【民芸館】全国郷土玩具バーチャルミュージアム


奈良県篇(2)ー2

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南阿田の流し雛
 紀ノ川の上流の吉野川、南阿田の源竜寺で4月の第一日曜日に、流し雛の行事が行われます。
 この流し雛は、竹の皮の舟に折り紙製の男雛・女雛が落ちないように止めてあります。その他に、紙の菱餅と願い文の丸めたものを一緒に乗せています。これには、流し雛と飾り雛があり、実際に流す方は、竹の皮の幅がやや狭い方です。
 この流し雛は、地域の主婦の手作りの作品で、この行事の当日のみ、源竜寺の境内で売られています。
源竜寺:五条市南阿田町..Tel:07472-2-7367




信貴山(しぎさん)の虎(張り子の虎)■
 信貴山は、正式には、信貴山歓喜院朝護孫子寺といいます。本堂に安置されている毘沙門天は福徳開運の神として多くの信者を集めています。
 寅の日には参詣者が多く、とくに正月の初寅には、数十万人ともいわれる人出で賑い、「張り子の虎」を売る店が並びます。今では、いつでも、赤門前の寺務所で大型の張り子の虎、本堂では竹に吊り下げられた小型の張り子が、授与されています。
(注)この虎は、隣接する大阪府柏原市の峯嘉武さんが制作しています。

吉野雛と土鈴
 桜で有名な吉野山で、桜樹彫り吉野雛を「大田桜花堂」が作っています。
 (近鉄南大阪線吉野駅→ケーブル・吉野山駅)
 吉野雛は木製と土製の2種類が作られています。桜樹彫り吉野雛は、1939年のニューヨーク博覧会、その翌年のサンフランシスコ万博に、初代・大田新一さんが創始した作品を、奈良人形などと共に出品したのが始まりでした。現在は、その息子さんの豊茂さんが二代目を継いで制作しています。
 また、土製の雛と同じ製法で、土鈴も作られています。吉野山の蛙飛び行事にちなんだ「蛙土鈴」、能面からとった「静御前能面土鈴」がありますが、いずれも土雛と同じようにていねいに描かれた作品です。
 吉野雛の栞によれば「大海人王子(天武天皇)が吉野の離宮においでになった頃、吉野の豪族が桜の樹を多く植えさせ、その樹で人形を制作して献上させました。その後、人形の製法は時代と共に発展しましたが、南朝の頃、後醍醐天皇が御不自由な行宮でいらしゃるのをお慰めするために献上されました桜樹彫りの人形一点として桜樹彫吉野雛が残っております」と記されています。

(制作)大田豊茂(大田桜花堂):吉野郡吉野町吉野山563-1..Tel:07463-2-5889


---奈良県篇...終り---


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(1998.5.25掲載)