季刊カステラ・1998年春の号

発汗の辞

冷や汗をかいている。

◆目次◆

プリンプリン物語大辞典
方法的怠惰
自堕落論
秘密集会
インモラル物語
かなり重症
編集後記
別冊付録『彼が目覚める時』1

『プリンプリン物語大辞典』

むかうところてきなし【向かう所敵なし】
〔ことわざ〕敵のいない方へ進むこと。
むてき【無敵】
相手にされないこと。
くちはっちょうてはっちょうはちめんろっぴにまいじた【口八丁手八丁八面六臂二枚舌】
合わせて32である。
うみせんやませんはっぽうびじんうそはっぴゃく【海千山千八方美人嘘八百】
合わせて2808である。あざとくて、調子がいいやつのことを「あいつは2808だね」という具合に使う。
へたなてっぽうかずうちゃめいわく【下手な鉄砲数撃ちゃ迷惑】
はじめから散弾銃を使えばいいのである。
みざるいわざるきかざる【見ざる、言わざる、着飾る】
着飾ってどうする。
みずこのたましいひゃくまでも【水子の魂百までも】
鈴なりである。
どくぜつ【毒舌】
キス五回が致死量。
てれふぉんせっくす【テレフォンセックス】
電話の交尾。類語:カーセックス。
電話や車が交尾でうじゃうじゃ増えちゃったら困るような、便利なような。
 テレフォンセックスがあるんだから、チャットセックスもあるんだろうなあ。チャットSMホモとか。3Pとか。スススススス、スワッピングなども。相手が男か女か判断するのが難しそうですが。
たいざんめいどうしてみみずせんびき【大山鳴動してミミズ千匹】
よく分からないが、持ち物がすごいということだと思う。
めとはなのさき【芽と花の先】
実がなる。
ぐっどらっく【グッド・ラック】
良い棚のこと。
やまいはきから【病は気から】
最初に心が壊れる。
はかはしななきゃはいれない【墓は死ななきゃ入れない】
御もっとも。
ふるーつ【フルーツ】
フルートの複数形。
じゅうい【獣医】
獣のような医者。
ていっぱい【手いっぱい】
千手観音。
めはくちほどにものをいい【目は口ほどに物を言い】
「鬼太郎!」 類語:目が座る
しりにものがはさまったようないいかた【尻に物が挟まったような言い方】
友人の更紗氏によれば「たとえ漏らしたくても漏らす事の出来ない言い方」だそうである。
ながいものにはまかれろ【長芋の煮は負かれろ】
良く分からないが、煮物の値段を負けて欲しいらしい。
ばたふらいないふ【バタフライナイフ】
1)蝶を切るためのナイフ。
2)特別な泳法で泳ぎながら切るためのナイフ。
3)踊り子さんが前を隠す布を切るためのナイフ。
4)バターで揚げたナイフ。
ふううんきゅうをつげる【風雲急を告げる】
トイレはどこだっ!
         風ウンというより雷ウン。ゴロゴロゴロゴロ。
うまのみみにねんぶつ【馬蚤ミニ念仏】
ミニスカートをはいた馬に蚤がたかっている。 念仏をとなえるが、かゆみが治まらない。
あんごつばきはこいのはな【安吾唾は濃いの鼻】
坂口安吾の唾には濃い鼻汁が混じっている。
でうすえくすわぎな【デウス・エクス・ワギナ】
女性は神を持っている。お×××じかけの神、などと訳してはいけません。それを持ってくれば、最後は丸くおさまる。
いだてん【韋駄天】
早漏を揶揄する言葉。
でんこうせっか【電光石火】
早漏を揶揄する言葉。
すぷりんたー【スプリンター】
早漏を……もういいか。
むねのたかなり【胸の高鳴り】
ズモモモモモモモモ、パオーン! やかましい。
うれしいひめい【嬉しい悲鳴】
グウェ〜〜ッ! やかましいと言うのが分からんのか。
ふぁみれす【ファミレス】
ネタを拾う場所。深夜などに赤裸々な人生が展開されていることがある。ユーミンも素顔でネタを拾っているらしい。食事もできないことはない。
みひつのこい【未必の恋】
行為者が、恋愛感情の発生することを積極的に意図したわけではないが、自分の行為から場合によってはその結果が発生するかも知れないし、そうなってもしかたがないと思いながら、なおその行為に及ぶときの意識。
ナンパが目的というわけではなかった。
こんぴゅーたねっと【コンピュータネット】
コンピュータをつなぐ通信回線でできた網。絡め取られるとなかなか抜け出ることができない。
のるかそるか【伸るか反るか】
そる。
なんばしょっと【難波ショット】
大阪の散弾銃。
とんでんへいいるのになつはむし【屯田兵いるのに夏は無視】
夏だからといって北海道入植者を無視すること。
さーちこのさーちはどこにある【サーチこのサーチはどこにある】
検索エンジン。
ほとけのかおもさんどいっち【仏の顔もサンドイッチ】
腹が減っていると何でも食べ物に見える。
さーちえんじん【サーチエンジン】
内燃機関を探すこと。エンジンをなくして気がつかないドライバーは少ない。
あるぜんちん【亜爾然丁】
丹後の国。現在の京都府北部。
けんさくえんじん【検査食えんジン】
検査するのは勝手だが、ジンは飲むものであって食べるものではない。
てんせいじんご【転生人後】
さて次は何に生まれかわるでしょう。
しじゅうはって【四十八手】
手が四十八あること。
阿修羅王 < 四十八手 < 千手観音。
類語:口八丁手八丁
きゅうみり【九ミリ】
気丈なこと。感傷的にならないこと。そのこころは、センチにならない。ちょっぴりセンチな12ミリ。
いわんのばか【イワン野馬鹿】
野生の馬鹿。野良馬鹿とも。
あなくろ【穴黒】
ブラックホールのこと。シュワルツシルト面では時間が止まっている。
いちをきいてじゅうをしる【位置を聞いて住を知る】
良く分からないがGPSと関係あるような気がする。地図から住所を割り出すようなシステムかなあ。
とうだいもとくらし【東大元暮らし】
元は東大で暮らしていた。駒場寮廃寮にもとづく故事。
ほるもん【掘る物】
シャベル。
しろくろないずとすいみんぐ【シロクロナイズドスイミング】
水泳の種目で、男女混合競技の一種。

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『方法的怠惰』

●自己とは他者との差異の総計に過ぎない●

クリスマスはコミュニケーションの季節。
親しい仲間たちの微笑みが交流する
百の言葉より一つの暴力。
街はキラキラ、エレクトリカルパレードのよう。
商業主義を嘲笑するより、
大はしゃぎに楽しんでしまうか
あなたも金の亡者になってしまうのが
この季節の正しい過ごし方。
たいていのことは「今日は特別な日なんだから」
と言えば許されます。
大切なのは、ちょっとしたアイデアと
工夫を凝らしてオリジナルなクリスマスを
デザインしてみようという気持ち。
自分一人の才覚で成功者になり、友達を見下してやりたい。
かといって何か新しいベンチャーを始める当ても無し…。
あなたの周りにそんなお友達はいませんか。
そんなお友達には、
一見自分で何かを開拓したように思える、あの手の商法
「うまい商売のやり方教えます、
私の指導で月々××万円の収入を得ている人も…」
という誘いをかければ、欲に目が眩んで
うかうかと話に乗ってくるやつが必ずいます。
今なら「ピカチュウ」のパチモンのぬいぐるみの作り方でも教えて、
型紙を5万円くらいで売り付けるのが良いでしょう。
                 メリークリスマス

●たまに行くならこんな店●

 ヘーゲルも言っているように、今、東京で一番ホットな「太陽にほえろ」。今までに無かった切り口で、自分を見失っている東京の今をお届けします。

◆新横浜レアなヤクザ博物館
 人気のレアなヤクザ博物館。ヌルいことを言ってさんざ叩かれたレアなヤクザ店8軒が暖簾を並べる、昭和33年の街にタイムスリップ! 33年当時の町並みが再現されており、その街の中に昔のレアなヤクザ屋さんが8軒あります。好きなところに入ってレアなヤクザを食べられる! その他には、レアなヤクザの歴史を展示しているフロアーや、ショップでは約50種類の生レアなヤクザを販売しています。
 人気メニューは、左翼のヤクザ、日本舞踊をならうヤクザ、アジ演説するヤクザ、シンナーは吸うけど野菜は無農薬という健康志向のヤクザ、バード・ウォッチングするヤクザ、ソーラーカーに乗るエコロなヤクザ、哲学するヤクザ、受験勉強に精進して大学に行く高学歴のヤクザなどなど。
 日曜祭日には、北欧の心暖まる名作アニメーション映画「木を植えたヤクザ・仁義もヘチマもあるものか神戸死闘編」の上映もあります。ああいうものは別世界のものなどと思わず、一度挑戦してみましょう。

◆カフェ・デ・そういうものなのか
 フランスのサンジェルマン・デ・プレにあるカフェをイメージ。お茶するだけでなく、広く革命的勢力を結集する目的でも利用して欲しい。コーヒー一杯でも2週間は過ごせるような、そんな長居のできるサロン的カフェが目的。店内は10,000席(全席指定、電気椅子、三角木馬あり)。八景島シーパラダイスの水槽の中と言う場所柄、有明、東京国際展示場(東京ビックサイト)や近くの同人誌即売会からやって来るカーレンジャーが多いのも、特徴のひとつ。暖かい日は西洋起源の京都祇園祭になるので、英字新聞やアダルト系の実用書を片手にのんびりとくつろげば、気分はまさにパリジャン&パリジェンヌ。都内にある「カフェ・デ・プレ」の中でも、ここ八景島シーパラダイス店のおしゃれな雰囲気はピカイチと評判だ。
 舶来品をありがたがる、駅前留学中の君にぴったりのお店だね。

◆貧乏神:門前仲町店
 もう、めちゃくちゃ不味いです。こちらは、門前仲町店。他に東京厚生年金会館ステージ中央店と博多祇園山笠店がありますが、座って食べられるのは、ここと東京厚生年金会館店だけ。博多祇園山笠店は床が焼けた鉄板なので、じっと立っていることも許されません。深夜は行列がずら〜っと出来て30分くらい並ぶ事もあります。お勧めは、やっぱり愚が大きい「キャンディ・ダルファー」。口に入れた瞬間とろけてしまう。これ、食べてみないと解らないなぁ。
 東西線門前仲町駅より、徒歩3ヶ月
 営業時間:血反吐くまで 定休日:日、月、火、水、木、土、天、海、冥

◆Bar 締切
 極、たま〜に行くシリコンバレーのバーです。お酒の種類は300種以上、犬の種類は600弱。中でも、オリジナルカクテル、「どうしても権威に弱くて」(1500円)がおすすめ。自家栽培の典型的な長男を浮かべた、フルーツ系の京都牛特選モモ冷しゃぶ味。さっぱりした清涼感が、お洒落だ。フード関係も充実していて、おなかが空いている時ももGood!
 千葉県犬吠崎灯台斜向かい 郵便局左入る
 営業時間:18:00〜18:02 守護霊の機嫌の悪い日定休

『自堕落論』

●君といつまでも●

師走だなあ。ぼかあ12月はいつも師走なんだ。
ぼかあ、死ぬまで12月は師走だぞ。
いいだろう。
             いいよ、別に。

●カイロの紫のラバ●

ベルサイユのラバ
君はラバより美しい
            ラバ売る小唄。

●「路傍の石」ごっこ●

ぼくは路傍をやるから、君は石をやりなさい。

●資源が足りない●

銅も鋼も無いッ!

●ぞうさん●

上々颱風ライブより後藤まさる(パーカッション)の「ぞうさん」の唄。
♪ぞうさん ぞうさん インドは多いよね。
 でもね かあさんは アウトドア。

●孤独な学問●

ロンリー学。

●死に方 (1)●

安楽死
 安楽椅子が前後にゆっくりロールする椅子であることから、
 前後にゆっくりロールする死に方のこと。
 大変な違和感を感じるらしいのだが、本人はすでに死んでいるので詳しいことは聞き出せない。

●死に方 (2)●

仮死
 仮に死ぬこと。人生やり直すときにいったん死んだことにすること。
 イメージチェンジのために行われる。葬儀まで行う場合もあるが、
 棺の中で居眠りしていて生きたまま燃やされる事故が希に発生する。
 大変な違和感があるらしい(そりゃそうだろう)が、本人が前世のこと
 は話したがらないので詳しいことは分からない。

●死に方 (3)●

過労死
 過労が死ぬこと。果報は寝て待つが、過労は死んで待つ。
 大変な違和感があるらしいが、疲れきっているので詳しい話は聞き出せない。
 労働には値段があるが、疲労には値段がないらしい。
 不思議なことである。
 ただなんだからどんどんため込んじまえ。
 こういうことを言っているから死んでしまうのである。

●死に方 (4)●

老衰
 きんさんぎんさんがインタビューで
 「貯金をしている、老後のために」
 と言っていた。

●死に方 (5)●

検死
 検査で死ぬこと。転じて殺人的な検査のこと。
 立派な大学を出て、医師や弁護士や役人や大企業のサラリーマンになる
 などという人生設計をしている者がある日突然「不適格」を言い渡されると
 ショック死したり、自殺したりすることがある。
 老人の体力測定は慎重を要する。

●死に方 (6)●

殉職
 ライターが仕事しながら死んでも誰も誉めてくれない。
 笑われるだけである。
       死ぬときゃ酒で死にてえよな。

●死に方 (7)●

殉死
 中国、戦国末の思想家(←言うと思ったでしょ)。
 猛死の「性欲説」に対して「食欲説」を唱えた。
 個人の能力主義を否定、世襲制・血縁制も否定。とにかく否定した。
 雑誌のチャート式 性格診断で「勉強好きな学者」と診断されたため、
 その違和感の大きさに耐えきれずに死んだともいわれる。

●死に方 (8)●

セールスマンの死
 劇作家アーサー・ミラーの考案した死に方。手塚治虫の漫画「七色うんこ」
 でも取り上げられたことがある。
 巡回セールスマン問題(Trabering Sslesman Problem)とは、n個の場所を
 一度だけすべて訪れて、その移動距離が最短となる経路を求める問題である。
 巡回セールスマン問題の解法には、やきなまし法、ニューラルネットワーク、
 遺伝的アルゴリズム等を利用した方法が知られている。
 また、1000ヶ所以上の場所について高速に解を求めるアルゴリズムは
 まだ考えられていない。
 そんなこと考えているうちにセールスマンをくびになってしまうからである。
 そうして首をつった元セールスマンは数知れない。

●死に方 (9)●

死に至る病
 生きていること。
 門松や冥途の旅の一里塚 めでたくもありめでたくもなし

● 死に方 (10)●

死海
 海は死にますか。

●死に方 (11)●

死火山
 山は死にますか。

●出張の孤独●

 友達から聞いた話である。
 彼は大学病院につとめる検査技師である。10人以上の医師や助手たちと共に、学会のため出張することになった。直前になって次々とキャンセルが入り、とうとう出張するのは彼一人になってしまった。ところが、旅館の部屋の予約はそのままだったため、宴会場のような広い部屋の真ん中に、一組だけ布団を敷いて寝たと言う。
 大変に心細かったそうである。

●斎藤由貴●

女優としての斎藤由貴の欠点は、役柄より本人の方が面白いことだ。

●名作アニメ劇場●

「長靴へ吐いた猫」
翌日雨だったので、長靴をはこうとすると…。

●漁業協定が決裂したら●

これがほんとの裂けます漁業。

●格言●

可愛さ余って、肉まん百個。
肉まん百個、世にはばかる。
罪を肉まん、人も肉まん。
肉まんバチ(←格言じゃないぞ)。

●エジプトのことわざ●

溺れる者はファラオもつかむ。

●日本中探せば●

「麻原しょう子」という名前の女性は何人かいると思うのだが、子供だったらいじめられてるだろうなあ。例の歌を歌ってはやし立てられたり「飛んでみろ」とか言われたりして。本人にしてみれば、こんな不条理な話は無い。

●別れる理由●

「俺のどこが気に入らないんだ」
「夜中に一人でサッチモの物真似を練習するから…」
「レイ・チャールズにすればいいのか」
「そういう問題じゃないのよ」
「分かった、スティービー・ワンダーにするから。待ってくれ!」
        いい奴だと思うんだけどなあ…。

●デートリッヒの足で●

首絞められれば、納得して死ねるかもしれない。

●ボサノバは●

越すに越されぬマシュケ灘。

●ちょっと似てるシリーズ●

ブルースとブルー入はちょっと似てる。て言うか、位相幾何学的には同じ。

●伝聞三題●

 上岡竜太郎氏によれば、松方弘樹氏はかつらだそうです。
「私は見ましたもん。こうやって、羽二重までして」
「そりゃ時代劇でしょう」
 ガッツ石松氏が初めて時代劇に出演した時、
楽屋で床山さんにかつらを着けてもらいながら。
「昔の人は大変だなあ、毎日こんなことして」
 具志堅ようこう氏が世界チャンピオンになったとき、インタビューに答えて。
「具志堅さんのうちの家紋は、何ですか」
「コンクリートですね」

『秘密集会』

●水戸黄門漫遊記●

 デオキシリボかくさん、があって、デオキシリボすけさん、が無いのはなぜだ。
「また妙なことを」
 いや、俺ミトコンドリアというのは、黄門様だと思うのよ。
「水戸だから?」
 そう。
「馬鹿ですねえ。角さんの名前は、角之進でしたっけ」
 あでのしん、という人もいるだろ。
「ATP(アデノシン三燐酸)のことですか」
 風車の矢七の本名はあでのしんだと思うな俺。
「どうしてですか」
 クレプス回路が付き物だろ。
「くるくる回るから?」
 そう。あれが風車。
「馬鹿」
        バルトリン泉では由美かおるが温泉につかっている。

●死に方 番外●

 伊丹十三、コードレスバンジージャンプしちゃったねえ。
「遺書が公表されてましたね」
 あれが本当なら、ずいぶんつまらない理由で死んだものだ。
「まあ、人によって重要な問題は違いますから」
 伊丹の痛みが分からない。なんちゃって。わははははははははははははははははははははははははははは。
「馬鹿」
           御冥福をお祈りいたします。

●角界を引退した小錦の意外な転職●

「小錦できない仕事多いでしょうね」
 とりあえず、狭い場所に入ることはできない。タクシーの運転手は無理だな。
「でも、大変なのは乗る時と降りる時だけだから」
 タクシーの運転手でも、乗り降りすることは多いだろう。
「ああそうか、食事の時とか」
 トイレとか。
「深夜タクシーとか、トイレどうしてるんでしょうね」
 実は運転席の下におまるが隠してある。
「シートをカパッと外すと…いきなり地面」
 昔の国鉄の糞尿撒き散らしじゃないんだから。だいたいそれじゃあ、車止めて立ち小便しても同じだ。
「いや、タクシーだけに流して走る」
 あ、うまい。小錦の占い師はどうかな。
「ちょっと神秘的な目をしてますよね」
 身体はもっと神秘的だ。古代ハワイの神々に祈る。
「気象予報士とか」
 元力士だけに当たりが重要。
「サイボーグ化するのはどうです」
 なんだそりゃ。
「戦車に変形したり」
 合体して巨大ロボットになったり。
「誰と合体するんです?」
 マイク・タイソンとか。
「国連平和維持軍として内乱地帯へ派遣される」
 そこへ使徒と呼ばれるなぞの敵が現れて…。
「それ盗作」

●日の丸飛行隊●

 スキーのジャンプって、身体が平べったい方が有利なのかなあ。
「ムササビじゃないんだから。むしろせむしの人だと揚力が発生するんじゃないんですか」
 科学的だな。ノートルダムスタイルと名付けよう。

●( )内を埋めて文章を完成しなさい●

お題:世界は(  )人類はみな(  )。

 世界は便所人類はみなうんち。
「地球が排泄してるんですね。でも、大便というのは食べ物からエネルギーや栄養を吸収してエントロピーが高くなったものでしょう。生物は単純なものから複雑なものへ進化してエントロピーが低くなっているわけだから、人類がうんちということはない」
 でも森林を破壊して砂漠化させたり、化石燃料を燃焼させて熱と二酸化炭素を排出したりしている。
「ああ、うんちそのものじゃなくて、うんち製造機。今、目一杯きばってるところなんですね」
 排泄が終わったらどうするんだろうね。
「水で流す」
 わははははは。森林がなくなって土地の保水力がなくなるから大洪水が起こるんだな。方舟伝説水洗トイレ説。

 世界はシナトラ人類はみな一家。
「シナトラ一家。『世界は次郎長』の方がいいですね」
 人類みなやくざだ。
「かたぎがいなくちゃやくざは成立しないでしょう」
 かたぎは自然環境。
「まあ、確かにそれにたかって生きてるようなもんですけど」

「世界はディズニーランドっていうのはどうですか」
 人類はなんだ、来園者か。
「どこまでも果てしなく続くディズニーランドをさまよう人々」
 楽園のような悪夢のような。
「生まれてから一度もディズニーランドを出たことがない人間の世界観というのはどんなもんでしょうねえ」
 自然現象はすべてアトラクション。いつまでたっても何も起こらないと、故障かな、と思ったり。
「ミッキーもドナルドもいない世界なんて想像もできない」
 お母さん、シンデラ城はどこ?
「ディズニーランドにないのは『死』ですね」
 なんでもあるけど墓場はないよな。

「世界はたまご人類はひよこの細胞」
 やがて孵化する時のために細胞を増やしてるわけね。どんな鳥が生まれるんだ。
「火の鳥」
 手塚治虫も死んだね。

 人生は舞台だっていう言い方もあるよな。
「世界はステージ人類はみなバービーボーイズ時代の杏子」
 わはははははははははははははは。なんだそれは。わははははははははははは。

「世界は低予算人類はみな倹約」
 あ、面白い。ぜいたくは敵だ。
「欲しがりません勝つまでは」
 八紘一宇。大東亜共栄圏。
「何と戦ってるんです」
 ハラキリジャップ。リメンバーパールハーバー。
「よく分かりません」
 ノーモアヒロシマ。
「ますます分からない。連敗中の巨人じゃないんだから」
 セックスドラッグロックンロール。ラブアンドピィイイイイイイイイス!
「だめだこりゃ」

『インモラル物語』

●開店早々●

こんなことを言うのはなんなんだが、何が面白くて何が面白くないのか分からなくなってきた。開店以来四六時中ジョークのことばかり根を詰めて考え続けたので、感覚がおかしくなってきたらしい。例えば、

 低 能 陛 下

という駄洒落を思い付いたのだが、自分で面白いんだか面白くないんだかさっぱり分からない。
 仕方が無いのでお手紙書いた「殺気の手紙の御用事なあに」。
 違った。仕方が無いので今日見てきた上々颱風のライブの話をする。上々颱風というのは、現在急速に数を減らしている典型的なB型あるいはバカにされるのが死ぬほど嫌いな軍人のことである。嘘です。本当は香港の都市伝説に登場する妖怪の名前です。
 で、そのライブだが、今回は無電気(ノンエレキテル)と称して電気を使わない。楽器はすべてアコースティック。ここまではよくあるアンプラグド。さらにマイクもスピーカーも使わない。これもクラシックなら普通。さらに照明が蝋燭。何もそこまでやらんでも、と思うのだが、本人たちはこうしないと気がすまないらしく、このスタイルのライブをしばしば行う。蝋燭ショーとも呼ばれる。閉鎖される前の東大駒場寮のお風呂場とか、公園のバーベキューハウスとか、妙なところでやる。今回は、藤沢のお寺、遊行寺の本堂で行われた。雰囲気は面白いが寒い。
 ライブの前に、ぼんさんの講話と読経が行われた。読経は数人のぼんさんによって読まれるもので、予想していたことだが私は完全に音楽として聞いた。(部分的には面白いが全体としては単調だな。この単調さの中にミニマルミュージックのような「全体的な微妙な変化から来るグルーヴ感」のようなものがあるのかもしれない。しかしそれは、ポピュラーミュージックのタイムスケールでは理解しえないだろう。それが分かるためには何度か聞くことが必要なのかもしれない。声にはさすがに心地良い力強さがある)読経を聞きながらそんなことを考えた。
 単調な繰り返しの中の微妙な変化から来るグルーヴ感とか、タイムスケールとかいったところからジョークのアナロジーへ話題を持っていこうとしたのだが、何も思い付かない。脳のシナプスがすべてアルコールで洗い流されてしまったらしい。哀号(T_T)。
 ライブ自体はいつもどおり大変面白いものであった。
 観客の私としては、退屈した子供の叫び声など(上々颱風のライブには家族連れが多い)のノイズとどう付き合うかという課題を残した。屋外のライブではノイズが良い感じの心地好さとなる場合も多いが、今回は無電気の緊張感を削ぐ方向に作用したように思われる。俺が気に入らないからといって子供をつまみ出すわけにはいかないので、こっちの気の持ちようで何とかするしかない。
  あ、そうそう、上々颱風は「かゆいところにてがとどかない」と読みます。

●「じゃまーる」などで●

友達募集している人がいますよね。恋人探しならともかく、身近な人と友達になれないのに、広告で友達ができると思っている発想が少し変です。
「キライニナラナイデクダサイ」という見出しを見たときには、背筋を冷たいものが走りぬけた。
 皆様、じゃまーる、インターネットなどで変な個人広告を見つけたら報告してください。

 「うちの猫いつのまにか妊娠しててさあ、子供産まれちゃったんだけど、誰かもらってくれないかなあ」
 じゃまーるとかに広告出せば?
 「あの雑誌に乗ってるのは、アメショーとかヒマラヤンとかばっかりじゃん。うちのは雑種で、茶色と黒のぶちで、尻尾の先が鍵型に曲がっていて、あまつさえ毛並みが悪い」
 わかんないよ、そういうのが欲しかったんだ!って言う人がいるかもしれない。
「おらん、おらん」

●古代オリエントのことわざ●

 メソポタミアで発掘された粘土板の楔型文字を解読したところ、こんなことわざがあったそうです。
「ビールを飲みすぎるものは、水ばかり飲むことになる」
  三〇〇〇年以上もおんなじことやってるんだなあ。

『かなり重症』

最近発見した家頁
nA Ma COlonyイメージの迷路

◆編集後記◆

 ここに掲載した文章は、パソコン通信ASAHIネットにおいて私が書き散らした文章、主に会議室「滑稽堂本舗」の開設〜1998年3月までを編集したものです。私の脳味噌を刺激し続けてくれた「滑稽堂本舗」参加者の皆様に感謝いたします。
 また『彼が目覚める時』は、やはりASAHIネットの会議室「創作空間・天樹の森/フィクション連載」において連載中の作品です。法螺話ですが、笑いを目指したものではないので、笑いたい人は飛ばしてください。
 リンクがひとつしかなくて申し訳ない。次回はもっと何とかしたいと思います。皆様の情報をお待ちしております。

◆次号予告◆

1998年7月上旬発行予定。別に楽しみにせんでもよい。

別冊付録『彼が目覚める時』1
『季刊カステラ・1998年夏の号』
『カブレ者』目次へ