updated Sept. 7 1998
派遣110番によく寄せられる質問と回答例(FAQ)
【結論】
派遣労働者も労働組合に加入することができます。解雇された労働者も、団結権をもっていますので、労働組合に駆込みで加入して、その労働組合を通じて団体交渉を求めることができます。
団体交渉の相手方となる使用者は、派遣労働者の雇用や労働条件に支配的な影響力をもつ当事者です。通常、派遣労働者の場合には、派遣元との間に雇用関係がありますので、解雇の問題は派遣元と団体交渉することが考えられます。
しかし、派遣先からの委託打ち切りなどが解雇の原因であるなど、事実上、派遣先が解雇をもたらした重要な要因を与えているときには派遣先を相手方として団体交渉を求めることも可能です。
1998年、滋賀県・草津にある、全国に事業所を持つ人材派遣企業N社(本社・京都市)の滋賀事業所に勤務し、草津市内の大手電機メーカーに派遣されていた派遣労働者Aさん(45)が解雇通告されました。不況を理由にして、夜勤停止、昼勤移行の一方、賃金変更と人員削減の措置がとられることになったためです。
Aさんらは、一人でも加入できる「全日自労農林建設一般労働組合」に加入し、滋賀県労連の代表などとともにN社に、解雇予告通知書の撤回、会社都合による夜勤から昼勤への移行にともなう賃金低下は1割以内にとどめることなどを求めました。
その1ヵ月後、N社は「職場は変わるが勤務は継続する」として、解雇通告を撤回することになりました。
「労働組合に加入して要求書を提出したらすぐに問題が解決した。早い対応にとまどうくらいの思いがする。会社は、申しわけなかったと、あやまってくれた。その他の要求をどうしてくれるか見守りたい」(Aさんの話)ということです。
ご相談の事例も、また、このN社のAさんの場合もそうですが、現在の労働者派遣法では、工場の製造部門への労働者派遣は認められていません。請負(構内下請)の形式だと推測できますが、実際には正社員や直用社員とラインで混在して働いているときには、請負の要件を満たすことになりません。そうすると請負を偽装した「労働者供給事業」であると考えられます。
その場合には、供給元だけでなく、供給先にも罰則(労働者受供給罪)の適用がありますし、民事的には、供給先に直接の雇用責任を追及することが可能です。