本1999/05

1999/05


☆☆★★★「考える日々」池田晶子/毎日新聞社
 池田晶子の言っていることは相変わらず変わっていないけれども、この本では特に「生と死」についての話題が多い。彼女が言うことには「善く生きる」ことのみが生きることの価値であるという。人間の一生は長さではなく、その質にあるなどということはよく言われることだし自明のことなのだけれども、それにしてはやはり世の中にはその理屈に合わないことが多すぎる。
 医療技術の進歩によって人の寿命が延びたこと、他人の臓器を使って自分の臓器の代わりにすることが出来るということが人の人生を豊かにすることとは何の関係もないという主張は自分もまったくその通りだと思う。

☆☆★★★「翔ぶがごとく」1巻
 明治維新後の日本の話しで、幕末に活躍した人達のその後の生き方を知れるということが面白い。続「竜馬がゆく」を読んでいるような感覚だ。作者の個人的感情がだいぶ入っているが、伊藤博文や大隈重信や板垣退助など、エラいことをやったと思われている人達の欠点を欠点としてはっきりと書いていて、彼らもその他と大差ない人間だということが感じられるというのは新鮮な感覚だ。教科書はその人間が行った実績や事実は書くけれども、その人はどういう人間であったかということまでは書かない。どこまでが真実でどこまでが司馬遼太郎の私見なのかはわからないけれども、明治の、今に名が残っている人々の生き方を知ることが出きるというのは面白い。

☆☆☆★★「カリフォルニア物語」1〜4巻吉田秋生/小学館文庫
 とても繊細な絵とストーリーの作品だけれども、とにかく暗い。あまりメリハリがあるわけでもなく話は展開してゆき、そのままのペースでエンディングに続いてゆく。終わり方が、今イチすっきりしなかった。

☆☆☆★★「魂を考える」池田晶子/法蔵館
 「自分」というものを考えた時、ずっと考えた先、どうしても自分を自分として存在させる自己とは不可分のもの、はやはり「魂」という言葉を持ってしてしか語ることが出来ないらしい。この本の内容は今までの書き方から一段書き方を進めているような感じで、よく理解できないところがあった。とは言っても、言っている内容そのものはやはり相変わらず同じことを言っている。

☆☆☆☆☆「11人いる!」萩尾望都/小学館文庫

☆☆☆☆☆「ちょっとした社内作法」成川豊彦/講談社+α
 今まで読んだ本の中で、最低最悪の部類の本だ。読んでためになるどころか、マイナスの影響を読者に及ぼすであろう点では稀に見る本だ。会社での礼儀や処世術めいたことを書いているけれども、どれもこれも小賢しい、まるで「こういうことをしてはいけない」ということを逆説的に訴えているようなことばかりだ。本気で書いているのだとしたらまともな神経じゃない。

☆☆☆☆★「アントレプレナーになろう」福島正伸/ダイヤモンド社

☆☆★★★「大人袋」4巻 中川いさみ/小学館

☆☆☆☆★「ギャラリーフェイク」16巻 細野不二彦/小学館

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