日本列島・全国郷土玩具の旅

----鹿児島県篇・第3回----

---- KAGOSHIMA(3)----






■坊津(ぼうのつ)のガラガラ船
 薩摩半島の観光地でもある坊津(ぼうのつ)町で、ガラガラ船は作られています。製作している「いそなみ工芸社」の大山照夫さんは建築が本業で、ガラガラ船は妻のタヨさんの名前で販売されています。
 これも「鹿児島ブランドショップ」に出品されています。また「坊津観光案内所」でも扱っています。
 帆綱には括(くく)り猿のような形の「サイノコ」と呼ぶぬいぐるみが付けてありますが、これは水夫を表わしているとのことです。
 この船は本来は、端午の節供の浜遊びの習俗から生まれたものと思われます。現在では6月の第1日曜日が「唐から船祭り」で、浜の公民館から九玉神社まで、男の子達が自分の背丈以上もある大きな帆を張ったガラガラ船を引いて歩きます。これを小型化したのがこの玩具です。
 この船がいつ頃から作られるようになったのかは不明ですが、ガラガラとは唐船をもじったものと思われます。坊津の港は、徳川幕府が寛永12年(1635)に長崎を外国船の出入港に限定するまでは、坊津を「入唐道(にゅうとうどう)」と呼んだ日本最古の「唐湊(からみなと)」であり、遣唐船(けんとうせん)の発着港として繁栄した町でした。
製作者:大山タヨ「いそなみ工芸社」:川辺郡坊津町泊179..TEL: 0993-67-1161
坊津町観光案内所:川辺郡坊津町坊9426..TEL: 0993-67-2169
坊津のかつお船
 この玩具は、かっては石井徹也さんが老齢にもかかわらず作っていましたが、今は作られていないようです。
 鰹漁の帆前船の模型を玩具化したもので、ナタの削り跡の残る素朴な作りでした。
薩摩首人形
 製作者は、隼人(はやと)町の鹿島たかしさん。隼人駅より肥薩線に乗り換え、次の無人駅の日当山(ひなたやま)駅下車、徒歩15分の所に住んでいられます。
 製作を始めてから30余年以上たち、かなりご高齢ですので現在も作られているかは確認できていません。「鹿児島ブランドショップ」にも出されていたとのことです。
 この首人形は、紙粘土を素材とした、いわゆる紙塑(しそ)人形の一種で、和紙を水で溶かし、のりで練り合わせて粘土状にしたものを、割り竹の先に固め、指先でそれぞれの人形の表情を手捻りしたものです。天日で自然乾燥の後、絵の具で彩色するので、仕上げまでに10〜14日位はかかります。
 種類は、鹿児島神宮にちなんだ鈴懸馬、霧島神社の宝物の霧島九面、隼人稲荷の島津の日狐、その他40種ほど。また、猿の面かぶり、へび使いなどからくり人形5種があります。
製作者:鹿島たかし:姶良郡隼人町内1847-9..TEL: 0995-43-0895

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(2000.1.16号)