拒絶をすべき旨の査定を受けた者は、その査定に不服があるときは、その査定の謄本の送達があった日から30日以内に審判を請求することができる。
2 前項の審判を請求する者がその責めに帰することができない理由により同項に規定する期間内にその請求をすることができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から14日(在外者にあっては、二月)以内でその期間の経過後六月以内にその請求をすることができる。
特許が次の各号の一に該当するときは、その特許を無効にすることについて審判を請求することができる。この場合において、二以上の請求項に係るものについては、請求項ごとに請求することができる。
2 前項の審判は、特許権の消滅後においても、請求することができる。
3 審判長は、第1項の審判の請求があったときは、その旨を当該特許権についての専用実施権者その他その特許に関し登録した権利を有する者に通知しなければならない。
特許を無効にすべき旨の審決が確定したときは、特許権は、初めから存在しなかったものとみなす。ただし、特許が第123条第1項第7号に該当する場合において、その特許を無効にすべき旨の審決が確定したときは、特許権は、その特許が同号に該当するに至った時から存在しなかったものとみなす。
特許権の存続期間の延長登録が次の各号の一に該当するときは、その延長登録を無効にすることについて審判を請求することができる。
2 第123条第2項及び第3項の規定は、前項の審判の請求について準用する。
3 延長登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、その延長登録による存続期間の延長は、初めからされなかったものとみなす。ただし、延長登録が第1項第3号に該当する場合において、その特許発明の実施をすることができなかった期間を超える期間の延長登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、当該超える期間について、その延長がされなかったものとみなす。
特許権者は、特許異議の申立て又は第123条第1項の審判が特許庁に係属している場合を除き、願書に添付した明細書又は図面の訂正をすることについて審判を請求することができる。ただし、その訂正は、次に掲げる事項を目的とするものに限る。
2 前項の明細書又は図面の訂正は、願書に添付した明細書又は図面(同項ただし書第2号の場合にあっては、願書に最初に添付した明細書又は図面(外国語書面出願に係る特許にあっては、外国語書面))に記載した事項の範囲内においてしなければならない。
3 第1項の明細書又は図面の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであってはならない。
4 第1項ただし書第1号及び第2号の場合は、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。
5 第1項の審判は、特許権の消滅後においても、請求することができる。ただし、特許が取消決定により取り消され、又は第123条第1項の審判により無効にされた後は、この限りでない。
特許権者は、専用実施権者、質権者又は第35条第1項、第77条第4項若しくは第78条第1項の規定による通常実施権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、前条第1項の審判を請求することができる。
願書に添付した明細書又は図面の訂正をすべき旨の審決が確定したときは、その訂正後における明細書又は図面により特許出願、出願公開、特許をすべき旨の査定又は審決及び特許権の設定の登録がされたものとみなす。
審判を請求する者は、次に掲げる事項を記載した請求書を特許庁長官に提出しなければならない。
2 前項の規定により提出した請求書の補正は、その要旨を変更するものであってはならない。ただし、前項第3号に掲げる請求の理由については、この限りでない。
3 第126条第1項の審判を請求するときは、請求書に訂正した明細書又は図面を添附しなければならない。
同一の特許権について第123条第1項又は第125条の2第1項の審判を請求する者が二人以上あるときは、これらの者は、共同して審判を請求することができる。
2 共有に係る特許権について特許権者に対し審判を請求するときは、共有者の全員を被請求人として請求しなければならない。
審判長は、請求書が第131条第1項又は第3項の規定に違反しているときは、請求人に対し、相当の期間を指定して、請求書について補正をすべきことを命じなければならない。
2 審判長は、前項に規定する場合を除き、審判事件に係る手続について、次の各号の一に該当するときは、相当の期間を指定して、その補正をすべきことを命ずることができる。
3 審判長は、前2項の規定により、審判事件に係る手続について、その補正をすべきことを命じた者がこれらの規定により指定した期間内にその補正をしないときは、決定をもってその手続を却下することができる。
4 前項の決定は、文書をもって行い、かつ、理由を付さなければならない。
審判長は、審判事件に係る手続(審判の請求を除く。)において、不適法な手続であってその補正をすることができないものについては、決定をもってその手続を却下することができる。
2 前項の規定により却下しようとするときは、手続をした者に対し、その理由を通知し、相当の期間を指定して、弁明書を提出する機会を与えなければならない。
3 第1項の決定は、文書をもって行い、かつ、理由を付さなければならない。
審判長は、審判の請求があったときは、請求書の副本を被請求人に送達し、相当の期間を指定して、答弁書を提出する機会を与えなければならない。
2 第123条第1項の審判の被請求人は、前項又は第153条第2項の規定により指定された期間内に限り、願書に添付した明細書又は図面の訂正を請求することができる。ただし、その訂正は、次に掲げる事項を目的とするものに限る。
3 審判長は、第1項の答弁書又は前項の訂正の請求書に添付された訂正した明細書若しくは図面を受理したときは、その副本を請求人に送達しなければならない。
4 審判長は、審判に関し、当事者及び参加人を審尋することができる。
5 第126条第2項から第5項まで、第127条、第128条、第131条、第132条第3項及び第4項並びに第165条の規定は、第2項の場合に準用する。
不適法な審判の請求であって、その補正をすることができないものについては、被請求人に答弁書を提出する機会を与えないで、審決をもってこれを却下することができる。
審判は、三人又は五人の審判官の合議体が行う。
2 前項の合議体の合議は、過半数により決する。
3 審判官の資格は、政令で定める。
特許庁長官は、各審判事件(第162条の規定により審査官がその請求を審査する審判事件にあっては、第164条第3項の規定による報告があったものに限る。)について前条第1項の合議体を構成すべき審判官を指定しなければならない。
2 特許庁長官は、前項の規定により指定した審判官のうち審判に関与することに故障がある者があるときは、その指定を解いて他の審判官をもってこれを補充しなければならない。
特許庁長官は、前条第1項の規定により指定した審判官のうち一人を審判長として指定しなければならない。
2 審判長は、その審判事件に関する事務を総理する。
審判官は、次の各号の一に該当するときは、その職務の執行から除斥される。
前条に規定する除斥の原因があるときは、当事者又は参加人は、除斥の申立をすることができる。
審判官について審判の公正を妨げるべき事情があるときは、当事者又は参加人は、これを忌避することができる。
2 当事者又は参加人は、事件について審判官に対し書面又は口頭をもって陳述をした後は、審判官を忌避することができない。ただし、忌避の原因があることを知らなかったとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。
除斥又は忌避の申立をする者は、その原因を記載した書面を特許庁長官に提出しなければならない。ただし、口頭審理においては、口頭をもってすることができる。
2 除斥又は忌避の原因は、前項の申立をした日から三日以内に疎明しなければならない。前条第2項ただし書の事実も、同様とする。
除斥又は忌避の申立があったときは、その申立に係る審判官以外の審判官が審判により決定をする。ただし、その申立に係る審判官は、意見を述べることができる。
2 前項の決定は、文書をもって行い、かつ、理由を附さなければならない。
3 第1項の決定に対しては、不服を申し立てることができない。
除斥又は忌避の申立があったときは、その申立についての決定があるまで審判手続を中止しなければならない。ただし、急速を要する行為については、この限りでない。
第123条第1項又は第125条の2第1項の審判は、口頭審理による。ただし、審判長は、当事者若しくは参加人の申立てにより又は職権で、書面審理によるものとすることができる。
2 前項に規定する審判以外の審判は、書面審理による。ただし、審判長は、当事者の申立により又は職権で、口頭審理によるものとすることができる。
3 審判長は、第1項又は前項ただし書の規定により口頭審理による審判をするときは、その期日及び場所を定め、その旨を記載した書面を当事者及び参加人に送達しなければならない。ただし、当該事件について出頭した当事者又は参加人に対しこれを告知したときは、この限りでない。
4 第1項又は第2項ただし書の規定による口頭審理は、公開して行う。ただし、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるときは、この限りでない。
民事訴訟法第134条 (通事)の規定は、審判に準用する。
第145条第1項又は第2項ただし書の規定による口頭審理による審判については、特許庁長官が指定する職員は、審判長の命を受けて、期日ごとに審理の要旨その他必要な事項を記載した調書を作成しなければならない。
2 前項の調書には、審判の審判長及び調書を作成した職員が記名し、印を押さなければならない。
3 民事訴訟法第145条から第147条まで(調書)の規定は、第1項の調書に準用する。
第132条第1項の規定により審判を請求することができる者は、審理の終結に至るまでは、請求人としてその審判に参加することができる。
2 前項の規定による参加人は、被参加人がその審判の請求を取り下げた後においても、審判手続を続行することができる。
3 審判の結果について利害関係を有する者は、審理の終結に至るまでは、当事者の一方を補助するためその審判に参加することができる。
4 前項の規定による参加人は、一切の審判手続をすることができる。
5 第1項又は第3項の規定による参加人について審判手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、被参加人についても、その効力を生ずる。
参加を申請する者は、参加申請書を審判長に提出しなければならない。
2 審判長は、参加の申請があったときは、参加申請書の副本を当事者及び参加人に送達し、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えなければならない。
3 参加の申請があったときは、その申請をした者が参加しようとする審判の審判官が審判により決定をする。
4 前項の決定は、文書をもって行い、かつ、理由を附さなければならない。
5 第3項の決定に対しては、不服を申し立てることができない。
審判に関しては、当事者若しくは参加人の申立により又は職権で、証拠調をすることができる。
2 審判に関しては、審判請求前は利害関係人の申立により、審判の係属中は当事者若しくは参加人の申立により又は職権で、証拠保全をすることができる。
3 前項の規定による審判請求前の申立は、特許庁長官に対してしなければならない。
4 特許庁長官は、第2項の規定による審判請求前の申立があったときは、証拠保全に関与すべき審判官を指定する。
5 審判長は、第1項又は第2項の規定により職権で証拠調又は証拠保全をしたときは、その結果を当事者及び参加人に通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えなければならない。
6 第1項又は第2項の証拠調又は証拠保全は、当該事務を取り扱うべき地の地方裁判所又は簡易裁判所に嘱託することができる。
第147条並びに民事訴訟法第130条 (受命裁判官の指定及び嘱託)、第152条第1項から第3項まで(期日)、第154条第1項(呼出し)、第257条から第260条まで、第262条から第267条まで、第271条から第276条まで、第279条から第282条まで、第283条第1項、第285条から第302条まで、第304条、第305条、第306条第1項、第2項及び第3項前段、第307条から第314条まで、第319条から第327条まで、第328条第1項、第329条第1項、第330条、第332条から第334条まで、第335条第1項、第336条、第337条、第340条前段、第341条から第343条まで、第345条から第351条の2まで(証拠)並びに第358条の3(書面の提出)の規定は、前条の規定による証拠調べ又は証拠保全に準用する。この場合において、同法第257条中「裁判所ニ於テ当事者ガ自白シタル事実及顕著ナル事実」とあるのは「顕著ナル事実」と、同法第267条第2項中「保証金ヲ供託セシメ又ハ其ノ主張ノ真実ナルコトヲ」とあるのは「其ノ主張ノ真実ナルコトヲ」と読み替えるものとする。
審判長は、当事者又は参加人が法定若しくは指定の期間内に手続をせず、又は第145条第3項の規定により定めるところに従つて出頭しないときであっても、審判手続を進行することができる。
審判においては、当事者又は参加人が申し立てない理由についても、審理することができる。
2 審判長は、前項の規定により当事者又は参加人が申し立てない理由について審理したときは、その審理の結果を当事者及び参加人に通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えなければならない。
3 審判においては、請求人が申し立てない請求の趣旨については、審理することができない。
当事者の双方又は一方が同一である二以上の審判については、その審理の併合をすることができる。
2 前項の規定により審理の併合をしたときは、さらにその審理の分離をすることができる。
審判の請求は、審決が確定するまでは、取り下げることができる。
2 審判の請求は、第134条第1項の答弁書の提出があった後は、相手方の承諾を得なければ、取り下げることができない。
3 二以上の請求項に係る特許の二以上の請求項について第123条第1項の審判を請求したときは、その請求は、請求項ごとに取り下げることができる。
審判長は、事件が審決をするのに熟したときは、審理の終結を当事者及び参加人に通知しなければならない。
2 審判長は、必要があるときは、前項の規定による通知をした後であっても、当事者若しくは参加人の申立により又は職権で、審理の再開をすることができる。
3 審決は、第1項の規定による通知を発した日から20日以内にしなければならない。ただし、事件が複雑であるとき、その他やむを得ない理由があるときは、この限りでない。
審決があったときは、審判は、終了する。
2 審決は、次に掲げる事項を記載した文書をもって行い、審決をした審判官がこれに記名し、印を押さなければならない。
3 特許庁長官は、審決があったときは、審決の謄本を当事者、参加人及び審判に参加を申請してその申請を拒否された者に送達しなければならない。
審査においてした手続は、第121条第1項の審判においても、その効力を有する。
第53条の規定は、第121条第1項の審判に準用する。この場合において、第53条第1項中「第17条の2第1項第2号」とあるのは「第17条の2第1項第2号又は第3号」と、「補正が」とあるのは「補正(同項第2号に掲げる場合にあっては、第121条第1項の審判の請求前にしたものを除く。)が」と読み替えるものとする。
2 第50条の規定は、第121条第1項の審判において査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した場合に準用する。この場合において、第50条ただし書中「第17条の2第1項第2号に掲げる場合」とあるのは、「第17条の2第1項第2号又は第3号に掲げる場合(同項第2号に掲げる場合にあっては、第121条第1項の審判の請求前に補正をしたときを除く。)」と読み替えるものとする。
第121条第1項の審判において査定を取り消すときは、さらに審査に付すべき旨の審決をすることができる。
2 前項の審決があった場合における判断は、その事件について審査官を拘束する。
3 第1項の審決をするときは、前条第3項の規定は、適用しない。
特許庁長官は、第121条第1項の審判の請求があった場合において、その日から30日以内にその請求に係る特許出願の願書に添付した明細書又は図面について補正があったときは、審査官にその請求を審査させなければならない。
第48条、第53条及び第54条の規定は、前条の規定による審査に準用する。この場合において、第53条第1項中「第17条の2第1項第2号」とあるのは「第17条の2第1項第2号又は第3号」と、「補正が」とあるのは「補正(同項第2号に掲げる場合にあっては、第121条第1項の審判の請求前にしたものを除く。)が」と読み替えるものとする。
2 第50条の規定は、前条の規定による審査において審判の請求に係る査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した場合に準用する。この場合において、第50条ただし書中「第17条の2第1項第2号に掲げる場合」とあるのは、「第17条の2第1項第2号又は第3号に掲げる場合(同項第2号に掲げる場合にあっては、第121条第1項の審判の請求前に補正をしたときを除く。)」と読み替えるものとする。
審査官は、第162条の規定による審査において特許をすべき旨の査定をするときは、審判の請求に係る拒絶をすべき旨の査定を取り消さなければならない。
2 審査官は、前項に規定する場合を除き、前条第1項において準用する第53条第1項の規定による却下の決定をしてはならない。
3 審査官は、第1項に規定する場合を除き、当該審判の請求について査定をすることなくその審査の結果を特許庁長官に報告しなければならない。
審判長は、第126条第1項の審判の請求が同項ただし書各号に掲げる事項を目的とせず、又は同条第2項から第4項までの規定に適合しないときは、請求人にその理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。
審判において必要があると認めるときは、特許異議の申立てについての決定若しくは他の審判の審決が確定し、又は訴訟手続が完結するまでその手続を中止することができる。
2 訴えの提起又は仮差押命令若しくは仮処分命令の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、裁判所は、審決が確定するまでその訴訟手続を中止することができる。
第123条第1項又は第125条の2第1項の審判に関する費用の負担は、審判が審決により終了するときはその審決をもって、審判が審決によらないで終了するときは審判による決定をもって、職権で、定めなければならない。
2 民事訴訟法第89条から第94条まで、第98条第1項及び第2項、第99条、第101条並びに第102条 (訴訟費用の負担)の規定は、前項に規定する審判に関する費用に準用する。
4 民事訴訟法第93条 (共同訴訟の費用)の規定は、前項の規定により請求人又は申立人が負担する費用に準用する。
5 審判に関する費用の額は、請求により、審決又は決定が確定した後に特許庁長官が決定をする。
6 審判に関する費用の範囲、額及び納付並びに審判における手続上の行為をするために必要な給付については、その性質に反しない限り、民事訴訟費用等に関する法律(昭和46年法律第40号)中これらに関する規定(第2章第1節及び第3節に定める部分を除く。)の例による。
審判に関する費用の額についての確定した決定は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。