2000年3月 パリ・イタリア旅日記 pp

ヴェネチア 2日目 317(2)


ムラーノ島に騙されに行く




ヴェネチアに来て、ホテルにチェック・インした時、
フロントにいた、愛想がよく、、サービス精神旺盛(に見える)
人物が、チェック・インを済ませるなり、私達に勧めたのは、
私達に『ムラーノ島ツァー』の無料キャンペーン。

1日目は、断ったその誘いに、私達は、
結局乗ってしまった。どうせ
行き先の候補になっていたムラーノ島でもあるし、
「ホテルのサービス」で、行ってみようか、と言うことになったのだ。
ただ程高いものはない。
「絶対、何かあるけど、気をつけさえすれば、大丈夫だよね。」
と、確認しあって、朝ホテルに申し込んで来たのだ。
一度断って、相手にダメか、と思わせて
今度は、自分から、飛び込んで行った「夏の虫」だ。


昼食を取ったトラットーリア
二種類のピザとスープ
注文する。トマトスープで似た魚の
スープが美味しかった。



午後二時、ホテルのロビーで、待っている。
行くのは、私達だけらしい。
そこへ、
黒の上下のスーツに濃いサングラスを掛けた
背の高いマフィアの用心棒みたいなその男性が、近づいて来る。
「コン・ニチワァ」と怪しいアクセントの日本語で、私達に挨拶してから、
英語で、「さ、行きましょう。」と、促す。

彼は、ポケットに手を入れて、口笛を吹きながら
軽い弾むような足取りで、先を行く。
私達は、ついて行きながら、言い合う。
「何だか怪しいよね?」「殺されて、海に投げ込まれたりして・・・」
「まさか。」

口笛氏、いかにも陽気に話しかけて来る。
日本から来たのか、とか、どこからヴェネチアに入ったのか等々。
「愛想がいいのが、怪しいョ。」「逃がさないための作戦じゃないの。」
その間にも、昨日通った小路を通り、又、別の路地に入って、
進んでいく。陽気に、これから、船の乗り場に行くのだ、
と説明する。歩きながら、口笛氏は、携帯電話で、誰かに
何かを連絡している。

「ねぇ、ホントに大丈夫?誘拐されるんじゃないの?」娘が言う。
そうしているうち、口笛氏は、とある運河の橋のところで、止まる、
そこで船が来まで、待つのだ、という。
娘は、怪しがって、遠くにいる。

待つ間に、ヴェネチアを発つ時のための
サンタルチア駅行きの水上バスについて、聞いてみる。
と、口笛氏は、地図を広げて、思いの外、親切に教えてくれる。


結局、彼は、私達をムラーノ島までの船の、乗り場までの
案内人だった。ヴェネチアの道は、迷路のようだ。
カモをスムーズに船の場所へ連れていくため、ホテルから
雇われていたのだ。
かくて、それから先、私達カモは、英語が話せない
地元の人の船に乗せられ、ひたすら
一件のヴェネチア・ガラス工房のまな板の上へと、
運ばれることになる。




観光のゴンドラは、通らない運河を行く







着いた先は、プライベートな船着き場。
ボートが着くやいなや派手な出でたちの女性が、
私達を迎えに走り出て来る。
・・・こういうことか。口笛氏の二回目の電話は、ここにだったのだろう。
高い物を買わされるハメになったらどうしよう。
そんな不安が、心をよぎる。階段を上るとそこはもう
いきなり、ヴェネチア・ガラス制作の工房(工場?)だ。
「派手嬢」は、即、ガラス造りの行程を説明し始める。

如何にもそれが普通というように
おしゃべりをしながら仕事をしている職人の人達、なんかわざとらしい。
それを聞きもしないのに、英語にして説明してくれる彼女。
そして、いよいよ二階のヴェネチア・ガラスのショールームへと
招き入れられることになる。来た来た。買わないぞ。

高価な作品が並んでいる。




高級ヴェネチア・グラスのギャラリー







その説明をしようとするのを遮って、私が、
こんな高い物は、買えないし、買うつもりも無い、と言うと、
「派手嬢」途端に態度を変え、「あ、そう。じゃあ、階下へ。」と、冷たくなる。

高いものは、買えるわけがなかったのだけれど、
階下で「お手頃なもの」を見せられると、
何だかほっ。私の緊張の糸が緩んだ。
結局、家族が止めるのも聞かず、私は、そこで、数点の品を買う。
別にそこでなくても、あちこちに似たものあったのに。
しかも、もっと安く・・・。

ともかくも、購入したことで、お店は、
帰りの船の切符をくれる。

ホテルのフロントの一人のあの人物と、口笛氏と、
船の運転手と、ガラス工房の派手嬢が、組んでいたというわけだ。



夕方、娘と私が、すっかり疲れて、「ホテルの部屋で、
ゴロゴロしようモード」になっているのに、一人「元気モード」の主人が、
近くの教会で催されているコンサートに行こうと誘う。
断る私達。主人は、一人で出かけて行く。

コンサートは、良かったと言う。
次の日、もう一回三人で行こう。と言うことになる。

道の壁のそこここに
いろいろな教会で催れているコンサートのポスターが、
貼ってある。明日、昼のうちに教会のコンサートの内容と、
場所を確認して、決めようということにする。

明日は、あさって、出発時のJALのバスの乗り場も
確認して置かなくてはならない。
「サンタルチア駅」ということだったけれど、実際は、そこまでバスは入れないので、
正確には、車の乗り入れが出来る境界の場所の
「ローマ広場」と言うことらしい。
集合は、朝、8:15で、早い。船の時間も確認しなくては。




ヴェネチア 3日目へ
アカデミア美術館など


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