【民芸館】......全国郷土玩具の旅


千葉県篇(2)ー2

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ほうじゃり
今はほとんど廃れてしまったが、上総地方の小正月に「ほうじゃり」という行事がありました。
「ほうじゃり」は「カバカバ」「ホトホト」などの名で各地にかろうじて残っている、小正月の民俗行事の一つであり、また、その時に配る人形のことをも指しています。
正月2日に子供があつまり、「ほうじゃり」を作ります。翌3日、子供達は「ほうじゃり」を重箱に入れて村の家々に持って行きます。それをもらった家では、米、餅、金銭などをその重箱に入れて返します。
子供達はそれを宿に持ち返り、集まったものを煮炊きして皆で会食します。夜になると、囲炉裏を囲んで棒を叩いて「鳥追い唄」をうたい続けます。そんな素朴な民俗行事ですが、いつのまにか廃れて、「ほうじゃり」の名さへ忘れられてしまいました。




■七夕馬(真菰馬)■
県内全域、そして、茨城県の霞ヶ浦周辺で、かっては七夕馬が作られていました。
主に真菰(稲科の草)で作られるので、真菰馬とも呼ばれていまが、茅(かや)や麦藁でつくる所もありました。今はほとんどが廃絶していますが、ごく一部の地域では制作されているようです。
七夕馬とはいうものの、いわゆる七夕祭りとは無縁の、子供を主役にした精霊迎えの民俗行事の道具(玩具)です。



航海の守護神・各地の船霊(ふなだま)




宮城県気仙沼の廃船に残されて
いた船霊さまと木の祠




房総の港町に、船霊(ふなだま)さまと呼ぶ一対の雛人形があります。
この人形は房総だけでなく、東北から東海、瀬戸内海地方の港町でもみられます。
船霊は「船玉、船魂」とも書き、本来は航海の安全を祈る船の守護神であり
、木の祠(ほこら)に入れ、船の帆柱のもとに祭ります。
海難に遭遇したときこれを海中に投げ、災厄から逃れるように祈ったものです。
本来このような「ひとがた(人形)」であって、郷土玩具としては原始的なものと考えられます。
したがって、この船霊は一般的に店頭で売られるようなものではありません。

この10cmほどの小さな人形は、縦20cm、横 10 cm、奥行5 cm、位の無垢の木に、長方形の凹みを彫り、その中に納めてしっかり蓋をしたうえで、船に祀るのです。

なお、これと同種のものとして、和歌山の加太浅島(かたあわしま)神社の「守り雛」や、宮崎の青島神社の「神雛」などがあり、この方は各神社で授与されています。 



----千葉県篇・おわり----

(1997.7.7掲載)


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