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スイスのアルバム

フリブール編/その1

 フリブールは坂の町です。と言っても駅のあたりでは全く実感がありません。デ・ザルプ通りを少しずつ下って、ケーブルカーの乗り場にやって来た人たちはそこに広がる光景に「あっ!」と驚くことでしょう。
 その湾曲したサリーヌ川の浸食の上に築かれた「高層建築群」に、私も目を見張りました。一九九二年のことです。小雨降る中で、市役所から聖ニコラ大聖堂の特徴的な塔と隙間無く立ち並ぶ建物が、どこかベルンにも似ているようで、更に独特の雰囲気をも併せ持つ町であります。この高低差をどう味わうかが、この町をどう歩くかのポイントとなります。ガイド・ブックには歩き方が書かれていますが、私は最初にまずケーブルで下ってみました。
 真ん中にリッゲンバッハ式のラックレールがあるケーブルカーです。動力源に水を使っているとのことでしたが、よくわかりません。でも小さなこのケーブルカーにはとても愛着を感じてしまいます。
 一時休止していて、ルガーノのルイニ広場にあったケーブルカーのように廃線になってしまうのではと、ヤキモキしましたが、どうも最近復活したようですが、行ってないのでわかりません。

 写真は始めてフリブールに行った一九九二年当時のものです。ケーブルのとなりに長い屋根付きの階段がありそこから撮ったものです。右は三回目の一九九五年の様子です。

 そうそう、ザンクト・ガレンやチューリッヒにもこんなケーブルカーがありましたっけ。

 さて、下った目的は、いかにフリブールを味わうかでした。それはこの高低差を下から眺めることで、その高さを実感してみようと思ったのでした。

 少し歩き始めると、その高低差が実感を持って迫ってきました。見上げる彼方に聖ニコラ大聖堂の塔や市役所の時計塔が霞んで見えていました。 サン・ジャン橋のたもとからは、その見事な「高層建築群」が実に良い角度で味わえます。 聳える聖ニコラ大聖堂と、隙間無く立ち並ぶ家々は、ベルンのそれとも違う独特の雰囲気を持っています。ベルンの方が整然としていて、計画的で、実に調和がとれているのに対して、フリブールのは建物の高さも少々不揃いで、寄せ集めたような、全く違うものではありますがかつての香港のような、不思議な町並みであります。

 川を渡って、対岸の町に入ると、一転して整然と、そして広い広い空間がそこにあります。人通りも少なくなって、寂しげな風景ではありますが。
 橋の向こうとこちらでこんなに雰囲気が違うのも、とても面白いことではないでしょうか?橋を渡るまでが、フランス語圏で橋を渡ったらドイツ語圏というのは間違いだとは思いますが、うっかり信じてしまいそうなくらい、世界が変わってしまいます。
 私は、このわけの分からなさがフリブールの魅力ではないかと思っています。始めて訪ねて以来七年、ずっと通過しないで、列車途中下車して、この光景を眺めるのは、スイスに行く時の楽しみでもあるのです。
 さて、これくらいにして、戻って市役所広場の方に行ってみましょうか。ケーブルカーで?それとも歩いて?
 サン・ジャン橋から右に折れて、ぐんぐん登るのですが、市役所の時計塔と聖ニコラ大聖堂の塔が微妙に角度が変化してなかなかの味わいがあります。
 途中でしたか、キリスト受難の像が祠に飾られていました。世の東西を問わず、よく似たものがあるなぁと、ちょっと日本が懐かしくなって一枚撮ってきました。 市役所前の広場に植わっている菩提樹の木は、一四七六年六月二二日、ムルテンでスイス軍がシャルル豪胆王のブルゴーニュの軍隊を破った日に植えられたそうです。市庁舎そのものは十六世紀のもので覆い付きのきれいな入り口は十七世紀のものということです。
 続きはフリブール編/その2でどうぞ。