Otoshibumi Craft Lab [Official]  電気の森 The Forest Of Electric + Electronic Technorogy [1999]

 

電気工事編 No.0005

合成樹脂管の種類

Ver.1.4 (Preview Version)  2000/01/19版

to Denko


 合成樹脂管は、合成樹脂(ビニル、ポリエチレンなど)を材料にした電線管です。このコンテンツでは、この合成樹脂管の分類を独自の視点で行うことにします。「独自の視点」でというのは、「電気設備技術基準とその解釈、内線規程、日本工業規格(JIS)、メーカーカタログ等の分類が様々な視点で行われているのを統合しよう」という理由からです。とは言っても、法とかけ離れた分類をしても混乱を招くだけで迷惑をおかけすることになりますので、できる限り「電気設備技術基準とその解釈」、「内線規程」、「日本工業規格(JIS)」に沿った形でまとめてみました。

 また、分類上、用語を変更したり、新たに作ったりしています。解説を参照して下さい。

■ 合成樹脂管を研究する上で用語がバラバラであることに気づきました。私は用語の定義は重要であると考えています。何を示すかわからない用語は非常に混乱を招き、また、誤解を生じます。この節は、私のコンテンツを読んでいただく際に、誤解を生じないようにするために作ったものです。偉い役人の方にお願いなのですが、用語を統一していただけないでしょうか。


maru_g 分類段階 (構造上の分類)

 この分類は、管の構造をもとに行っています。管に「可とう性があるか、ないか」という視点で分類しました。

写真.1 直管

 写真は、硬質ビニル電線管(VE管)です。VE管といえば、灰色の管が普通だと思うのですが、ベージュ色の管を載せてみました。


未来工業:「硬質ビニル電線管(J管)ベージュ色」
 左から、VE-36J4、VE-28J4、VE-22J4、VE-16J4、VE-14J4

  写真.2 可とう管

  可とう管といえば、CD管、PF管です。


  左: 松下電工:「パナフレキCD」  DM616-R
  右: 松下電工:「パナフレキ」    DM716N
  奥: 松下電工:「パナフレキエース」 DM316


■ 「可とう性」とは

 

■ 「直管」は、私(Otoshibumi)が作った造語です。ご注意下さい。「まっすぐな管」という意味です。

■ 「可とう管」は、メーカーカタログに使われています。「可とう性のある管」という意味です。 内線規定JEAC 8001-1995での「合成樹脂製可とう電線管」を意味しています。

 

maru_g 分類段階 (内線規定JEAC 8001-1995による分類:施設場所・施工方法による分類)

 この分類は、内線規程JEAC 8001-1995の分類を用いています。用語は、日本工業規格(JIS)、メーカーカタログなどをもとに行っています。

 法規上の解釈は、この分類で行うことができます。

写真.3 硬質ビニル電線管(VE管)

 VE管といえば、灰色の管が普通だと思うのですが、ベージュ色の管を載せてみました。中央付近で管が膨らんで見えると思うのですが、広角レンズを使っているからです。


未来工業:「硬質ビニル電線管(J管)ベージュ色」
 上から、VE-36J4、VE-28J4、VE-22J4、VE-16J4、VE-14J4

写真.4 コンクリート埋設専用電線管(CD管)

 オレンジ色の可とう管です。


  左: 松下電工:「パナフレキCD」  DM616-R
  右: 未来工業:「ミラフレキーCD」 MFCD-16

写真.5 合成樹脂製可とう電線管(PF管)

 PF管には、一重管と二重管があります。


  左: 松下電工:「パナフレキ」    DM716N
  右: 松下電工:「パナフレキエース」 DM316

■ 「硬質ビニル電線管(VE管)」は、内線規程JEAC 8001-1995の「合成樹脂製電線管」を意味しています。また、2つの用語は、内線規程JEAC 8001-1995において、同じ意味で扱われています。この用語は、日本工業規格(JIS)C 8430を用いることにしました。
 今後、「VE管」という表現を多く用います。「VE」は日本工業規格(JIS)で述べられている「記号」です。「VE」に「管」という文字を付け、他の管と同様な扱いをする私(Otoshibumi)の造語です。

■ 「コンクリート埋設専用電線管(CD管)」は、メーカーカタログで用いられている用語を他の用語に揃えた私(Otoshibumi)の造語です。ご注意下さい。日本工業規格(JIS)C 8430では、「合成樹脂製可とう電線管」に分類されています。内線規程JEAC 8001-1995では、単に「CD管」とあらわしています。
 「CD管」は、内線規程JEAC 8001-1995、日本工業規格(JIS)C 8430で用いられている用語です。

■ 「合成樹脂製可とう電線管(PF管)」は、内線規程JEAC 8001-1995の「合成樹脂製可とう管(CD管を除く)」を意味しています。この用語は、日本工業規格(JIS)C 8430で用いられている用語です。日本工業規格(JIS)C 8430では、「CD管」と「PF管」の両方を「合成樹脂製可とう電線管」と呼んでいます。内線規程JEAC 8001-1995では、「CD管」と「PF管」を分けて分類しています。私の作るコンテンツでもこれにならい、「PF管」だけを「合成樹脂製可とう電線管」と呼ぶことにします。
 
「PF管」は、内線規程JEAC 8001-1995、日本工業規格(JIS)C 8430で用いられている用語です。

■ この分類は、以下の内線規定をもとにしています。以後、この分類を用いることにします。

[内線規定JEAC 8001-1995] 400−2 用語 A

合成樹脂管とは、電気用品取締法の適用を受ける合成樹脂製電線管、合成樹脂製可とう管及びCD管をいう。

 

maru_g 分類段階 (日本工業規格(JIS)C 8430による分類:構造上の分類1)

 CD管、PF管の分類は、日本工業規格(JIS)C 8430をもとに行っています。VE管の分類は、電気設備技術基準・解釈第177条内線規程JEAC 8001-1995 415-3をもとに行っています。

■ 「硬質ビニル管の厚さは、2mm以上とすること。」が原則です。「厚さ2mm以上の管」が電気工事で使用する硬質ビニル管の「標準」と考えた方がよいでしょう。一方、VE管は、「厚さ2mm未満の管」もあります。この分類は、電気設備技術基準・解釈第177条内線規程JEAC 8001-1995 415-3をもとに行っています。法的な分類です。

■ 「厚さ2mm未満の管」は、存在するのでしょうか。ご存じの方、是非お知らせ下さい。この管の利用については、電気用品取締法が昭和61年3月に改訂した際、厚さが1.15mmのものまで認められることになったそうです(これ以前は「厚さ2mm以上の管」のみが認められていた)。電気設備技術基準・解釈第177条第2項第3号はその使用の制限をくわえるためのものです。
 そこで、メーカーの方に(電工師匠が)問い合わせてみました。積水化学工業(株)と三菱樹脂(株)では製造していない(1999/12現在)そうです。

■ [参考] [内線規定JEAC 8001-1995] 415−3 B

■ 硬質ビニル管の寸法は、[内線規定JEAC 8001-1995] 415−3 4-21表にあります。

■ PF管は、一重管と二重管があります。二重管は、異なる2種類の材料の2層構造になっています。CD管は一重管のみです。

■ CD管、PF管の分類は、日本工業規格(JIS)C 8430の表1 可とう管の種類、形状及び記号の「管の構成」をもとに行っています。

 

maru_g 分類段階 (日本工業規格(JIS)C 8430による分類:構造上の分類2)

■ この分類は、日本工業規格(JIS)C 8430の表1 可とう管の種類、形状及び記号の「形状の種類」をもとに行っています。



写真.6 CD管

 CD管の一重波付管(CD)です。


左: 松下電工:「パナフレキCD」  DM616-R
右: 未来工業:「ミラフレキーCD」 MFCD-16

写真.7 PFS管

 PF管の一重波付管(PFS)です。


 松下電工:「パナフレキエース」  DM316

写真.8 PFD管

 PF管の二重波付管(PFD)です。


 松下電工:「パナフレキ」  DM716N


 いかがでしょうか。お役に立てばと思います。なお、この分類に対応する各メーカーの製品は、以下のコンテンツで扱います。ご利用下さい。

  maru_p 各メーカーの合成樹脂管を分類する : Otoshibumi Craft Lab 電気の森 電気工事編 No.0006  


Version情報

Ver.1.4 (Preview Version)  2000/01/17版
 写真を入れてみました。何を示しているのかが少しはっきりしたと思うのですが...一重管と二重管の違いがはっきりしません。すいません。デジカメの限界のようです。マクロレンズと一眼レフを用意し、拡大写真を撮ろうと思ったのですが、何とカメラが故障しました。当分の間、現状が精一杯です。
 今本文の内容は変わっていません。
Ver.1.2 (Preview Version)  2000/01/05版
本文の内容は変わっていません。「Virsion情報」の新規追加、「このコンテンツを利用される方へ」、「参考文献」を追加・修正しました。すべてのコンテンツの整合をとるために行ったヴァージョンアップです。
Ver.1.0 (Preview Version)  1999/12/29版 
初upです。 

このコンテンツを利用される方へ

■ このコンテンツは、プレビュー版です。正規公開版は、Ver.3.x からを予定しています。内容に関して間違いがあるかもしれません。ですから、100%信じることはおやめ下さい。コンテンツの内容について、間違いにお気づきの方はご連絡いただければ幸いです。コンテンツに反映させたいと思います。このコンテンツが正確になるよう努力していきます。

■ もし、あなたがこのコンテンツによって、損害等が生じても保証はしません。必ず、下記の参考文献等を用いて、内容を確認し、納得された後に活用することを心がけて下さい。

■ このコンテンツは、日々変更していきます。最新のバージョンのコンテンツをご利用下さい。

■ このコンテンツの無断複写転載を禁止します。


参考文献

このページは、以下の文献を参考にまとめました。

  1. 内線規定JEAC 8001-1995 : 社団法人 日本電気協会 電気技術基準調査委員会

  2. 電気設備技術基準・解釈 H9 H10 H11

  3. 電気設備技術基準 H7 H8 :

  4. JIS C8411-1992 合成樹脂製可とう電線管

    JIS C8412-1992 合成樹脂製可とう電線管用附属品

  5. 電気設備技術基準・解釈 早わかり 平成11年改正版 : 電気設備技術基準研究会編 : オーム社 : 1999/11/30平成11年改正版第1刷

  6. 新編・新人教育電気設備 改訂新版 : 社団法人 日本電設工業会 (編者 社団法人日本電設工業会編集出版委員会・編集専門委員会 : オーム社 : H11/04/15 改訂新版第3刷

  7. 新編・新人教育電気設備 増補版 : 社団法人 日本電設工業会 (編者 社団法人日本電設工業会編集出版委員会・編集専門委員会 : オーム社 : H6/06/10 増補版第5刷

  8. 現場に見る合成樹脂製可とう電線管の施工上の注意点 : 大谷長世 : 電気と工事 1999年4月号 : オーム社 : 1999/04/01

  9. 松下電工 電設資材’99−2000 : 松下電工株式会社

  10. 電線ケーブル用可とう管路材 1998-1999B : 古河電工

  11. ’99 ミライ 電設資材総合カタログ : 未来工業株式会社




to Denko


Thank you.....

電工師匠 M.Saito

maru_r maru_p maru_g maru_b maru_y 


ご意見・ご感想、誤字・脱字等の情報、内容の間違い、ご質問はこちらへ

E-Mail: otoshibumi@my.email.ne.jp