第2ゲームが始まりました。相手チームは、さっそく快調に飛ばしています。こちら側は、相変わらずもうひとつ振るわない出来です。
「このまま低い成績のままで終わって、味方に迷惑をかけるのはいやだな」
そう考えていた僕の脳裡に、突然、あの10年以上前に読んだ『ボウリング入門』の文章がフラッシュバックしました。
「基本に忠実に……基本に忠実に……」
忘れていたあの感覚。僕の体は何者かにぐいと押されるようにして前へ出ました。自分のものではない力によって、右腕がしなやかに回転すると同時に、球が猛烈な速さで転がり出ました。
「ストライク」
一同から湧き出る歓声。
「素晴らしい。その調子だ。この分だと逆転できるかもしれんぞ」
味方チームの主将が叫びました。
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