オレオレ詐欺・交通事故篇

■ペンネーム「ぴっころ」さんからの投稿です。

 先日我が家にオレオレ詐欺(警察版)の電話がかかってきました。
 
「○○県警のものです。○○さんの奥さんですか。落ち着いて聞いてください。ご主人が交通事故にあわれました」
 
 ここで私はびっくり!
「怪我はどうなんですかっ!?」
「幸いかすり傷程度です。しかし、赤信号で止まっていた車にご主人が後ろからぶつかったので、相手の方がハンドルで少し怪我されて、さらに同乗の奥さんが妊娠8ヶ月で・・ご主人は過呼吸で話ができない状態、携帯電話は警察で預かっています・・」
 と、言葉巧みに連絡はとれないことを話し、被害者に交代。
 
「示談にしますので、警察の言うとおりにしてください」
 
 ・・このあたりから警察(と名乗る者)が、示談金を一気にしゃべりだす。まるで料金表でも読み上げるかのように、すらすらと。「なぜ警察が示談に入るの?」という思う余裕も与えないほどまくしたて、
「示談が成立しないと、免停5年ですよ」
 と、口調はだんだん脅しになってくる。そして最後は
 
「総額5百万ですが、今いくら用意できますか? 奥さんの携帯電話の番号を教えてください。ATMに行かれたら、そこで奥さんの携帯に電話して、振込先を知らせます。奥さんの携帯電話の番号を教えてください」
 
 と切羽詰まった感じで。
 
 そのあたりでおかしいなあ、と思い始めて、携帯電話の番号を調べるフリして電話を保留。
 ちょうど遊びにきてくれた友人に、話したら
「え! なんで警察が示談? 何それ? おかしいよ! ちゃんとダンナさんに連絡してごらん」
 と。
 
 そこで相手には
「今、気が動転して電話が見つからなくて自分の携帯電話の番号がわからないから、もう一度かけなおしてもらえますか?」
 と伝えると、丁寧な口調で
「はい、わかりました」
 と。一旦電話を切り、主人に連絡を取って、無事が確認できて、未遂に終わりました。
 
 臨場感ある効果音(まるで後ろにレッカー車でもいて、作業しているような音とか)とか、二人組で被害者役と(この男は少しおどおどしていた)警察役とを仕立て上げマニュアルでも読むかのような流暢な喋り方・・。お年寄りでなくてもだまされそうでした。後で冷静になって考えたら、おかしいことだらけなのですが。
 
 今でも思い出すたびにハラワタが煮えくりかえりそうです。子供の誘拐編とかもあるそうなので、みなさん、くれぐれもご注意ください。

■本当に大変でしたね。貴重な体験をありがとうございます。
以前、荒井やよさんにいただいた「オレオレ詐欺・息子の不始末篇」と供にオレオレ詐欺の具体的な事例として、きっと誰かの役に立つことでしょう。
 
 それにしても、色々と手が込んでいますなあ。
「赤信号で止まっていた車にご主人が後ろからぶつかった」  ← うわぁ、過失100%かよ。
「同乗の奥さんが妊娠8ヶ月で」  ← そして、さらにえげつない設定。
「示談が成立しないと、免停5年ですよ」  ← なのに、免停が脅し文句ですか? ああ、業務上過失傷害なんて出したら、ボロがでるからですか、そうですか。
「ATMに行かれたら、そこで奥さんの携帯に電話して、振込先を知らせます」  ← 通報されたら困る情報は、最後の最後に明らかにするんですね。小賢しい。
 
 レッカー移動の効果音、演劇用の効果音CDから使われていたりして。この分だと、冗談抜きで台詞合わせとか演技指導とかしていそうですね。嫌だなあ。
 この情熱を、他のところに使っておれば・・・。
 
■ダンナと二人で、この交通事故パターンに対する攻撃を色々考えてみました。
 
「ご主人が交通事故にあわれました」
「主人は免許を持っておりませんが」・・・自転車乗り設定
 
「ご主人が交通事故にあわれました」
「ええっ? 公道は走れない筈ですが」・・・仕事中の重機乗り設定
 
「ご主人が交通事故にあわれました」
「事故って、演習中にですか?」・・・仕事中の自衛隊員設定
 
「ご主人が交通事故にあわれました」
「主人が見つかったんですか!?」・・・失踪届け提出済み設定
 
 まぁ、うちのダンナは勤務中に車を運転することが100%無いので、こんな余裕がありますが、普通は「警察の者です」なんて電話があったら、とりあえず真面目に電話を受けますよね。詐欺のくせに(詐欺だからこそ?)よく考えてあるなあ。
 何か、他に楽しそうな切り返しを思いついた、もしくは実行した方、教えてくださいね。
 
■当サイトに寄せられた、オレオレ詐欺(振り込め詐欺)ネタの記事の一覧は、「体験談総目次 オレオレ詐欺(振り込め詐欺)」にあります。ご参考にどうぞ。

(2004.7.27)