派遣法改定について
派遣で働く者の立場からの声(1999.6−)


この6月30日、労働者派遣法が大幅に改定されてしまいました。
不況のなかで、派遣社員にとっては、ますます、厳しい状況が生まれようとしています。
なんとか、これをはねかえして、雇用と生活と権利を守りたいものです。
7月13日の集会を機会に派遣で働く皆さんの声をできるだけ集めて掲載していきたいと思います。
なお、発言者のご氏名、会社名などの固有名詞は掲載しません。
できるだけ多くの皆さんから派遣法改定についての意見をお寄せ下さい。
派遣110番(文責 脇田滋:MAH01517@nifty.ne.jp
 7月13日の集会、ご参加の皆さま ありがとうございました。
 主催者の予想を超える参加者があり、資料が足りなくなり、ご迷惑をおかけしました。
 多くの問題があって、短い時間にとても話し切れず、話したりない、物足りない思いをされた方も多かったと思います。
 それでも、社会保険、系列派遣、セクハラ、偽装請負、正社員の派遣会社への転籍問題、組合のありかたなど多様な話題がありました。
 改めて派遣労働をめぐる問題の広がりと深刻さを痛感しました。できれば、このような機会を近い将来また企画したいと思っております。
 当面、「派遣労働者の声」というページを作りました。集会に参加できなかった方、参加したが話すことができなかった方、どなたでも、110番のご相談のついでに、また、独自に、労働者派遣制度の問題点や労働者派遣法改定、また、日ごろ派遣で働いておられて感じておられることなどをメールでお知らせ下さい。
 継続して掲載していきたいと思います。
                              1999年7月13日 脇田滋

日付意見(一部または要旨)
1999/07/15
派遣社員
(求職中)
 集会の御案内をいただいておりましたが、お返事をせず、申し訳ありませんでした。
どのような話をされたのか、もしネット上で公開されるのであれば拝見させていただきたいと思います。また何かこのような機会があれば、ご連絡をいただきますようお願いいたします。
 3月末で5年半派遣として働いた仕事を解除となり、相談させていただいた者です。
 その後、就職活動を続けてはおりますが、今だに仕事に就けずにおります。失業手当も今月で切れるため、とりあえずアルバイトか派遣の仕事でも、とも思いますが、そうなると肝心の就職活動がしにくい状態になるため、どうしようかと思案している状態です。
 就職活動中に知ったのですが、派遣社員として働いていた期間をきちんとした職歴とみなさない会社もあるということも聞き、(実際、面接でそのようなことを言われたこともありました)
正社員と同じ仕事をしていた私の5年半は何だったのだろうと考えてしまいます。
1999/07/13
地域労組役員
 この間、失業者のアンケート活動で連日、私の所属する地域組合にも失業者(求職者)から電話相談があります。
 1 正当な理由がある場合の自己退職の際の「給付制限期間」の短縮、
 2 個別延長給付など。「あなたは仕事ができる条件がある」とことわられ、障害者と高齢者しか現実は難しくなっています。
 「職業安定法」「雇用保険法」なんて、正直最近になって勉強し始めておりますしだいです。おはずかしいかぎりですが。いずれにしても、本当にたいへんな時代への突入です。なかなか・・・・ですが、派遣問題もがんばります。
1999/07/13
派遣社員
(女性)
 やはり派遣社員という職業は、危険だとつくづく思います。
 いままで行った会社は、全て雑用付でとても専門職だとはいえませんし、企業も派遣会社もそれが当たり前だと思ってます。
 文句をいえば簡単にクビにする、派遣会社はダンピング競争する、の悪循環です。女性の職業に未来はあるのだろうか...不安です。
1999/07/13
派遣社員
 私は派遣制度自体が存在することが問題だと思います。
 派遣社員は一般社員へのリストラ圧力のガス抜きに使われていると思われる節がありますが、いかかがでしょうか?
 就職難を逆手にとって斡旋手数料をとるなど不届きせんばんです。
1999/7/11
派遣社員
(女性)
 法律の範囲内でも、こちらが申告しないと派遣営業何もしませんし、たとえ対処したとしても、その後の仕事の紹介がなくなる等、不利になることがよくわかりました。でも、気分的にはすっきりしました。ちなみに、その派遣会社とは、過去10ヶ月間お仕事をしてきたので、それまで、多少信頼関係、実績はあったと思っていました。
 その後、以前派遣されていた企業より指名で仕事があったりと、いくつかお仕事もしていますが、こういった状況では悲観的になってしまい、今後派遣という労働の形はあきらめようと思っています。事前の面接はあたりまえになっていますし、私の以前働いていたところでも、同じ派遣会社から複数候補を挙げて面接していたのですっかり不信感ができてしまいました。社会的に状況が悪いため、仕事をとろうと必死なのはわかりますが、モラルもなにもない状況を目の当たりにしています。
 私としては、お互いが納得した契約どおりに仕事がすすめば良いだけの話なのですが、基本的なことが守られていないことに非常にがっかりしております。派遣会社、派遣先企業の意識が変わらないと難しいようです。
 
1999/7/11
派遣社員
(女性)
 1)期間が1年を超過する時は、正式に雇用するように・・・
  双方とも正式雇用したく・されたくない時もあるのでは。
 理由はいろいろ。正式雇用になると、雇用される側の収入が下がるとか。
特に、年齢が高くなると相手先の決まりで、正社員には無理で、準社員としての採用になり収入が著しく減ることもあります。
 従事している仕事が、1年を超過するが、期間限定だとか。その後は、何の仕事を・・・。
 企業の中には、アルバイト待遇で雇って、組合や保険に加入させなくてもよいように、2ヶ月ごとに2週間のインターバルを設けているところもあるという話ですし。
 2)現在の派遣法では、事前面接は禁止されているのに、実際には堂々と行われている。
 企業側にしては、求人広告で募集するよりは、書類選考・面接人数・時間の点で派遣会社に依頼するほうが簡単・経費節約になるようです。さらに、数社間で競合させることにより、安く良い人材を得ることができる。
ということでしょうか。
 まるで、資材調達のように人材調達されているようです。厳重に処罰してほしいところです。
 3)派遣者の条件に、年齢制限を加えないで欲しいです。
 仕事の能力的条件ならともかく、年齢制限はなくすべきでは。
 本当は、派遣労働法違反になるのでは?
 普通の求人広告でも、年齢制限は無くして欲しいです。
 4)雇用保険のことも、短期間でも雇用保険に入れる派遣会社もあると聞きました。職業安定所の人の話では、契約終了の都度、退職という形になっていると、継続して所属とはみなされないということでした。納得できないです。
 今後、契約が1年以内ということになれば、よけいに雇用保険に加入できないのでは。短期間契約でも3ヶ月以上とかの契約ならば加入にしてほしいですね。
1999/7/11
元派遣社員
 近況ですが、最近やっと希望の職に正社員として就くことができ、現在は派遣はしておりません。友人は派遣として働いていますが、今はとても困った状況にあるようです。(そこは辞めると言っていました)どうあがいても「企業」という大きなものにはひとりでは勝てません。本当に派遣先に良い方がいないと、派遣労働者は地獄です。これから少しでも派遣労働者の雇用条件が良くなるよう、私もできるかぎりの事はしたいと思っています。
 今回法律も改正されたようですが、やはり「企業」側についた法律のように見うけられます。「机上の空論」とでも言うのでしょうか?
1999/7/6
派遣社員
 私はもっと派遣社員同志の情報ネットワークも必要だと思います。
 そう言った情報の中で、派遣会社を選ぶ事、派遣会社が淘汰される事が必要だと。
 勿論それは私たち派遣社員が意欲を持ち、自分のレベルアップを計る事も必要ですよね。当然義務を果たした上で。そして情報に振り回されない冷静さをもちつつ。確かにそういう情報は、小さいグループ上ではやり取りされていますが、もっと大きな場が有ればいいなと思います。あまり具体的な表現が出来かねますが。
1999/6/30
元派遣社員
(女性)
 派遣法の改正については、元派遣社員ということもあって、私も以前から関心がありました。今回の改正は、労働派遣者の権利を無視した改正であって、自民党政府の失業率対策のためともいっても過言ではないと思います。
 具体的には、例えば私が以前働いていた外資系銀行では、その6割が派遣社員です。実際、5年以上も派遣社員として働いている人も何人かいました。1年以上派遣社員として働いた場合社員として採用するということが現実には行われていないのです。さらに仕事の内容についても社員と同様かそれ以上のことを求められます。
 私の仕事は金融機関の取引をするコンピュータネットを担当していましたが、朝は他の課の仕事が始まる前に、前日の夜受けた取引内容を用意したり、夜は銀行の入出金が合ってからの仕事があったりで、深夜0時を過ぎることもよくありました。
 その仕事を3人でローテーションを組みながらやっていましたが、すべて派遣社員です。勿論課長や社員は最後まで残っていません。夜10時までは他の課の課長が当番で残っていますが、その時間を過ぎた場合、派遣社員が最後に銀行をでることも何度かありました。派遣社員だと終了時間が決められていて仕事の後は自分の時間がもてるメリットがあるよいう内容の記事を読みましたが、そういうことができる会社はわずかではないでしょうか。
 私の勤め先もそうでしたが、この不景気、会社のやり方が気に入らなければ辞めてもらう、行き着く先はこのような結論になってしまうのです。私が退職するときに、外国人の次長や支店長に意見を言いましたが、法律で労働者の権利をしっかり定義しない限り、何も改善されません。
 今回の改正では、職種の枠をさらに広げ雇用主には有利になりますが、労働者の権利は保障されていません。もっと明確に労働時間や内容を定義し、社員との区別や派遣会社の保障をしっかり法律で定めないと派遣社員の問題は更に増加すると思います。
1999/6/29
派遣社員
(女性)
 現在も派遣会社に登録していますが、現状は厳しく、仕事がない待機状態です。
 この間も新たな会社に登録しにいって思ったのですが、相変わらず派遣会社は、建前の善い面だけを並べて実際の派遣状況がどうなっているかの説明は一切ありませんでした。
 例えば、法律で禁止されている競合や事前面接の問題とか、その派遣会社は「あくまでも選択肢は派遣スタッフにあって、私どもはそのお手伝いをしているだけです。」といってますが、現状は選択の余地はなく、また仕事の条件が合わないと断れば、仕事の紹介がなくなるといった報復措置とも思われる反撃にあったりします。
 また、せっかくの有給が発生しても仕事の契約中は派遣先の迷惑になるので長期の休暇を取ってはいけない、また極力休みを取らないようにすると指導されましたが、実際、有給は仕事の契約中しか使用できず、契約が切れたら1ヶ月にはその権利は消滅してしまいます。これでは何のための有給か分かりません。
 確かに契約中に休みを取る事は派遣先の迷惑になると言う派遣会社の言い分はわかりますが、だったら、契約終了後に使用できるようにするとか、いろいろと対処の方法があると思います。
 私が言いたいのは、現在の派遣システムでもかなり不自由を強いられているにもかかわらず、今後法律の改正でさらに悪化するのではないかと言う事です。
 派遣社員を続けていく限りこの不安を抱えていかなければならないのでしょうか。


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