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マニアック観光 <Maniac目次へ>
クーバ <Cuba>
シチリア王グリエルモ2世が建てた離宮の一つ。ノルマン期のアラブ建築の一つである。
管理事務所で入場料を払い、さっそく建物の方に入ろうとすると、職員のお姉さんに呼び止められる。隣の展示室の方を先に見てくれとおっしゃる。
彼女に付いて展示室の中に入ると、しきりに”コンピューター”を見て欲しいと言う。
何のことやらわからず、私の方は、発掘されたものと思われるアラブ風の柱に心を奪われ、立ち止まってずっと見ていた。
なかなか”コンピューター”に興味を示さない私に愛想をつかしたのか、このお姉さん、奥の方に一人で歩いて行って、自分でパソコンを操作し始めた。
ようやく展示品を一通り見て、パソコンのある奥の方に進んで行くと、またコンピューターをしきりに勧められた。促されて私がパソコンの前に座って操作を始めると、彼女は隣のパソコンに取り付いて、熱心に中を読んでいた。
このパソコンは、クーバの歴史、修復工事の経緯など、写真入りの豊富な資料が各国語で表示されるようになっていた。なかなかの力作である。
私がおもしろがってページを進んで行くようになると、案内のお姉さんは、安心したように管理事務所に戻って行った。
パソコンに収められた資料とソフトの制作には、大分気合いが入っていた感じだし、費用も大分かかったのだろう。しかし、クーバの知名度は低く、街の中心からも離れている。私の見学中、誰一人として見学者はやって来なかった。せっかくの力作を見てくれる人も少なかろう。事務所のお姉さんがしきりにお勧めになったわけだ。
展示室を出ると、またあのお姉さんが待ち受けていた。
全部案内してくれるのかと思いきや、どうぞと建物の方を示してくれただけだった。どうやら、強引なまでに”コンピューター”を客に見せるのが彼女の仕事になっているらしい。
さて、建物自体は、ほとんど廃墟同然。
建物の一部に、アラブ式の模様が施された部分が残されていて、ノルマン期の面影がほんの少しだけ感じられる。
かつてグリエルモ2世が使っていた頃は、人工池が周囲を取り囲んでいたそうだ。展示室の中央には、かつてのクーバの姿を再現した模型がある。この池に船などを浮かべ、グリエルモ王は別邸での暮らしを楽しんだようである。
最後に建物の周囲を一周してみたが、今となってはそんな人工池があったとは思えない普通の敷地。敷地には、やけに巨大なサボテンが生えていた。
アラブ風の廃墟と大サボテンの組み合わせ。
ここはヨーロッパなのか?
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