夕張の高松、社光地区移転問題

夕張の高松、社光地区移転問題


先日ニュースステーションで夕張の高松、社光地区の移転問題をやっていた。 内容は夕張市が高松、社光地区の旧炭鉱住宅を取り壊し、 そこの住人を半強制的に新築する市営住宅に移住させることを計画している。 しかし住人は今の住宅にできれば住み続けたいとの想いを抱いている。 そんな内容だった。

夕張に炭鉱がある時代にはほとんどの土地が炭鉱経営会社の所有でありそれらの土地の上に炭鉱住宅が建てられた。 その後炭鉱の衰退とともに交通に不便な炭鉱住宅は順次取り壊されてきた。 現在残っているのはそのような過程を経て残ったものである。 人は同じ市内でも昔から住んできた集落に愛着を持つものである。 だから集落ごとに最も利便性のすぐれた炭鉱住宅が現在も残っている。 高松、社光地区の場合も同様で最も市街地に近い住宅が現在も残っている。 しかしながら住宅自体は老朽化が著しく、また利便性が良いとはいっても石炭歴史の村で他の地区とは空間的に寸断されていて他の地区と比べると不便この上ない。 夕張市が他の地区に住民に移転してもらった方が住民にとってもまたインフラを提供する市にとってもいいのではないかと考えるのも納得がいく。

また夕張において土地の所有は炭鉱繁栄の時は炭鉱経営会社の所有、そしてそれらの土地が炭鉱衰退ととも大半が公の夕張市の所有に変化してきた。 個人が土地を所有することがあまり一般的にはなりえなかった地域なのである。 ゆえに個人の意向はあまり住宅に関しては入りにくい。

しかしながら新しい住宅が今まで建ててきた高層住宅をまた造るというのも芸がないのではないだろうか。 人口減少はこれからも続くことが想定される。 そんな中、山に囲まれたこの地域にまた高層住宅を建て、そこに高齢者が入居していくのは納得がいかない感じもする。 低層の住宅を余裕のある土地に建設していくことが今後は求められるのではないだろうか。 高齢者の住居移転は多大な負担をもたらす。 その負担を少しでも軽減する新たな住宅施策が今求められているのではないだろうか。

夕張市をはじめとする旧産炭地域は行政施策が最も難しい地域ではないだろうか。 限られた財源、続く人口減少、インフラの老朽化などあげればきりがない。 そんな状況下いかに未来を描いていくのか新たなる施策を期待したい。


北海道旅情報巻頭  3-1.炭鉱を旅する