■実家に届いた架空請求葉書です。以下に文面を転載します。実際の葉書はこんなのです。いかにもソノ筋からの葉書のような物物しさですね。
債権譲渡通知書
当社は不良債権管理、回収業者大山興業と申します。
この度は、貴殿の利用された有料サイトの運営業者より利用料金支払い遅延に関する債権譲渡を当社が受任致しましたことを本状にて通知致します。
本件を当社が管理させていただくことに伴いまして、本状発送消印日より三日居ないにご連絡、お支払いいただけない場合には、即刻回収作業に着手させて頂く事を通告致します。
貴殿宅、勤務先への訪問回収を行わせて頂き、貴殿の対応如何により必要とあらば貴殿の身辺調査を探偵会社に依頼し、貴殿の家族、親族、友人等の方々からの回収を行わせて頂きます。
つきましては、回収作業着手にあたり発生致します調査費用、出張費用等は、本状請求金額とは別途ご請求させて頂き、貴殿におかれましては近日中に何らかの形で措置を取らせて頂きます。
以上の通告を十分にお含み置きの上、早急にお支払い頂きます様申し上げます。
本状と行き違いでご解決済みの場合にはあしからずご容赦下さい。一、依頼会社 即ハメ倶楽部 二、管理番号 せー〇八七二四 三、未払内容 有料サイト利用料金未納 四、請求金額 利用料金 四二、〇〇〇円 解約手数料 二〇、〇〇〇円 回収代行費用 五〇、〇〇〇円 事務手数料 二三、〇〇〇円 管理費用 二五、〇〇〇円 遅延利息 三八、五〇〇円 請求総額 一九八、五〇〇円 也
※先にも申し上げた通り、回収作業に着手致しますと本状請求金額の他に必要に応じた回収費用を別途ご請求させて頂きます。大山興業
〒一三六ー〇〇七一
東京都江東区亀戸一ー四二ー五一 平井ビル四階
連絡先 〇三ー五二七六ー一六八五
【受付時間/九時〜十八時】
■これは、実家の父に今年の三月に届いたモノです。
「アヤシイのが来たで!」と嬉しそう(?)に電話してくれた母上、余裕ですな(笑)
■まぁ、この手の詐欺葉書は、「 完 全 無 視 」の一言に尽きるわけですが、一応細かく突っ込んでおきましょうか。
ええと、まずは一番大事な基本から。
法務省の「債権回収会社と類似の名前をかたった業者による架空の債権の請求にご注意ください」に「法務大臣の許可した債権回収会社が,出会い系サイト,アダルトサイト,ツーショットダイヤルの利用料を請求することはありません」とあります。
もうイキナリNGですがな。
これで終わってしまうのも寂しいので、もう少しツッコミ続けます。
同じページにこんな記述があります。
「法務大臣が許可した債権回収会社でなければ,債権管理回収業を営むことができません」
それで、「法務大臣が許可した債権回収会社」については「債権管理回収業の営業を許可した株式会社一覧」に全会社が掲載されています。
これで類似の葉書が来ても、このリストを調べれば詐欺か詐欺じゃないかはっきりわかりますね。
あ、でも、少し知恵の回る詐欺師だと、正規の回収会社の名前を騙ることがあるかもしれません。そんな時は「債権管理回収業の営業を許可した株式会社一覧」に記載されている連絡先(恐らくは葉書の連絡先とは別の筈)に問い合わせたら万事OK。詐欺師の方は放置しておけばいいでしょう。
さて、今回の葉書の「大山興行」ですが、リストにあるかな〜?
って、それ以前に(株)がついていませんが。
「債権管理回収業に関する特別措置法」の第5条に「資本の額が5億円以上の株式会社でない者」は債権管理回収業社にはなれない、とあります。
やっぱりどこまでもNGですがな。
だいたい、債務者の許可無く無断で債権を譲渡したり譲渡されたりする奴に、信用なんて1mgもおけません。
民法467条によると「指名債権の譲渡は、譲渡人が之を債務者に通知し又は債務者が之を承諾する」場合でなければ、無効なのです。債権を譲渡しようってな大事は普通「内容証明」で出すもんだろうし。
「もしかしたら、アノ時うっかり有料サイトにアクセスしたかも」なんて心当たりがあったとしても、突然こんな通知が一方的に送られて来る時点で「払う必要無し!」です。
ここまで読んだら、まともな業者はこんな葉書なんて出さないってことがお判りかと思います。
でも。まともじゃない業者の方が、余計に怖い!
「身辺調査」だの、「家族、親族、友人等の方々からの回収」だの、本当にするんじゃないの?
それで、近所に有ること無いことビラ撒かれたり、「うらぁ、金返さんかぁ!」なんて来るんじゃないの?
そんなわけ絶対に無いです。
そんな違法行為のオンパレード、通報されれば即逮捕されるに決まってます。それぐらいは日本警察を信用してあげてください。
正当な債権者でも、上に挙げたようなことをすれば手が後ろにまわるのに、架空の債権を取り立てようってな詐欺師なんかは、存在だけでアウトです。警察に捕まりた〜い、なんて奇特な人でなければ、詐欺師がアナタの目の前にやってくることはありえません。
というわけで長々と書きましたが、結局のところこのテの請求は無視するに限るというわけなんですね。
■当サイトに寄せられた、架空請求ネタの記事の一覧は、「体験談総目次 不当請求・架空請求」にあります。ご参考にどうぞ。
また、架空請求ハガキの名称を並べてみました。「架空請求ハガキ考」でそのバカさ加減を堪能してくださいね。