人口に翻弄された町、羽幌炭鉱


■羽幌炭鉱

日本海に面した町羽幌のちょっと山間にも炭鉱がありました。 柱だけ残った建物、暗い不気味な口をあける選炭場、羽幌鉱業所の看板がむなしく残っています。 築別には廃アパート群も静かに並んでいます。 羽幌炭鉱の資料は炭鉱運営会社が倒産という結末を迎えたため限られたものしかないのですが、それを調べてみますとこのアパートは廃鉱になる直前にできた建物だとか。 そのため人が実際に住んだかは疑問があるといいます。またその突然の倒産劇は意図的だったとの噂もあるのですがその時閉山になっていなくとも遅からずその日はやってくることになったでしょう。

すぐ近くに学校跡を利用した施設、緑の村があったのですがそれさえも最近閉鎖されてしまいました。 緑の村には炭鉱の資料室がありましたが、羽幌町郷土資料館にその資料は移設されました。 雑然と並べられただけですが数は結構あります。

羽幌はかつて市になる可能性もあった町でした。 市になる規定の人口3万人に羽幌炭鉱の繁栄とともにかなり近づいたのです。 しかしながらわずかに達しないまま国勢調査が行われることになったのです。 市になることをめざした町は架空の集落をつくり人口を上乗せを図りました。 しかしながらその事実はすぐに明らかになり、羽幌が市になる道は閉ざされたのです。



■炭鉱住宅跡

築別に残る炭鉱住宅跡です。 再利用が模索されたため保存されましたが、今では廃虚となってしまいました。 この近くにあった病院などは取り壊されました。



■草に埋もれる消防庁舎

炭鉱住宅のすぐ脇にあったコンクリートの遺構です。 緑が廃墟になんとなく溶け込んでいい感じでした。冬期の除雪の基地として前の広場は利用されているようです。



■ホッパー跡

羽幌鉱業所の看板が掲げられているホッパーは草に埋もれながらも静かに時を刻んでいました。 コンクリートの巨大な施設は取り壊されない限りその地に炭鉱があった事実を後世に伝えます。



■遠くに望む巨大な遺構




■太陽小学校跡


羽幌炭鉱にあった小学校。閉山後も緑の村として利用されてきた施設でしたが現在は閉鎖されています。



■野球場跡




北海道旅情報巻頭  3-1.炭鉱町を旅する
人口に翻弄された町、羽幌炭鉱