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スイスのアルバム

ルツェルン〜トリブシェン編

 ルツェルンの駅から右に折れて、湖畔の道をずぅーと歩いて行くと、ヨット・ハーバーがあり、そこから木々の茂る道を少し登って行くと、ワーグナーの住んでいたトリブシェンの岬です。
 四森林州湖を行く小さな船で行くことも出来ますが便が少ない為、少々不便です。
 写真右はその船ですが、船着き場というか、乗り場がはずれにあるので、少々歩きます。それに、乗っている時間は少しですが、大きな船が立ち寄らない所を通るので、少し乗り慣れて来た身には、随分新鮮に思えました。

 あとは、バスで行く方法がありますが、この方法でも少し歩きます。したがって、船で行くのが一番近くに着けて、迷うこと無く行ける方法なのですが、便数の問題ですね。

 白亜の館の前は広い芝生で、素晴らしいロケーションにあります。(写真左)

 ここで、ワーグナーが住んでいたことは、音楽紀行の方でも書いていますので、是非そちらの方も参照して下さい。> ルツェルンとジークフリート牧歌

 ジークフリート牧歌とワーグナーの妻コジマの、感動的な物語の舞台としてだけでなく、ワーグナーの最も幸福で、創作意欲の充実した時代の舞台として、これほどうってつけの場所は無いと思われます。

 今は、ワーグナー記念館として一階が、そして二階が古楽器の博物館として公開されていますが、ここがルツェルン音楽祭の発祥の地となったことも忘れてはならないことではないでしょうか?

 ルツェルンの名誉市民であったアルトゥーロ・トスカニーニが一九三八年八月二十五日に、この旧ワーグナー邸の前の湖側の公演でジークフリート牧歌をはじめ、モーツァルトやベートーヴェン、ロッシーニなどの作品が演奏されたのが音楽祭の起源であります。

 よく晴れた日の午後のこの邸宅の前は、木漏れ日の揺れる静かな広場であります。

 邸宅に入ると、物語の舞台となった階段があり、受付で入場料を払って(ルツェルンで泊まっているのであれば必ずゲスト・カードを持ってくること!割引になります)入ると、コジマにワーグナー、そしてリスト、ヴォルツォーゲン(バイロイト新聞の編集発行者)の有名な絵が架かっています。
 ガラス・ケースの中には、多くの自筆譜が展示されていて、あれほどの大作、分厚い総譜を書いたワーグナーが、実に几帳面にきれいに譜面を書いていることに驚きます。
 エラールのピアノが置かれているサロン(写真右)にある多くの自筆譜の中にジークフリート牧歌の楽譜もあります。 
 ジークフリート牧歌が演奏された階段は、狭いもので、十七名もの奏者と指揮をしたワーグナーがどうやってこの階段に陣取ったのか、不思議に思えるほどです。
 この階段で演奏された音楽が、妻コジマをどれほど喜ばせたことか、想像するだけでも幸福な気分にさせてくれます。二階の入り口に立って、恭しく楽譜を手渡されたコジマと、それを見守る楽員たちの心情を想像するだけでも楽しいものです。
 一八七〇年十二月二十五日のクリスマスの朝、妻コジマの誕生日の朝、ここであの幸福な音楽は鳴り響いたのであります。
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