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スイスのアルバム

ミューレン編

 ミューレンは、スイスの他のどんな村や町よりも好きな所です。雨が降っても風が吹いても、もちろん晴れればなお言うことなしですが、静かで、心を落ち着かせ、安らぎを与えてくれるところです。
 おそらく、ここほど静寂が豊かな表情を持ち、心を落ち着かせる雰囲気、空気感を持っているところはないと思います。
 華やかな都会では、決して味わえない全てをこの村の夕暮れの大気が与えてくれます。
 ベルナーオーバーラントでの一泊(だけとは言いたくないのですが)は、お薦めしたいところです。
 ラウターブルンネンからケーブルカーで一気にグリュッチュアルプまで登り、そこから最高速度30Kmののんびりした高原列車で20分弱。
 ほとんど登ったり下ったりはしないこの路線の隣には、ミューレンまでのハイキング・コースにもなっています。時々通る列車を眺めながら、ベルナー三山からラウターブルンネン・ブライトホルンに至る名山の連なりを愛でて歩くコースです。
 谷を隔てて、ヴェンゲンの村が、そして上り下りするヴェンゲン・アルプ鉄道の黄色い車体を見ることができます。
 疲れれたならば、途中にレストランがあるので、のんびり歩くといいでしょう。
 夕暮れ時の静けさといったら、それは東京などの都会からすれば信じられないものです。毎年、帰り続けていますが、今年は行けず、残念な思いにかられています。
 上の写真はラウターブルンネン・ブライトホルンという山です。この向こうには、レッチェンタール・ブライトホルンというよく似た山があり、標高もそう違わないのも面白いですね。
 次にミューレンの村の中の写真を紹介します。
 夕暮れ時は、感動するほどの静寂に沈むこの村も、朝はずいぶん早起きです。右の花を飾った家はお肉屋さんです。朝早く、嫌がる子牛を連れてくるのに出会ったりします。悲しいことなのかも知れませんが、雌牛以外はほとんど飼うことはないのです。

 下の写真は、定宿にしているベルビュー・クリスタルです。いい感じのマダムと、スキー選手だったマスターが二人でやっています。七年前飛び込みで入って以来のお付き合いで、オリエントの彼方から来た「変な奴」ということで憶えてもらえたのかなって思っていますが…。
 向こうの岩肌は、ユングフラウの一部です。ここから見ると、優雅で華麗なユングフラウも意外と険しい表情をもっていることに気づかされます。
 右の写真はホテルのベランダからの眺めです。
 鉄道駅から村を横切り、反対側に出ると、シルトホルンへ登るロープウェイ駅です。
 ぜひ、駅を入った左手のガラス・ケースの中を見て下さい。アイガー北壁直登の日本隊の写真や装備品の一部が飾ってあります。ここはスイスです。ゲマインデの強力な意志で全てが決定していく直接民主主義の国です。とても保守的で、犬養道子女史の本などを読むと、難しい土地柄なのだろうなぁと思います。グリンデルワルドの中島氏の本などでも、その観光客にとって見えている表面的な世界とは違った難しい側面を、理解できます。 

 その上での、あのアイガーでの日本人登山隊の快挙は、ここに展示されるように、とてつもなく大きいものだったのです。
 ジャック・オルセンの「地獄への登攀」を読むと、グリンデルワルドではなく、ここミューレンになったことの経緯の複雑さを想像してしまいます。いえこれは私のたんなる想像ですが。
 ともかく、ミューレンのロープウェイ駅にくると少し(何の関係もない私も)誇らしいような気持ちになります。
 ここミューレンからシルトホルンに登れば、名山ブリュムリスアルプが最も美しい姿で望めます。
 回転レストランでコーヒーでも飲みながら、360度のパノラマをゆっくり味わいましょう。
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