ログ停止中は
LED 連続点灯となる。
【起動時の過去データ読み込み】
直近12日前までの過去積算値は EEPROM に保存されているので、再起動時に自動的に復元される。したがって万が一装置が停止しても影響を最小限に抑えられる・・・ハズ。(本当は30日ぶん保存したかったのだが
EEPROM の容量が足りなかった・・・)
逆にこの過去データが不要であれば、全データクリア操作で完全消去される。
精度:
請求書の使用電力からどの程度ズレているか現在検証中。検証終了後公表予定。
問題点・改良点など:
(1) 設計上は上記定数で 60A = A/D変換値 1000 になるはずだが、実機での確認が難しい。ちゃんと校正されたクランプ型の電流計が手元に欲しいところ。
(2) 現状では RS-232C からの入力を見ていないため、OpenLog 側の動作をちゃんと把握できない。また前作ガイガーカウンターのようなシリアル経由でのコマンド処理も実装していない。もちろんちゃんと対応コードを書けばいいのだが、面倒なので放置(殴)
応用アイデア:
(1) 測定生値を RS-232C に吐き出すので、パソコンに直接繋いでリアルタイム処理〜グラフ化するとか、XBee
を繋いでワイヤレスでデータ収集とか、様々な実装が可能。
(2) 必要最小限の部分だけ実装して単なる時計として使うのもアリ。「ワンタッチ秒合わせ」機能や誤差微調整機能のおかげで下手な時計より使いやすいハズ。
(3) 最大入力 4.096V の汎用データロガーとして流用。
使用感:
これまでカミさんに何度もブレーカーを落とされていたのだが(怒)、アラーム機能のおかげでようやくブレーカー落ちの心配から開放され、それだけでも製作した価値は十分にあった。(実際、この装置のおかげでブレーカー断の危機を免れている)
で、肝心の 2色 LED による損得表示だが、一日単位で損益状態が把握できてなかなか便利。特に「お得なナイト10」へ契約変更と同時に本装置を使い出すと一番有り難味を感じるのではなかろうか。
また SD カード上のログを分析して判明したのは、 IH と食洗機が極端に電気喰いであるということ。IH
も食洗機も 30A 程度必要で、こいつらを使うか使わないかでかなり昼/夜比が変動することがわかった。
一方、エアコン(最大 8A 程度)は常時稼動の方がむしろ平均消費電流が下げられることも確認できた。(温まった部屋の温度を一気に下げる時に大量に電気を消費するが、冷えた状態の維持には案外電気は喰わない。車が発車時に一番ガソリンを喰うのと一緒ですな)
いずれにしても、使用電力が目に見えるようになったことで、使用時間帯も含めていろいろと工夫ができるようになった意義は大きい。OpenLog
を実装して装置単体で長時間ロギングできるようにしたこと、バッテリーバックアップでデータ欠損を無くしたことも正解だった(これまで数秒間程度の停電があったが、当然影響無しで済んだ)。
最後に:
当初「お得なナイト10」は 2012/8 で新規加入停止とのことだったので慌てて契約変更したのだが、結果的には今後も継続されることになったようだ。
料金プラン変更以降の数ヶ月間、管理人宅の昼夜電力使用比は 1.5 前後を推移しており絶好調。従量
B プランの場合よりも確実に電気料金が節約できている ^^v
なお、多くの家庭では「ピークシフト」よりも「お得なナイト10」の方がメリットが出やすいと東電自身も認めていることから(参考記事)、本装置で損益を十分に判断した上で契約変更するのが吉。(ちなみに東電では時間別の使用量をロギングする同様の装置を契約変更前に
1週間程度レンタルしてくれるそうである。短期的な損益判断にはそれで十分)
さて、本装置の完成により、1年後にはピークシフトプランとの年間損益比較ができるハズ。今から
1年後が楽しみな管理人であった。
2012/09/06 追記:
基本的に従量制(段階別料金制)では電気を使えば使うほど単価が高くなる。したがって電気を使えば使うほど単価が安く設定されている時間帯別料金プランで得をする可能性が高くなる。(支払う料金の「絶対値」は大きくなるが、従量プランとの差額が大きくなる、ということ)
例えば東京電力「お得なナイト10」の場合、月あたりの使用量が第三段階料金ゾーンにはいる
300 kwh が目安。特にピークシフトプランでの夏季以外の月では単価が非常に安く、加えて冬季は暖房器具による電気消費が夜側に傾くこともあって、絶対的な使用量が多い家庭なら例え夏季で損をしても通年レベルではモトが取れる可能性が高い。
またエアコンは上記の通り、
・温まった部屋を一気に冷やす際に電気を喰うが、冷えた部屋を一定に保つにはさほど電気を喰わない
・昼だけエアコンを使うと当然昼/夜比が上がって損状態に傾く
ことから、付けっ放しの方が時間帯別料金プランでは有利に働く。
実際、管理人宅は 600(春先)〜1000(夏季)kwh/月の使用量で、夏季はエアコン
2台を 24時間付け放し運用。一番電気喰いの食洗機を夜に稼動させていることもあり、夏季料金状態のピークシフトプランでも「得」状態になっている模様。今後取得される秋〜冬データが楽しみだ
^^;
ソフトウエア:
エクセルシート、HEX ファイルともに商用利用厳禁。
おまけとして、東京電力の各種料金プランを比較できるエクセルシートを同梱しておく。本装置で表示される各時間帯の直近30日使用量を入力し、料金プランを比較しよう。
プログラム ver 3.11 (.HEX) & 料金比較用エクセルシート (.xls) (2012/09/20) |
PM_v3.11.zip |