朝日新聞1996年10月15日 大阪市内版 総選挙の学生アルバイトについて、近畿では学生に注意を呼びかける大学(四年制)が出始め、法律団体の指摘を受けた一部の大学は十四日、キャンパスの掲示板などにさっそく注意文書を掲げた。公職選挙法では、選管に氏名を届けなければならないウグイス嬢や事務員以外のアルバイトは、買収されたとみなされるケースもあり、選挙違反に問われることもあるためだ。 府選管の説明では、ポスター張りなどの単純労働を除く選挙活動は無償でするのが原則。ただし、事務所が事前に氏名を届ければ、ウグイス嬢は日当一万五千円以内、その他の事務員は日当一万円以内で、一日計五十人まで、選挙期間中に計二百五十人までを雇うことができる。 一方、アルバイト事務員が規定以上の日当を受け取ったり、事務所がアルバイト事務員の氏名を届けずに報酬を払って法定ビラの配布などをさせたりした場合は、このアルバイト事務員に公選法上の「被買収」の罪の疑いが生じるという。 大学側にこうした指摘をしている民主法律協会(北区)によると、過去には、未成年の女性が違法と知らずに投票依頼のアルバイトをしたとして、罰金と公民権停止の有罪判決を受けた例もあるという。【注】 同志社女子大は十四日、京都市上京区と京都府田辺町のキャンパスの掲示板に注意書を掲げた。学生課は「我々職員も細かい規定を知らなかった。学生は選挙の仕事でも日当が高ければ応募したがるので、注意をうながしたい」と話している。また関西大学もこの日、吹田市の千里山キャンパスなどに注意文書を掲示した。 |