HOME主人敬白応接間ことばイラスト秘密部屋記帳所

「ひとりごと」目次へ

文字のスナップ 最新へ



194 「才」の異体字
 三省堂辞書サイト「Sanseido Word-Wise Web」の笹原宏之氏「漢字の現在第8回・「はたち」を過ぎたら「才」は「歳」?」に、〈日本では〔才・歳〕いずれも「サイ」と同音となり、「歳」の略字のようにして「才」が用いられるようになった。/ 江戸時代には、「才」は、「歳」と同音だから用いているのではない、という説も現れる。「歳」の中に含まれる「「戈」−「、」」の部分を引っこ抜いてきたのだという。なるほど、今でも年配の方々に残されている字体は「才」ではなく「「戈」−「、」」という字体だったりするが、この説の当否は如何に。〉とあります。(2008.03.18)

184 「第」の略字
 「第」の略字について、同趣旨の問題提起をすでに吉田良夫氏が「漢字の写真字典」の「異体字 ほか」のページで行っており、僕の写真はいわばその後追いという形です。(2003.12.25)

174 黒餡女夫まんぢう
 吉田良夫氏「漢字の写真字典」の「姿形書換字 (8)」のページで、「餡」の姿形書換字(台湾・台北市)が紹介されています。つくりが「蹈」の右側になっていて、「黒餡女夫まんぢう」の看板の「餡」とごく近い字体となっています。(2003.12.26)

153 杭頭斫り
 「斫り」については福田雅史氏のホームページ「俗字の字典」で、

「〜斫り工業」という名前の会社の存在が、札幌、神戸、四国(川之江)で確認されている。JIS漢字字典でも、「シャク、きる」という読みしか載っていないし、諸橋大漢和はおろか、どの漢和辞典にもこの読みは出ていない。しかしながら、「はつる:削り落とす」という意味をこの漢字に当てるのは、業界では一般的なようだ。

と言及されています。(2002.12.03)

146 JYOJYAKKO-JI
 「常」とか「寂」とかいう字の「ジョ」「ジャ」は、ローマ字で「JO」「JA」(ヘボン式)、または「ZYO」「ZYA」(訓令式)と書くのが普通ですが、ここでは「JYO」「JYA」と変則的になっています。
 『言語生活の目』(筑摩書房)には「HITIJYO」(七条。1958.10の項、p.126)とか、「NAIGOHGAIJYU」(内剛外柔。1969.01の項、p.298)とか、「Kichijyo ̄ji〔oの上に長音記号〕」(吉祥寺。1978.12の項、p.443)などの例が報告されています。(2002.12.03)

142 ぱあまりぃ
 「パーマネント」「パーマ」なら分かりますが、「パーマリー」とは何でしょうか。そういう名前の人が経営しているのかも?
 雑誌「言語生活」のコラムをまとめた『言語生活の目』(筑摩書房)には、1983.01の項(p.508)に次のようにあります。

▼コインライスリー
 この間、北関東の穀倉地帯である茨城県岩井市付近を通ったとき、道路ぞいに「コインライスリー」というものがいくつもありまし。これは、「自動精米所」のことです。〔下略〕(足立区 浅香武和さん)

 この例に似て、「ランドリー」「ベーカリー」などからの類推で「パーマリー」になったのではないかと思うのですが。(2002.12.03)

140 許可なく
 雑誌「言語生活」のコラムをまとめた『言語生活の目』(筑摩書房)には、1983.01の項(p.508)に次のようにあります。

▼無許可はどちら?
「許可なく入室を禁ずる・許可なく駐車を禁ずる」。このような掲示をよく見かけます。「無許可で入室や駐車をしてはいけない」という意味ですが、文の構成上は、入室や駐車を許可なく禁じたというように読みとれ、疑問に思いますが。(千葉県香取郡 神崎道さん)

 では、「許可なく学外者の入構を禁止する」はどう書き直せばよいのか。「許可なき学外者の入構を禁止する」、または、法律の条文ふうに「学外者が許可なく入構することは、これを禁ずる」とする手などがありそうです。(2002.12.03)

135 巡邏場所
 この銀行の掲示は、山下宏明さんのホームページ「諸人往来 みちしるべ」でも「警察官立ち寄り所」として紹介されています。
 山下さんのページには、道しるべの写真、多言語看板の写真などが多く紹介されています。(2002.12.03)

131 日本橋
 益山健氏のホームページの中にある「東京近郊駅名ローマ字つづり」を読むと、駅名のローマ字が必ずしも規則的につづられていないことが分かります。(2002.02.14)

124 えびや
 「足立区発タウンナビ」による紹介記事がWebに載っています。
 それによると、このほかにも「欲」の字の下に「益」を書いて「えき」と読ませたり、「舌へん」に「旨」と書いて「いける」と読ませたりしているようです。
 ちなみに、「米へん」に「彼」でカレーライスと読ませるらしい例は、井上ひさし『ニホン語日記』(文藝春秋)p.86に。(2002.01.14)

114 はんてん
 次のような例があります。
●古くなつたお召の絆纏をはおつて(森鴎外「身上話」〔1910.11発表〕「新潮名作選 百年の文学」1996.07.31発行 p.11)
●すれちがう人も、追い越してゆくサラリーマン風も、オーバーを着こみ、風呂帰りは綿入れの袢天{はんてん}。(向田邦子『阿修羅のごとく』〔1980.01 NHKで放送〕新潮文庫 1985.02.25発行 p.218)
 (2002.01.07)

103 幼稚園
 雑誌「言語生活」にも報告があります(〓は国がまえに縦書きで「エン」)。
「電車内で「共楽〓」という広告を見ました。うまい略字だと感心しました。が辞典には、この略字なし。/(神奈川県からの投書)/ 多摩川園の広告にも、たしかこの字を使っている。」(1957.07 p.50)
「いつか国電の車内広告を見ていたら、けいりんの花月〓というのがあった。〓は園の一種の略字であるが、漢字の字画の一部をけずって、その部分にその漢字の音や訓を片かなではめこむやり方が、はやっているらしい。」(1963.08 p.78)
 佐竹秀雄編『言語生活の目』筑摩書房(1989.07.20)には、それぞれp.104、p.209に掲載されています。(2002.11.20)

101 逆さ馬
 当初、将棋の「逆馬」が頭にあってそう書いていたら、SH氏より「逆さ馬」または「左馬」というのでは、とご教示をいただきました。
 京都にお住まいの上田孫四郎さんから、京都の新京極のみやげ物屋さんに「左馬」という小物が売っていたと教えていただきました。(2001.12.16)

076 ぼっかけ
 「週刊朝日」2002.11.22 p.180に次のようにありました。

 「街を歩くと、オレンジ色した派手なのぼりがはためき、
 「ぼっかけ
 というドでかい文字。
 阪神大震災後、神戸市長田区に登場した新しい名物こそ、「ぼっかけ」である。
 そもそも「ぼっかけ」とは何か。牛肉のスジとコンニャクを煮込み、甘辛く味をつけたものだ。東京でいえば「煮込み」、関西なら「どて焼き」が思い浮かぶかもしれない。それを長田では、昔から「ぼっかけ」と呼んでいる。」

 兵庫県の方言のようです。記事では「ぼっかけカレーライス」「ぼっかけそばめし」のほかチラシずし、パン、うどん、オムレツなどを紹介しています。(2003.02.10)

059 家ひき
 宮崎生まれ、神戸育ちで岡山県にお住まいの緒方利行さんから、「家ひき」の意味についてご教示いただきました。道路拡張工事などのために家を移動する必要がある場合、家をジャッキ等で持ち上げ(家揚げ・家上げ)、レールに乗せて文字通り「曳く」こと。「年配の建設業関係者なら通じる日本語」で、緒方さんも「やびき」の語形で子供のころお母様から説明を聞いた記憶があるとのことです。ウェブを見たところ、「曳(き)家」とも言うようです。(2001.02.15)

040 しゃべれる、食べれる。
 これより先、1996.04.30 22:50ごろTBSテレビで放送された「ソフトクリームはミニストップ」のコマーシャルで「しゃべれる、食べれる。」のクレジットが出ているのを確認しました。(2002.08.07)

023 棒の手紙
 「言語生活」1957.12(佐竹秀雄編『言語生活の目』筑摩書房 1989.07.20 p.111に収録)には、次のようにあります。
「知人が古手紙を整理したらこんなものが出てきたと言って、一枚の葉書を見せてくれた。「幸福の手紙」である。消印は28・12・7〔注、昭和28(1953)年でしょう〕。
 この手紙はアメリカのユナイテット通信社を通過したものですこれは升田勝幸様より私に廻さす二〇二〇七六番目に私と定時間に発送しましたこの手紙は第一次大戦に有名を轟かさせたダニエル海軍の創始に当るものです世界を一個にするものです七十二時間以内に順次に送らねばなりませんこの手紙を受取った人に幸福が訪れ放置した人には不幸が訪れますアメリカの有名なステムソン氏放置後三ヶ月に死亡しルーズベルト氏は発信後三十五時間内大統領に当選しました発送の注意としては一番上の氏名を消して最後に自分の名前と記入し十二名の知人に送ります(これと同じ文)絶対に放置してはなりません。」
 「幸福の手紙」は時代的にどこまでさかのぼれるものでしょうか。なお、「ユナイテット」「有名を」「轟かさせた」「自分の名前と記入し」など、誤字・脱字のたぐいは原文のままです。(2002.11.20)


「ひとりごと」目次へ

HOME主人敬白応接間ことばイラスト秘密部屋記帳所

email:
Copyright(C) Yeemar(飯間浩明) 1997-2011. All rights reserved.
著作権・リンクなどについて